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58話 仲間として

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 特訓後、クロエとカエデとシェミィが帰ってきたので、ミツキさん家で晩御飯を頂く。
 その後メイランの様子を見に行くと、メイラン身体を起こして窓から外を眺めていた。

「起きたか、どうだ?具合は」
「コウガ様……えぇ、大丈夫よ」

 こちらを一瞬見てくれたが、すぐに窓の外へと視線を送った。

「コウガ様、私……慢心してたみたい」
「慢心?」
「私、コウガ様に買って貰ってからずっと、空を飛んで火を吐くだけで敵を倒してきた。だから今日対人やってみてよく分かった、ただただ攻撃の当たらない所から火を吐いてただけで、戦いじゃなかったって事を……」

 そう語りながら、メイランは外を見ながら目をつぶった。
 よく見ると涙袋に薄らと涙が見えた。

「メイラン……」
「ツバキさんに叩き込んで貰ってなかったら、団体戦でみんなに大恥をかかせてしまう所だったわ……ごめんなさい」

 頭を下げるメイラン、涙が頬を伝う。
 俺はメイランに近寄り、涙を指で拭ってから頭を撫でる。

「気にしなくていいぞ、今日の特訓が意味ある物になったんだ、自分のダメな所を気付かせてくれたツバキに感謝だな」
「そうね……ごめんなさいコウガ様……」
「全く!そんな事気にしてるっすか?」
「えっ?」

 振り向くといつの間にか部屋の扉が開かれていて、そこにはソルトが居た。

「メイラン、自分達がそんな事で恥かくと思うっすか?」
「ソルト……」
「自分だって、今日で色々弱点見付かったっす……この特訓していなかったらって確かに思うっす。でも、ご主人や自分ならメイランの至らない部分はフォローし合うっす!逆に自分達が至らない部分はメイランが補えるっす!支え合えば良いだけっす!それで負けたなら、自分達みんなが力及ばずって事っすよ。だから恥かくかかないじゃなくて、みんなで力を合わせてっすね……うおっ!?」

 まだソルトの話は続きそうだったが、途中でメイランがソルトに抱きついた。
 話している途中だったからか、びっくりして耳と尻尾がピンと伸びていた。

「ごめんなさいソルト、かなり弱気になってたわ……」
「……良いっすよ、自分達仲間なんすからもっと頼ってほしいっす。っすよね?ご主人」

 メイランに抱きつかれてるので、首だけこちらに向けてきた。

「だな、もちろんソルトも頼ってくれよ?」
「もちろんっす、自分も……ご主人やみんなと良い関係で居たいっすからね」
「みんな……ありがとう」

 俺は抱きついてる2人をまとめて抱きしめた。

「2人共、団体戦頑張ろうな!」
「もちろんす!」
「ええ!」

 ぐうーーーっ

「あっ……」

 決意新たにって所でメイランのお腹の虫が鳴った。

「あはは!メイラン締まらないっすねぇ!」
「し、仕方ないじゃない!さっき目覚めて晩御飯食べてないんだから!!」

 顔を真っ赤にさせてメイランが怒っている、もう大丈夫そうだな。
 ソルトが来たおかげで上手く纏まった気がする。

「メイラン、ヴィーネに頼んでご飯温めてもらってくるけど、この部屋で食べるか?」
「もう身体は大丈夫だから、食卓で食べるわ」

 食卓へ移動するとツバキが机に座っていた。

「あっ、メイラン殿……身体は……」
「ええ、もう大丈夫よ」
「よかった……」

 ツバキが不安な顔から安心した顔へと変わる。

「あの、それがし……やり過ぎたって反省してる、ごめんなさい」

 ツバキが机から立ち上がり、頭を下げた。

「ツバキさん顔を上げて、私が弱かっただけだから……」
「そんな事ない!メイラン殿は、それがしのあの糸をあれだけ躱して見せた!誇っていい!」
「ツバキさん……」

 こうしてみるとツバキの印象がかなり違って見えるな。
 最初はあんなにくノ一らしくてクールだった印象が、メイランと関わるにつれてくノ一らしさが少しだけ抜けていた。

「もうメイラン殿はみんなと張り合える力を確かに持ってる、大丈夫」
「……ありがとう、ツバキさん。また一緒に特訓してくれる?」
「もちろん」

 メイランがツバキへ手を出して握手を求めると、ツバキが応える。
 すると丁度いいタイミングで、奥からヴィーネが夕飯を持って現れた。

「メイランさん、夕飯が出来ました。起きたてですからゆっくり食べてくださいね」
「ありがとうヴィーネさん、頂きます」

 メイランはゆっくりと夕飯をお腹へ入れていった。


 メイランが夕飯を食べ終わる頃、俺は先延ばしにしていたあの件を決める為にメイランとソルトへ問いかけた。

「なぁ2人共、そろそろチーム名決めたいんだが、いい案あるか?」
「あー、そういや決めてなかったっすね、確か明日中に決めなきゃいけなかったんすよね?」
「そう、だから今の内に決めたい。カエデも呼んで決めようか」
「呼ばれて飛び出て来たよ!」

 別室に居たカエデがこちらに駆け寄ってきた、聞き耳立ててたな?

「カエデ、タイミング良すぎるぞ?聞き耳立ててたか?」
「えっ、ナンノコトカナー?」

 あからさま過ぎる!隠すの下手すぎだろ、でもそんな姿も可愛いよカエデ。

「ま、いいか!じゃみんなで決めようか、案がある人!」
「はいはいはい!」

 1番早く元気に手を上げたカエデ。

「はいカエデ」
「シェミィが1番目立つから、ねこねこ団とかどう!?」

 ねこねこ団……!?すっごくファンシーな団だな、可愛いけど。
 俺は手元に用意してあった紙に候補をメモしておく。

「ねこねこ団っと。はい次案ある人!」

 少し間が空いて1つ手が上がる、次に手を挙げたのがメイランだった。

「ほいメイラン」
「ドラゴンバスターとかはどうかしら?今操られたドラゴンを探して旅してるんだし、旅の意味を表してて良いと思うわ」

 確かに旅の目的にするなら良い名ではある、ただ目的を達した後もその名を語り継ぐ事になるからアレだが……まぁ取り敢えず候補だな。

「なるほど、旅の目的を忘れない為の名前だな、ドラゴンバスターっと。ソルトは何か良い名前思い付くか?」
「んー……自分こういう名付けってした事無くて思い付かないんすよね、もう少し考えていいっすか?」
「あぁ、もちろんだ。これからその名を語り継ぐ事になるからな、慎重にいこう」

 暫く考え込む4人、1分、3分、5分と時間が過ぎていく。

「思い付かないっす……ご主人は何か良い案ないっすか?」

 ソルトに名付けを振られて期待の眼差しをする3人。

「お、俺か?俺も名付けってした事無くて苦手なんだよなぁ……」
「自分と一緒っすね」
「もー、それじゃ決まんないよー!ご主人様もソルトもしっかりー!」
「そうよ、みんなで決めなきゃいけない大事な問題なのだから、しっかりしなさいな」

 カエデとメイランが軽く怒っている、確かにみんなで決めなきゃいけない問題だからな……しっかりしなければ。

「ん……変なネーミングとか言って笑わないで欲しいっすよ?」
「笑うもんか、言ってみ」

 ソルトが咳払いして、みんなの目を見てから口を開く。

「大きな翼で飛び立つ狼……フライロウなんてどうっすか?」

 大きな翼で飛び立つ狼……いいなそれ、今のPTにピッタリじゃないか。

「ふむ……フライロウか」
「や、やっぱり無しっす!恥ずかしい!」

 顔を真っ赤にして恥ずかしがるソルトだが、俺は恥ずかしいとは思わない。

「……いや、大きな翼で飛び立つ狼……それ良いな」
「えっ?」
「俺の世界の言い方で言うならば、大翼狼たいよくろう……別名マクロプラタスヴォルフとかどうだ!?」
「「「……!」」」

 3人は目を見開いてその名を連呼した。

「良い、カッコイイね!」
「そうね、良いんじゃないかしら?」
「決まりっす!」

 そうしてチーム名は大翼狼、マクロプラタスヴォルフと決まったのだった。

 そしてその夜、ミツキさん家には大きなお風呂があるとの事なので入る事にする。
 カエデやメイラン、ソルトが風呂の説明をヴィーネから受けていた、それを見ているとカエデとメイランがお互い頷きあっていた。
 何を話してるのか分からないが、きっと女性陣みんなで入るのだろう。
 あ、俺はミツキとだよ?さすがにハーレムお風呂なんて……

「ねぇ!みんなで入ろ!ご主人様も!」
「そうね、コウガ様如何かしら?」

 いきなり爆弾発言しだしたよこの2人、え?俺と入りたいの?

「えっ!?いや、さすがに男女一緒に入るのは……」
「よく考えなさい、私達奴隷よ?コウガ様が入りたいと言ったら入れるのよ?」
「いや……しかし……」
「2人が入りたいって言ってるんすから行くっすよ!(自分まだ恥ずかしいんすけど!?!?何か逆らうと怖そうっすから、ついご主人の背中押しちゃったっすよ!?)」
「ち、ちょ!?」
「行ってらっしゃいコウガさん!この時の為にヴィーネに頼んで湯浴み用肌着用意してあるんでごゆっくり!」

 ミツキよ、何でそんなにこやかにサムズアップしてんだ!?男女一緒に入るんだぜ?しかも他人の家の風呂だぞ、ホントに!?

 結局全員まとめてお風呂入る事になったのであった。
 湯浴み用肌着は極限に薄くした服みたいな物なのだが、両脇や背中が空いており、そこから手を入れて身体を洗える仕組みみたいだ。
 大事な所はきちんと隠れているがボディラインがめちゃくちゃくっきりでかなりいやらしい……。
 ちなみにイヤーンな事はしてないよ?ただ……みんなの柔らかそうな膨らみを見てしまって息子が粗相をしてしまった……そしてそれをみんなに見られて恥ずかしさで吹き飛びそうになったのは、また別のお話……
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