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56話 ソルトの急成長
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「さてソルト、打たれ弱さという弱点を克服するには、どうしたらいいか考えましょうか」
「っすね、やっぱり反撃するにも脚っていう攻撃手段しかないのがマズイっすかね?」
「んーそうね……私は悪いとは思わないけど、やっぱり脚を出すのと手を出すのでは速度が違うわよね、そこさえ何とかなるのであれば脚だけでも問題はないと思うわ、ただ……臨機応変に対応したいなら武闘術を習得すべきね」
「あ、一応武闘術はあるんっすよ!師匠からの教えが少しあるだけっすから全然っすけど……」
「あらそうなの?ならガードだけじゃなくて、武闘術による手を使った反撃を強化しましょうか!敵の攻撃を手で防ぎ、カウンターを入れてから得意な蹴り技に繋げる!これをコンセプトにしていきましょう」
「了解っす!」
レインとソルトは向き合って立ち、レインは剣を握りこちらに構える。
剣を見るといつの間に木剣に変わっていた、ホントにいつの間にかである。
「さて、まずは避ける練習からしましょうか。敵の武器によって弾くか全て避けるか、決めるといいわ」
「なるほど、例えばレインさんが使う剣だとどうするっすか?」
「私みたいなスピードを活かすような剣なら、受けても避けてもいいわ。ただ重そうな剣ならガードで受けても反撃に持っていきにくいわね」
「なるほどっす」
「まずは私の剣を全て避けなさい!行くわよ!」
「ちょ!いきなりっすか!?」
「はぁぁ!」
レインは模擬戦の時よりはスピードは控えめにしてくれているが、連撃を繰り出してくる。
ソルトは自慢の脚を使ってステップで避けていくが、たまに当たりそうになり篭手を出してしまう。
「このスピードに付いてきなさい!これを全て避けて、いずれ反撃取れるようになれば、スピード系の敵には間違いなく勝てるようになるわ!しっかり見極めて避ける方向考えながら避けなさい!」
「う、うす!」
1時間程レインの連撃を避けまくるソルト、最初こそ篭手を出してしまう事があったものの、慣れてくると回避だけで済むようになってくる。
「うん、こんなものね!元々からある程度出来てたし、筋が良かったから良い感じに避けられるようになったわね!10分程休憩してから次はこのスピードの中で反撃手段を模索していくわよ!」
「う、うっす……」
レインさんめっちゃ元気っすね……なんて体力してんすか……化け物っす化け物。
自分は裏庭にあった長椅子に座って2人の特訓する姿を見る、ご主人は土魔法が使えるようになってたっすね!流石ご主人!
メイランはひたすらアクロバティック飛行してるっす、あんなの自分がやったら酔うっすね……。
「ねぇソルト、あなたの尻尾……凄く綺麗ね。どう手入れしているの?」
「あぁこれっすか?ご主人が綺麗にしてくれたっす」
自分の尻尾が気になるみたいっすから、少しだけ尻尾を揺らしてみたっす。
「えっ?本当に?この揺れる時のふぁさっと感が尋常じゃないくらい綺麗だわ……」
「ホントっす、ご主人は前世で動物の健康管理、そして毛をカットしたり綺麗にしたりする仕事をしてたらしいっすね!トリマーって言うらしいんすけど、櫛の入れ方だったり尻尾オイルの揉み込み方がめちゃくちゃ上手いっす!」
「要するに、その道の専門家って事ね」
「そうっす、めちゃくちゃ上手すぎて気持ちがいいんす!カエデが凄く気に入ってたっすから、試しに昨日やってもらったら腰が抜けてしまったっす……」
「そ、そんなに!?確かに自分でやっても気持ちはいいなって思う時もあるけど……」
「ご主人のあれの気持ちよさは段違いっす、レインさんのご主人はミツキさんっすから、気軽に誘えないのは残念っすけど……あの気持ちよさと綺麗になった尻尾の気持ちよさを知ってしまった以上、狼という種族としては勧めたくなるっす。もちろん尻尾を他人に触らせたくない人も居るのも知ってるっすけどね」
「……」
レインは凄く考え込んだ。
確かに尻尾は綺麗にしたい……でも最近知り合ったばかりの男性、悪い人ではないのは分かってるけど、触らせるのは……。
「悩んでるっすね、まぁこれからもいっぱい関わる事になると思うっす、またいつかって事にするっすよ」
「そう……ね、やっぱり尻尾が綺麗なのは狼の誇り、気持ち的にはやっぱり綺麗にしておきたい。でも私は主様の物……多分主様はダメとは言わないだろうけど……ね、気持ちが決まればあなたに言うわね」
「やっぱそうっすよね、お互いご主人がいるっすから。了解っす」
レインさん、めちゃくちゃ悩んでたっすねやっぱり。
狼という種族なら尻尾を綺麗にしたいのは当たり前なんす、あと狐人族や栗鼠族も尻尾を大事にする種族っすね。
「さぁ!切り替えて続きやるわよ!」
「うっす!」
10分の休憩も終わって訓練再開したソルト達、次は反撃の特訓だ。
「ソルト、魔力って多い方?少ない方?」
「んーどうっすかね?人と比べたことないっすから……まぁ魔力操作は師匠から教えて貰ってたんで、体内に感じる限りだと少ない訳じゃないとは思うっす、まぁただ魔力を使う場面がないっすから正確には答えられないっす」
実際魔力量ってギルドで調べてもらう事も可能なんすけど、やった事無かったっすね。
「なるほどね、まぁ魔力操作をやっていたなら、実戦で使うくらいの魔力はあると仮定して言うわね。篭手に魔力を込めなさい」
「えっ?」
篭手に……魔力を?もしかしてご主人がナイフに風魔力を纏わせるアレっすかね?
「チラ見して見てたけど、あなたの主がやっていたナイフに魔力を纏わせるアレを篭手でやるのよ、属性込み魔力をあんな器用に纏わせる必要はないの、ただ魔力を篭手に集中させるだけでいいわ」
「やってみるっす」
ソルトは魔力操作で魔力を篭手へと誘導していく、魔力操作を師匠から教えて貰っていたのもあり、それ程苦戦することなく出来た。
「うん上出来、教わってたってのも納得ね。これを瞬時に出来るように繰り返して練習するわよ、これが相手の攻撃を弾く為の重要技術だから」
「了解っす!」
この魔力操作を繰り返している内に、おやつにしようと声がかかったので一旦中断。
おやつを食べ終わって再開、そしてやっていく内に瞬時の魔力操作する事に成功したのだった。
「じゃ、実際に剣を弾いてみましょうか。篭手に武器がぶつかった時に、魔力を弾けさせながら振り払うのよ!」
「分かったっす!」
「行くわよ、はぁぁぁ!」
レインの連撃がソルトへ繰り出される、先程よりも少しスピードが早いが、ソルトは辛うじて回避が出来ていた。
篭手で弾く余裕もなく、試そうとしても弾きとばせなかった。
回避とガードをしながら時間が数十秒、数分と過ぎていく
「集中……更に集中……限界までギリギリで回避しながら、見極めるっす」
ソルトの集中力が極限にまで高まる、するとレインの攻撃が次第にスピードが落ちていく感覚がした。
その時、頭の中にスキルが浮かんだ。
『極限集中』
極限の集中状態により、周囲の時間経過が遅くなるくらい感覚が鋭い状態、超感覚状態になる。
「ふぅ……」
「……!あれはまさか」
レインはソルトに何が起きたのか直ぐに理解した、レインはすぐさま風の力を借りて剣のスピードをMAXまで引き上げる。
「はぁぁぁぁぁ!」
最高速まで加速したレインの連撃を躱し続けるソルト、先程のソルトとは全くの別物にレインは見えていた。
「くっ……やっぱり当たらない!」
「……ふっ!」
「っ!」
ソルトは高速連撃中のレインの上段斬りを魔力を込めた篭手で弾き返した、そしてバランスを崩したレインの懐にすぐさま身体を潜り込ませて蹴り上げる瞬間に寸止めする。
「……お見事ね、ソルト」
「ハァハァ……うっ」
ソルトは極限集中の効果が自然と切れ、身体の力が抜けてしまい膝をついてそのまま倒れてしまった。
「お疲れ様、ソルト。今の目……極限集中のスキルね、あれが発動したら目の瞳孔が少し変わるからすぐ分かったわ、あれやってスキルが切れるとこうなるのよね……後で自力解除の方法を教えなきゃね」
レインはソルトに膝枕をし、頭を優しく撫でる。
見学していたミツキと訓練中のコウガが慌ててこちらに駆けつけたが、レインの説明によって状況を把握。
レインの介護でソルトを部屋で寝かせる事になった。
「っすね、やっぱり反撃するにも脚っていう攻撃手段しかないのがマズイっすかね?」
「んーそうね……私は悪いとは思わないけど、やっぱり脚を出すのと手を出すのでは速度が違うわよね、そこさえ何とかなるのであれば脚だけでも問題はないと思うわ、ただ……臨機応変に対応したいなら武闘術を習得すべきね」
「あ、一応武闘術はあるんっすよ!師匠からの教えが少しあるだけっすから全然っすけど……」
「あらそうなの?ならガードだけじゃなくて、武闘術による手を使った反撃を強化しましょうか!敵の攻撃を手で防ぎ、カウンターを入れてから得意な蹴り技に繋げる!これをコンセプトにしていきましょう」
「了解っす!」
レインとソルトは向き合って立ち、レインは剣を握りこちらに構える。
剣を見るといつの間に木剣に変わっていた、ホントにいつの間にかである。
「さて、まずは避ける練習からしましょうか。敵の武器によって弾くか全て避けるか、決めるといいわ」
「なるほど、例えばレインさんが使う剣だとどうするっすか?」
「私みたいなスピードを活かすような剣なら、受けても避けてもいいわ。ただ重そうな剣ならガードで受けても反撃に持っていきにくいわね」
「なるほどっす」
「まずは私の剣を全て避けなさい!行くわよ!」
「ちょ!いきなりっすか!?」
「はぁぁ!」
レインは模擬戦の時よりはスピードは控えめにしてくれているが、連撃を繰り出してくる。
ソルトは自慢の脚を使ってステップで避けていくが、たまに当たりそうになり篭手を出してしまう。
「このスピードに付いてきなさい!これを全て避けて、いずれ反撃取れるようになれば、スピード系の敵には間違いなく勝てるようになるわ!しっかり見極めて避ける方向考えながら避けなさい!」
「う、うす!」
1時間程レインの連撃を避けまくるソルト、最初こそ篭手を出してしまう事があったものの、慣れてくると回避だけで済むようになってくる。
「うん、こんなものね!元々からある程度出来てたし、筋が良かったから良い感じに避けられるようになったわね!10分程休憩してから次はこのスピードの中で反撃手段を模索していくわよ!」
「う、うっす……」
レインさんめっちゃ元気っすね……なんて体力してんすか……化け物っす化け物。
自分は裏庭にあった長椅子に座って2人の特訓する姿を見る、ご主人は土魔法が使えるようになってたっすね!流石ご主人!
メイランはひたすらアクロバティック飛行してるっす、あんなの自分がやったら酔うっすね……。
「ねぇソルト、あなたの尻尾……凄く綺麗ね。どう手入れしているの?」
「あぁこれっすか?ご主人が綺麗にしてくれたっす」
自分の尻尾が気になるみたいっすから、少しだけ尻尾を揺らしてみたっす。
「えっ?本当に?この揺れる時のふぁさっと感が尋常じゃないくらい綺麗だわ……」
「ホントっす、ご主人は前世で動物の健康管理、そして毛をカットしたり綺麗にしたりする仕事をしてたらしいっすね!トリマーって言うらしいんすけど、櫛の入れ方だったり尻尾オイルの揉み込み方がめちゃくちゃ上手いっす!」
「要するに、その道の専門家って事ね」
「そうっす、めちゃくちゃ上手すぎて気持ちがいいんす!カエデが凄く気に入ってたっすから、試しに昨日やってもらったら腰が抜けてしまったっす……」
「そ、そんなに!?確かに自分でやっても気持ちはいいなって思う時もあるけど……」
「ご主人のあれの気持ちよさは段違いっす、レインさんのご主人はミツキさんっすから、気軽に誘えないのは残念っすけど……あの気持ちよさと綺麗になった尻尾の気持ちよさを知ってしまった以上、狼という種族としては勧めたくなるっす。もちろん尻尾を他人に触らせたくない人も居るのも知ってるっすけどね」
「……」
レインは凄く考え込んだ。
確かに尻尾は綺麗にしたい……でも最近知り合ったばかりの男性、悪い人ではないのは分かってるけど、触らせるのは……。
「悩んでるっすね、まぁこれからもいっぱい関わる事になると思うっす、またいつかって事にするっすよ」
「そう……ね、やっぱり尻尾が綺麗なのは狼の誇り、気持ち的にはやっぱり綺麗にしておきたい。でも私は主様の物……多分主様はダメとは言わないだろうけど……ね、気持ちが決まればあなたに言うわね」
「やっぱそうっすよね、お互いご主人がいるっすから。了解っす」
レインさん、めちゃくちゃ悩んでたっすねやっぱり。
狼という種族なら尻尾を綺麗にしたいのは当たり前なんす、あと狐人族や栗鼠族も尻尾を大事にする種族っすね。
「さぁ!切り替えて続きやるわよ!」
「うっす!」
10分の休憩も終わって訓練再開したソルト達、次は反撃の特訓だ。
「ソルト、魔力って多い方?少ない方?」
「んーどうっすかね?人と比べたことないっすから……まぁ魔力操作は師匠から教えて貰ってたんで、体内に感じる限りだと少ない訳じゃないとは思うっす、まぁただ魔力を使う場面がないっすから正確には答えられないっす」
実際魔力量ってギルドで調べてもらう事も可能なんすけど、やった事無かったっすね。
「なるほどね、まぁ魔力操作をやっていたなら、実戦で使うくらいの魔力はあると仮定して言うわね。篭手に魔力を込めなさい」
「えっ?」
篭手に……魔力を?もしかしてご主人がナイフに風魔力を纏わせるアレっすかね?
「チラ見して見てたけど、あなたの主がやっていたナイフに魔力を纏わせるアレを篭手でやるのよ、属性込み魔力をあんな器用に纏わせる必要はないの、ただ魔力を篭手に集中させるだけでいいわ」
「やってみるっす」
ソルトは魔力操作で魔力を篭手へと誘導していく、魔力操作を師匠から教えて貰っていたのもあり、それ程苦戦することなく出来た。
「うん上出来、教わってたってのも納得ね。これを瞬時に出来るように繰り返して練習するわよ、これが相手の攻撃を弾く為の重要技術だから」
「了解っす!」
この魔力操作を繰り返している内に、おやつにしようと声がかかったので一旦中断。
おやつを食べ終わって再開、そしてやっていく内に瞬時の魔力操作する事に成功したのだった。
「じゃ、実際に剣を弾いてみましょうか。篭手に武器がぶつかった時に、魔力を弾けさせながら振り払うのよ!」
「分かったっす!」
「行くわよ、はぁぁぁ!」
レインの連撃がソルトへ繰り出される、先程よりも少しスピードが早いが、ソルトは辛うじて回避が出来ていた。
篭手で弾く余裕もなく、試そうとしても弾きとばせなかった。
回避とガードをしながら時間が数十秒、数分と過ぎていく
「集中……更に集中……限界までギリギリで回避しながら、見極めるっす」
ソルトの集中力が極限にまで高まる、するとレインの攻撃が次第にスピードが落ちていく感覚がした。
その時、頭の中にスキルが浮かんだ。
『極限集中』
極限の集中状態により、周囲の時間経過が遅くなるくらい感覚が鋭い状態、超感覚状態になる。
「ふぅ……」
「……!あれはまさか」
レインはソルトに何が起きたのか直ぐに理解した、レインはすぐさま風の力を借りて剣のスピードをMAXまで引き上げる。
「はぁぁぁぁぁ!」
最高速まで加速したレインの連撃を躱し続けるソルト、先程のソルトとは全くの別物にレインは見えていた。
「くっ……やっぱり当たらない!」
「……ふっ!」
「っ!」
ソルトは高速連撃中のレインの上段斬りを魔力を込めた篭手で弾き返した、そしてバランスを崩したレインの懐にすぐさま身体を潜り込ませて蹴り上げる瞬間に寸止めする。
「……お見事ね、ソルト」
「ハァハァ……うっ」
ソルトは極限集中の効果が自然と切れ、身体の力が抜けてしまい膝をついてそのまま倒れてしまった。
「お疲れ様、ソルト。今の目……極限集中のスキルね、あれが発動したら目の瞳孔が少し変わるからすぐ分かったわ、あれやってスキルが切れるとこうなるのよね……後で自力解除の方法を教えなきゃね」
レインはソルトに膝枕をし、頭を優しく撫でる。
見学していたミツキと訓練中のコウガが慌ててこちらに駆けつけたが、レインの説明によって状況を把握。
レインの介護でソルトを部屋で寝かせる事になった。
応援ありがとうございます!
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