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59話 3対3
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武闘会まで残り1日。
俺は特訓前、ミツキに武闘会の受付に連れて行って欲しいと頼んで転移させてもらった、チーム名を登録する為だ。
受付に向かうと、最初受付をしてくれたお姉さんが居たのでそこへ向かう。
「すみません!」
「あっ、サンビーク推薦枠のコウガさん!チーム名が決まったんですね?」
「はい!これで大翼狼でお願いします、別名マクロプラタスヴォルフです」
「かしこまりました、大きな翼の狼……良いですね、カッコイイと思います!では登録しておきますね」
「お願いします」
登録も終わったので、ミツキ家にUターン。
「なるほど、大翼狼ですか!カッコイイですね」
「漢字で書けばカッコイイよな、この世界の文字に変換されるからアレだが」
「まぁ、それは仕方ないですね」
そう話しながら路地裏へ行き、誰も居ない事を確認して転移する、直接裏庭へ転移してもらった。
「ただいま」
「「おかえりなさい」っす!」
いつも通りのメイランに元気に応えてくれるソルト、カエデが居ないからソルトがムードメーカー的存在に見えるね。
少し離れた所で準備運動をしていたティナがこちらに歩いてきた。
「帰って来たなコウガ殿、今日は3対3で良いのだな?」
「あぁ、それで頼む」
「うむ、よろしく頼むぞ」
俺とティナで握手を交わし、お互い離れた位置から武器を構える、レインは素手で戦うようだ。
中央付近でミツキとヴィーネが審判を務めるみたいだ。
「俺が審判を務めます!双方準備はいい?」
ミツキが右手を挙げて俺とティナの顔を交互にみた。
「いつでもいいぞ」
「こちらもOKだ」
「よし、それじゃ始め!」
ミツキの右手が振り下ろされ、3対3の模擬戦が開始された。
即座にティナ、レイン、ツバキがフォーメーションを組んで動き出す。
「こちらから行くぞ!ツバキ!レイン!」
「ふっ!」
「風よ……」
ティナがタンクとして前に出ると、ツバキが裏で手裏剣を5つ牽制がてらに放つ。
レインは風を纏わせながら魔法の詠唱を始めた。
「みんな!来るぞ!」
俺とソルトは最小限の移動で手裏剣を回避、メイランは空へ飛び上がった。
投げられた手裏剣は闇の空間に消えていく。
手裏剣を回避した瞬間に、俺は牽制で氷魔法を放つ。
「アイスショット!」
氷の礫をレインに向けて放つがティナによって防がれる。
「コウガ様!ソルト!手裏剣に糸が括り付けられててまだ近くに残ってるわ!気をつけて!」
「「!?」」
よく見ると太陽に反射されてなのかキラリと光る筋が見えた、あれが糸か!
「糸炎!」
糸炎って声と共にティナは姿勢を低くする、するとティナの上から伸びている糸を伝わせて炎が一直線に伸びてくる。
「危な!?」
俺は糸のすぐ側に居た事により炎に当たりそうになったが、しゃがんで回避した。
そこに地面に手をつくレインによって風魔法が放たれた。
「吹き付けて!ウインドブロウ!」
俺の下から風が発生し、強風が真上へ吹き付けられる。
「うわぁぁぁ!?」
強風で俺が上空へ吹き飛ばされると共に、炎も一緒に上空へ撒き散らされて火の玉となってメイランとソルトに降り注ぐ。
「くっ……コウガ様!」
メイランは火の玉は回避しつつ、打ち上げられた俺を助けに向かう。
特訓で機動力を手に入れたメイラン、火の玉をアクロバティック飛行で回避していき、俺を何とかキャッチする。
ソルトも火の玉を回避しつつ相手を見る。
「まずいっす、レインさんとツバキさんを止めないとっすね」
ソルトはツバキに向かって走り出す。
「止めてみせるっす!瞬歩!」
アクセルブーストより速い移動でツバキに詰め寄る。
しかし、こちらの行動をしっかり凝視していたティナがソルトの瞬歩を盾で防ぐ、盾と膝がかち合い拮抗する。
「くっ!?」
「かなり速いが、そんな見え見えな加速を見逃す訳にはいかないな」
レインがティナを飛び越えるようにジャンプし、握り拳に風を纏わせて殴りつけてきた。
「はぁぁぁぁ!」
「やば!」
慌ててバックステップで距離を取ると、ソルトの居た所に拳が着地して地面が抉れる。
「逃がさん!蒼破!ふっ!」
バックステップしたソルトに目掛けて、ティナの蒼破2連撃が地面を抉りながら襲いかかる。
「っ!?」
ソルトは地面に着いた脚で思いっ切り地面を蹴り飛ばして横に回避する。
「あら、避けられたわね」
「聞いてた通り動きはなかなかだな、これからに期待だ」
俺はレイランに抱えられながらソルトの攻防をチラ見した。
この間にもツバキの投擲攻撃は続いており、メイランの回避能力に助けられている、これがメイランの特訓の成果か。
少々激しい動きなので酔いそうだが、そんな事言ってられない。
「まずいな、ティナの防御力は体験済みだから分かるが、あれを破るのは難しいぞ」
「そうみたいね、コウガ様どうする?」
俺は考える、しかし全く対策が見えてこない。
さすがAランク冒険者PT……連携がばっちりだ。
ツバキの糸炎発動の際のティナの回避タイミング、ツバキの糸炎による炎をレインの風魔法で拡散、ツバキやレインを狙う敵前衛を防ぐティナに隙なく援護攻撃をするレイン、逃げる敵にはそこへティナが蒼破を放つ追撃の2段構え……見事な連携だ。
正直な所、カリオンさん夫婦+サリーナさんのPTとじゃ比較にならない……これがAランク……!
こんな強いPTや、個人では最強クラスであろうクロエを引き連れるミツキ……あんたホントに何者だ?ただの日本人には見えないぞ……
「このままじゃ各個撃破される、ソルト!一旦下がってくれ!」
「うっす!」
ソルトはバックステップからのバク宙で俺の元に帰ってくる。
俺もずっとメイランに抱き抱えられたままな訳にはいかないので降りる。
「下がったとて!私達は止まらんぞ!」
ティナとツバキが前進して距離を詰めてくる、それに合わせてレインも風の力を使ってこちらへ向かってくる、レインの標的になったのは俺だ。
「コウガさん!貴方も今は狼、狼同士私の相手になってもらうわよ!はぁぁぁぁ!」
「速い!」
俺はアイスウォールを発動する、ただ今までのような大きい壁ではなく、腕に篭手のように氷を展開する。
魔力を強く流せば更に硬くなる防具代わりだ。
「っ、硬い!」
レインは素早く連撃を加えるが、当たりそうな所に小さくアイスウォールを展開し、最低限魔力で防御していく。
素早い魔力操作はお手の物、さすがはDEXがA+なだけあるね。
一方、ツバキとティナもメイランとソルトの元に到着。
ツバキは手裏剣とクナイを巧みに操り、糸攻撃も絡めて動きを制限してくる。
ソルトは篭手に魔力を流してティナの剣を何とか凌ぐ、合間に隙を見て蹴り技を差し込もうとするもティナに見切られる。
メイランも飛び上がりつつ牽制で火球を放つが、全てツバキのクナイにて真っ二つにされる。
「っ!きついっすね、いっ!」
ソルトが糸に接触し腕を少し切る。
その隙をを見てティナの大きな一撃が飛んでくる。
「ふっ!重撃!」
「があぁぁっ!!」
「ソルト!」
重撃の衝撃が、糸に動きを制限されたソルトに命中し吹き飛ばされて倒れる。
剣を直接当てていないのを見るに加減は出来てるようだ。
「メイラン殿、余所見したらダメだって昨日体験したよね?」
「っ!?」
一瞬目を離した隙に背後よりツバキが迫っており、昨日と同じく背中を斬られる。
「あぁっ!」
背中を斬られたメイランはその場で倒れこんだ。
「仲間のピンチは自分のピンチ、しっかり覚える」
その声を聞いて、ソルトとメイランは意識を消失させた。
俺は特訓前、ミツキに武闘会の受付に連れて行って欲しいと頼んで転移させてもらった、チーム名を登録する為だ。
受付に向かうと、最初受付をしてくれたお姉さんが居たのでそこへ向かう。
「すみません!」
「あっ、サンビーク推薦枠のコウガさん!チーム名が決まったんですね?」
「はい!これで大翼狼でお願いします、別名マクロプラタスヴォルフです」
「かしこまりました、大きな翼の狼……良いですね、カッコイイと思います!では登録しておきますね」
「お願いします」
登録も終わったので、ミツキ家にUターン。
「なるほど、大翼狼ですか!カッコイイですね」
「漢字で書けばカッコイイよな、この世界の文字に変換されるからアレだが」
「まぁ、それは仕方ないですね」
そう話しながら路地裏へ行き、誰も居ない事を確認して転移する、直接裏庭へ転移してもらった。
「ただいま」
「「おかえりなさい」っす!」
いつも通りのメイランに元気に応えてくれるソルト、カエデが居ないからソルトがムードメーカー的存在に見えるね。
少し離れた所で準備運動をしていたティナがこちらに歩いてきた。
「帰って来たなコウガ殿、今日は3対3で良いのだな?」
「あぁ、それで頼む」
「うむ、よろしく頼むぞ」
俺とティナで握手を交わし、お互い離れた位置から武器を構える、レインは素手で戦うようだ。
中央付近でミツキとヴィーネが審判を務めるみたいだ。
「俺が審判を務めます!双方準備はいい?」
ミツキが右手を挙げて俺とティナの顔を交互にみた。
「いつでもいいぞ」
「こちらもOKだ」
「よし、それじゃ始め!」
ミツキの右手が振り下ろされ、3対3の模擬戦が開始された。
即座にティナ、レイン、ツバキがフォーメーションを組んで動き出す。
「こちらから行くぞ!ツバキ!レイン!」
「ふっ!」
「風よ……」
ティナがタンクとして前に出ると、ツバキが裏で手裏剣を5つ牽制がてらに放つ。
レインは風を纏わせながら魔法の詠唱を始めた。
「みんな!来るぞ!」
俺とソルトは最小限の移動で手裏剣を回避、メイランは空へ飛び上がった。
投げられた手裏剣は闇の空間に消えていく。
手裏剣を回避した瞬間に、俺は牽制で氷魔法を放つ。
「アイスショット!」
氷の礫をレインに向けて放つがティナによって防がれる。
「コウガ様!ソルト!手裏剣に糸が括り付けられててまだ近くに残ってるわ!気をつけて!」
「「!?」」
よく見ると太陽に反射されてなのかキラリと光る筋が見えた、あれが糸か!
「糸炎!」
糸炎って声と共にティナは姿勢を低くする、するとティナの上から伸びている糸を伝わせて炎が一直線に伸びてくる。
「危な!?」
俺は糸のすぐ側に居た事により炎に当たりそうになったが、しゃがんで回避した。
そこに地面に手をつくレインによって風魔法が放たれた。
「吹き付けて!ウインドブロウ!」
俺の下から風が発生し、強風が真上へ吹き付けられる。
「うわぁぁぁ!?」
強風で俺が上空へ吹き飛ばされると共に、炎も一緒に上空へ撒き散らされて火の玉となってメイランとソルトに降り注ぐ。
「くっ……コウガ様!」
メイランは火の玉は回避しつつ、打ち上げられた俺を助けに向かう。
特訓で機動力を手に入れたメイラン、火の玉をアクロバティック飛行で回避していき、俺を何とかキャッチする。
ソルトも火の玉を回避しつつ相手を見る。
「まずいっす、レインさんとツバキさんを止めないとっすね」
ソルトはツバキに向かって走り出す。
「止めてみせるっす!瞬歩!」
アクセルブーストより速い移動でツバキに詰め寄る。
しかし、こちらの行動をしっかり凝視していたティナがソルトの瞬歩を盾で防ぐ、盾と膝がかち合い拮抗する。
「くっ!?」
「かなり速いが、そんな見え見えな加速を見逃す訳にはいかないな」
レインがティナを飛び越えるようにジャンプし、握り拳に風を纏わせて殴りつけてきた。
「はぁぁぁぁ!」
「やば!」
慌ててバックステップで距離を取ると、ソルトの居た所に拳が着地して地面が抉れる。
「逃がさん!蒼破!ふっ!」
バックステップしたソルトに目掛けて、ティナの蒼破2連撃が地面を抉りながら襲いかかる。
「っ!?」
ソルトは地面に着いた脚で思いっ切り地面を蹴り飛ばして横に回避する。
「あら、避けられたわね」
「聞いてた通り動きはなかなかだな、これからに期待だ」
俺はレイランに抱えられながらソルトの攻防をチラ見した。
この間にもツバキの投擲攻撃は続いており、メイランの回避能力に助けられている、これがメイランの特訓の成果か。
少々激しい動きなので酔いそうだが、そんな事言ってられない。
「まずいな、ティナの防御力は体験済みだから分かるが、あれを破るのは難しいぞ」
「そうみたいね、コウガ様どうする?」
俺は考える、しかし全く対策が見えてこない。
さすがAランク冒険者PT……連携がばっちりだ。
ツバキの糸炎発動の際のティナの回避タイミング、ツバキの糸炎による炎をレインの風魔法で拡散、ツバキやレインを狙う敵前衛を防ぐティナに隙なく援護攻撃をするレイン、逃げる敵にはそこへティナが蒼破を放つ追撃の2段構え……見事な連携だ。
正直な所、カリオンさん夫婦+サリーナさんのPTとじゃ比較にならない……これがAランク……!
こんな強いPTや、個人では最強クラスであろうクロエを引き連れるミツキ……あんたホントに何者だ?ただの日本人には見えないぞ……
「このままじゃ各個撃破される、ソルト!一旦下がってくれ!」
「うっす!」
ソルトはバックステップからのバク宙で俺の元に帰ってくる。
俺もずっとメイランに抱き抱えられたままな訳にはいかないので降りる。
「下がったとて!私達は止まらんぞ!」
ティナとツバキが前進して距離を詰めてくる、それに合わせてレインも風の力を使ってこちらへ向かってくる、レインの標的になったのは俺だ。
「コウガさん!貴方も今は狼、狼同士私の相手になってもらうわよ!はぁぁぁぁ!」
「速い!」
俺はアイスウォールを発動する、ただ今までのような大きい壁ではなく、腕に篭手のように氷を展開する。
魔力を強く流せば更に硬くなる防具代わりだ。
「っ、硬い!」
レインは素早く連撃を加えるが、当たりそうな所に小さくアイスウォールを展開し、最低限魔力で防御していく。
素早い魔力操作はお手の物、さすがはDEXがA+なだけあるね。
一方、ツバキとティナもメイランとソルトの元に到着。
ツバキは手裏剣とクナイを巧みに操り、糸攻撃も絡めて動きを制限してくる。
ソルトは篭手に魔力を流してティナの剣を何とか凌ぐ、合間に隙を見て蹴り技を差し込もうとするもティナに見切られる。
メイランも飛び上がりつつ牽制で火球を放つが、全てツバキのクナイにて真っ二つにされる。
「っ!きついっすね、いっ!」
ソルトが糸に接触し腕を少し切る。
その隙をを見てティナの大きな一撃が飛んでくる。
「ふっ!重撃!」
「があぁぁっ!!」
「ソルト!」
重撃の衝撃が、糸に動きを制限されたソルトに命中し吹き飛ばされて倒れる。
剣を直接当てていないのを見るに加減は出来てるようだ。
「メイラン殿、余所見したらダメだって昨日体験したよね?」
「っ!?」
一瞬目を離した隙に背後よりツバキが迫っており、昨日と同じく背中を斬られる。
「あぁっ!」
背中を斬られたメイランはその場で倒れこんだ。
「仲間のピンチは自分のピンチ、しっかり覚える」
その声を聞いて、ソルトとメイランは意識を消失させた。
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