89 / 150
風の精の家
しおりを挟む
今日もオアシスの街を注目している。
精鋭を集めて何かするらしく、集会所に集まって入念な話し合いをしている。
面子は街の上層部員、警備隊の腕利き、斡旋所からの魔法使いやヒーラー、末裔の夫婦、そして越してきた元魔族の姉妹。
そうそう、この元魔族の姉妹だが最近信者になっていた。
ここでの生活にも慣れ、収入も安定してくれば心に余裕も出てくる。
そういう時にこの街で最早名産となっている木剣のキーホルダーを手にしたようだ。
今やこの姉妹は魔族からの流入者への案内人とも言える立場になっており、手際も良く、魔族表示が瞬く間に消えるのを何度か目にしている。
地図を広げて何やら話している。街の南の方を重点的に指差して話してるところを見ると南部に何かあるのだろうか。気になる。
数日後、二十人程の一団が街を出発して街の南の方へ移動を開始した。
おぉ、久しぶりに視野範囲が広がっていく。
オアシスの街の南もしばらく砂が広がっていたが、次第に緑が増えていく。
そして一団が止まったのは密林の手前。今日はここで野営するらしい。
「サチ、ここの情報はどの程度集まってる?」
「生態情報が大量で現在処理中です。地形は視野範囲であればある程度は把握できました」
「じゃあ地形の詳細を教えてくれ」
「はい。まずここの地質は湿地になります」
「湿地?砂漠の隣なのに?」
「はい。それには理由があります。この湿地は生きています」
「どういうこと?」
「地面の大半が苔で出来ており、その上に枯れ木や腐葉土が積み重なっている地形です。どうやらマナ溜りで変異した苔が増殖して今の地形を形成したようですね」
「なるほど」
苔が地面に貯水しているから湿地なのか。上手く掘り上げることが出来れば浄化された綺麗な水が出てくるのかもしれないな。
「生態ですが大半が植物や虫などで、人ほどの大きさの動物はかなり少ないようですね」
サチがパネルを手早く操作しながら情報を教えてくれる。
「これだけ緑が豊富なら草食系の動物が集まると思うんだが」
「それが、ここの植物、動物を襲います」
「げ」
「ですので迂闊に立ち入ると肥料にされますので動物が少ないのです」
なるほど、生きてるという表現に相応しいな。
しかしそうなるとこれから立ち入るであろう一団が心配になるな。
「大丈夫かな、あいつら」
「どうでしょう。無理はしないと思いますが、加護を与えますか?」
「うーん、そういう願い事は来てないからなぁ。様子見で」
「わかりました」
新しい視野範囲先はなかなか過酷な環境だなぁ。
どうなることやら。
「仲間を増やしたい?」
家の裏手の小屋で風の精がうんうんと頷く。
身振り手振りで説明してるの様子を見ると人員を増やしてもっと色々なにおいを楽しみたいらしい。
いいけど、うちの裏手が凄い異臭を放つ事にならないだろうか。
大丈夫?本当に?あ、そう?ならいいけど。
「で、どうやって呼ぶんだ?」
うーんと悩む様子。そこはわからんのかお前。
「サチはわかる?」
「まさか。精霊とこうやって親しく接している状況自体が凄い事ですのに」
むぅ。困ったな。
風の精はにおいが好きなようだから何かそういうのを漂わせればいいのかな。
何か釣られる様なにおいか。
・・・においに釣られる、釣られる?
ふむ。よし、ちょっと工作してみよう。
「本当にこんな方法で来るのでしょうか」
「さぁな。やってみないとわからん」
今俺とサチは島の端に座り、しなる木の棒を島の外へ伸ばして待機している。
棒の先からツタが垂れており、その先には完熟した実を取り付けてある。
俺が作ったのは簡易釣竿だ。
これでにおいに釣られた風の精が酒瓶のように実にへばり付くんじゃないかと。
試しにうちにいる風の精でやったら上手くいったので実際に試してみているところだ。
風の精曰く、吊り上げられる時の予想外の勢いが楽しいらしい。絶叫系が好きな人みたいな事言うね君。
そんなわけで釣竿を垂らしてぼんやり。
なんかこうやってぼーっとするのは久しぶりな気がする。
こっちに来てからなんだかんだで色々していたからなぁ。
やはりどこか無意識のうちに早くこの世界に慣れなくてはという気持ちがあったのかもしれない。
下界に降りた異世界の人も最初はこんな気持ちだったんだろうか。
幸い俺にはサチという優秀な補佐官がいたおかげでなんとかこの世界に馴染めてきたが、もし爺さんの甘言に乗ってあの下界に一人で降ろされていたら今のような落ち着いた心境になることは無かったかもしれない。
そんな優秀な補佐官様はさっきからポリポリといい音を立てながら片手で何か食べている。
「あっ」
気にして見てたら俺の視線に気付いたようで動きが止まった。
「何食ってるん」
「き、きゅうりの塩漬けを・・・」
あぁ、ご飯のおかずにって前に作った奴か。
別に怒らないからそんな気まずそうな顔するな。
どうせ暇で小腹が空いたんだろ。うん。俺にもくれ。
二人でポリポリ言わせてたら風の精が来て皿に置いていた一本を手に取ってしなしなにさせた。
食ってみろ?どれ・・・おぉ、酸味が強くなってる。腕上げたな。
残りも同じようにやってもらい、握り飯に乗せて食ったら旨かった。
「来ないですねぇ」
「やはり無理があったかなぁ」
釣りを始めてから結構時間が経ったが未だに釣竿に変化はなし。
そんな諦めムードの時に限ってアタリが来る不思議。
「むっ、来た」
ぐっと力を入れると竿がしなって先の実が上に上がり、それと一緒に緑の姿も見て取れた。
地面に落ちた実を見ると風の精が必死にしがみ付いていた。
「大丈夫か?」
俺の声に気付いてこっちを見、そして元から居た風の精に気付くとそっちに飛んでいって抱きついた。
すまん、怖かった?
あ、違う。楽しかった?そ、そうか。風の精は刺激的なことが好きなのかな。
「頼みたいことがあるんだが」
「ソウ!ちょっと来て下さい!」
落ち着いたところで新たな風の精に頼みを言おうとしたがサチの呼び声に遮られる。
振り向くとサチの釣竿が凄くしなっている。
え、嘘、そんなにしなる事想定してないんだけど。
とにかくサチと一緒に竿を上げると、勢い良く先ほどと同じように弧を描いて大きな緑色の姿が舞う。
実が落ちた先に行くと普通の風の精より数倍大きい風の精らしき姿がいた。
結構勢い良く地面に叩きつけられたはずだったが、そんなの気にも留めず未だに実のにおいを嗅いでいる。
「大きいな」
「これは、まさか風の精の母ですか?」
通常サイズの風の精にサチが聞くと二人はうんうんと頷く。
そういえば水の精の母とも会った事があるが、母クラスになると大きくなるんだな。
俺とサチに気付いて、少し慌てて取り繕ったようにこっちに羽を広げて礼をする。優雅だ。
そして駆け寄って来た二人の風の精から説明を頷きながら聞く。
うん、なんか親子って感じするな。
それに水の精の母と違って知的な雰囲気がある。
ただ、さっきにおいを嗅いでいた顔はアルテミナに引けを取らない変態的な表情だったのを忘れてはいけない。
しばらく風の精同士で話をした後、風の精の母はこちらに向き直り、何かをアピールをしてきた。
「どうやらソウを招待したい場所があるそうです」
「ふむ。わかった、行こう」
にっこりと微笑む風の精の親子に付いて行くことにする。
サチに抱えられた瞬間、風の精の母が風を起こして一気に上空へ浮かし、そのまま風で運んでくれた。
「これは楽ですねー」
サチが楽しそうでなによりだ。
着いたところは俺が最初にこの世界に来た時に降りた草原の島と似たような風景の島だった。
うちの島から然程距離は無い・・・気がする。移動速度が速すぎて距離感がわからなかったのが本音だ。
風の精達について行くと一見上空から分かり辛い場所の地面に亀裂があり、そこから洞窟内へ入れるようになっていた。
近付くと中から風が吹き出している。なかなかに強い風だ。
風の精達はそのまま中へ入っていくので続く。
サチが念で風除けの膜を張ってくれた。助かる。
中に入って少し進むと大きな空洞があり、中央には大きな緑色の精霊石が鎮座していた。
「こんな大きな風の精霊石は初めて見ました」
洞窟内を良く見るとあちこちに普通の大きさから少し小さい風の精が飛び回っているのが見える。
なるほど、ここは風の精の家か。
「それで、俺にここを案内してどうしたいんだ?」
風の精の母が身振り手振りで説明する。
それをサチがパネルを使って解読の精度を上げて説明してくれる。
彼女の話はこうだ。
この島に小屋を作り、そこで発酵の研究はしてはどうだろうか。
材料を用意してくれれば我々で適当にやるので、出来上がったものの良し悪しを定期的に見に来て欲しい。とのこと。
俺としては諸手を挙げてお願いしたいところなのだが、ここでサチが難色を示した。
「この島は所有者がいません。誰か探してこないと小屋の建築の申請が出来ません」
むぅ。困ったな。
島の所有権という話まで関係してくると気軽に誰かに頼むというのも難しくなる。
島の管理はもちろんのこと、風の大精霊石まであるので風の精とも良好な関係を築ける人でなければならない。
加えて風の精も協力的な発酵の研究もしたいので、そちらの方向にも明るい人でないと長続きしないだろう。
ぱっと俺の頭に浮かんだ人物はユキやリミだが、農園の人達は各自担当作物を持っているので厳しい。
情報館から人材を派遣してもらってもいいが、あそこはあそこで重要な場所なのであまり欠員を出すのも良くない気がする。
うーん、残念だが適した人材が見つかるまで保留かなぁ。
とりあえず風の精の母には近付きの印として酒瓶を一本渡した。
発酵の実験についても気になっていたようなので、気軽にうちに遊びに来てもいいように言っておいた。
誰か適した人いないかなぁ。
精鋭を集めて何かするらしく、集会所に集まって入念な話し合いをしている。
面子は街の上層部員、警備隊の腕利き、斡旋所からの魔法使いやヒーラー、末裔の夫婦、そして越してきた元魔族の姉妹。
そうそう、この元魔族の姉妹だが最近信者になっていた。
ここでの生活にも慣れ、収入も安定してくれば心に余裕も出てくる。
そういう時にこの街で最早名産となっている木剣のキーホルダーを手にしたようだ。
今やこの姉妹は魔族からの流入者への案内人とも言える立場になっており、手際も良く、魔族表示が瞬く間に消えるのを何度か目にしている。
地図を広げて何やら話している。街の南の方を重点的に指差して話してるところを見ると南部に何かあるのだろうか。気になる。
数日後、二十人程の一団が街を出発して街の南の方へ移動を開始した。
おぉ、久しぶりに視野範囲が広がっていく。
オアシスの街の南もしばらく砂が広がっていたが、次第に緑が増えていく。
そして一団が止まったのは密林の手前。今日はここで野営するらしい。
「サチ、ここの情報はどの程度集まってる?」
「生態情報が大量で現在処理中です。地形は視野範囲であればある程度は把握できました」
「じゃあ地形の詳細を教えてくれ」
「はい。まずここの地質は湿地になります」
「湿地?砂漠の隣なのに?」
「はい。それには理由があります。この湿地は生きています」
「どういうこと?」
「地面の大半が苔で出来ており、その上に枯れ木や腐葉土が積み重なっている地形です。どうやらマナ溜りで変異した苔が増殖して今の地形を形成したようですね」
「なるほど」
苔が地面に貯水しているから湿地なのか。上手く掘り上げることが出来れば浄化された綺麗な水が出てくるのかもしれないな。
「生態ですが大半が植物や虫などで、人ほどの大きさの動物はかなり少ないようですね」
サチがパネルを手早く操作しながら情報を教えてくれる。
「これだけ緑が豊富なら草食系の動物が集まると思うんだが」
「それが、ここの植物、動物を襲います」
「げ」
「ですので迂闊に立ち入ると肥料にされますので動物が少ないのです」
なるほど、生きてるという表現に相応しいな。
しかしそうなるとこれから立ち入るであろう一団が心配になるな。
「大丈夫かな、あいつら」
「どうでしょう。無理はしないと思いますが、加護を与えますか?」
「うーん、そういう願い事は来てないからなぁ。様子見で」
「わかりました」
新しい視野範囲先はなかなか過酷な環境だなぁ。
どうなることやら。
「仲間を増やしたい?」
家の裏手の小屋で風の精がうんうんと頷く。
身振り手振りで説明してるの様子を見ると人員を増やしてもっと色々なにおいを楽しみたいらしい。
いいけど、うちの裏手が凄い異臭を放つ事にならないだろうか。
大丈夫?本当に?あ、そう?ならいいけど。
「で、どうやって呼ぶんだ?」
うーんと悩む様子。そこはわからんのかお前。
「サチはわかる?」
「まさか。精霊とこうやって親しく接している状況自体が凄い事ですのに」
むぅ。困ったな。
風の精はにおいが好きなようだから何かそういうのを漂わせればいいのかな。
何か釣られる様なにおいか。
・・・においに釣られる、釣られる?
ふむ。よし、ちょっと工作してみよう。
「本当にこんな方法で来るのでしょうか」
「さぁな。やってみないとわからん」
今俺とサチは島の端に座り、しなる木の棒を島の外へ伸ばして待機している。
棒の先からツタが垂れており、その先には完熟した実を取り付けてある。
俺が作ったのは簡易釣竿だ。
これでにおいに釣られた風の精が酒瓶のように実にへばり付くんじゃないかと。
試しにうちにいる風の精でやったら上手くいったので実際に試してみているところだ。
風の精曰く、吊り上げられる時の予想外の勢いが楽しいらしい。絶叫系が好きな人みたいな事言うね君。
そんなわけで釣竿を垂らしてぼんやり。
なんかこうやってぼーっとするのは久しぶりな気がする。
こっちに来てからなんだかんだで色々していたからなぁ。
やはりどこか無意識のうちに早くこの世界に慣れなくてはという気持ちがあったのかもしれない。
下界に降りた異世界の人も最初はこんな気持ちだったんだろうか。
幸い俺にはサチという優秀な補佐官がいたおかげでなんとかこの世界に馴染めてきたが、もし爺さんの甘言に乗ってあの下界に一人で降ろされていたら今のような落ち着いた心境になることは無かったかもしれない。
そんな優秀な補佐官様はさっきからポリポリといい音を立てながら片手で何か食べている。
「あっ」
気にして見てたら俺の視線に気付いたようで動きが止まった。
「何食ってるん」
「き、きゅうりの塩漬けを・・・」
あぁ、ご飯のおかずにって前に作った奴か。
別に怒らないからそんな気まずそうな顔するな。
どうせ暇で小腹が空いたんだろ。うん。俺にもくれ。
二人でポリポリ言わせてたら風の精が来て皿に置いていた一本を手に取ってしなしなにさせた。
食ってみろ?どれ・・・おぉ、酸味が強くなってる。腕上げたな。
残りも同じようにやってもらい、握り飯に乗せて食ったら旨かった。
「来ないですねぇ」
「やはり無理があったかなぁ」
釣りを始めてから結構時間が経ったが未だに釣竿に変化はなし。
そんな諦めムードの時に限ってアタリが来る不思議。
「むっ、来た」
ぐっと力を入れると竿がしなって先の実が上に上がり、それと一緒に緑の姿も見て取れた。
地面に落ちた実を見ると風の精が必死にしがみ付いていた。
「大丈夫か?」
俺の声に気付いてこっちを見、そして元から居た風の精に気付くとそっちに飛んでいって抱きついた。
すまん、怖かった?
あ、違う。楽しかった?そ、そうか。風の精は刺激的なことが好きなのかな。
「頼みたいことがあるんだが」
「ソウ!ちょっと来て下さい!」
落ち着いたところで新たな風の精に頼みを言おうとしたがサチの呼び声に遮られる。
振り向くとサチの釣竿が凄くしなっている。
え、嘘、そんなにしなる事想定してないんだけど。
とにかくサチと一緒に竿を上げると、勢い良く先ほどと同じように弧を描いて大きな緑色の姿が舞う。
実が落ちた先に行くと普通の風の精より数倍大きい風の精らしき姿がいた。
結構勢い良く地面に叩きつけられたはずだったが、そんなの気にも留めず未だに実のにおいを嗅いでいる。
「大きいな」
「これは、まさか風の精の母ですか?」
通常サイズの風の精にサチが聞くと二人はうんうんと頷く。
そういえば水の精の母とも会った事があるが、母クラスになると大きくなるんだな。
俺とサチに気付いて、少し慌てて取り繕ったようにこっちに羽を広げて礼をする。優雅だ。
そして駆け寄って来た二人の風の精から説明を頷きながら聞く。
うん、なんか親子って感じするな。
それに水の精の母と違って知的な雰囲気がある。
ただ、さっきにおいを嗅いでいた顔はアルテミナに引けを取らない変態的な表情だったのを忘れてはいけない。
しばらく風の精同士で話をした後、風の精の母はこちらに向き直り、何かをアピールをしてきた。
「どうやらソウを招待したい場所があるそうです」
「ふむ。わかった、行こう」
にっこりと微笑む風の精の親子に付いて行くことにする。
サチに抱えられた瞬間、風の精の母が風を起こして一気に上空へ浮かし、そのまま風で運んでくれた。
「これは楽ですねー」
サチが楽しそうでなによりだ。
着いたところは俺が最初にこの世界に来た時に降りた草原の島と似たような風景の島だった。
うちの島から然程距離は無い・・・気がする。移動速度が速すぎて距離感がわからなかったのが本音だ。
風の精達について行くと一見上空から分かり辛い場所の地面に亀裂があり、そこから洞窟内へ入れるようになっていた。
近付くと中から風が吹き出している。なかなかに強い風だ。
風の精達はそのまま中へ入っていくので続く。
サチが念で風除けの膜を張ってくれた。助かる。
中に入って少し進むと大きな空洞があり、中央には大きな緑色の精霊石が鎮座していた。
「こんな大きな風の精霊石は初めて見ました」
洞窟内を良く見るとあちこちに普通の大きさから少し小さい風の精が飛び回っているのが見える。
なるほど、ここは風の精の家か。
「それで、俺にここを案内してどうしたいんだ?」
風の精の母が身振り手振りで説明する。
それをサチがパネルを使って解読の精度を上げて説明してくれる。
彼女の話はこうだ。
この島に小屋を作り、そこで発酵の研究はしてはどうだろうか。
材料を用意してくれれば我々で適当にやるので、出来上がったものの良し悪しを定期的に見に来て欲しい。とのこと。
俺としては諸手を挙げてお願いしたいところなのだが、ここでサチが難色を示した。
「この島は所有者がいません。誰か探してこないと小屋の建築の申請が出来ません」
むぅ。困ったな。
島の所有権という話まで関係してくると気軽に誰かに頼むというのも難しくなる。
島の管理はもちろんのこと、風の大精霊石まであるので風の精とも良好な関係を築ける人でなければならない。
加えて風の精も協力的な発酵の研究もしたいので、そちらの方向にも明るい人でないと長続きしないだろう。
ぱっと俺の頭に浮かんだ人物はユキやリミだが、農園の人達は各自担当作物を持っているので厳しい。
情報館から人材を派遣してもらってもいいが、あそこはあそこで重要な場所なのであまり欠員を出すのも良くない気がする。
うーん、残念だが適した人材が見つかるまで保留かなぁ。
とりあえず風の精の母には近付きの印として酒瓶を一本渡した。
発酵の実験についても気になっていたようなので、気軽にうちに遊びに来てもいいように言っておいた。
誰か適した人いないかなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます
わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。
一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します!
大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる