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第6章
地球に帰る
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「スイ! スイちゃん!」
誰かが呼ぶ声がする。それは少しずつだが、はっきりと耳に聞こえてくるような気がした。
「おい! スイ! しっかりしろ!」
この声は聞き覚えがある。お母さんとお父さんだ。
「お姉ちゃん!」
ああ、分かる。弟のセイちゃんの声だ。
「お姉ちゃんが目を開けたよ!」
セイちゃんが耳元で大声を上げると、急に周りが慌ただしくなってきた。手も足も重くて自由に動かせないし、何だか長い間、眠っていたような感じ。
若い看護師のお姉さんが、慌てて主治医の先生を呼びに行った。
「先生、先生! お昼休み中にすみません。木山スイさんの意識が戻りました!」
ナースステーションから廊下中に響き渡るような、大きな声だった。
「おお、スイ! 私だ! 分かるか? お父さんだよ」
「スイちゃん! お母さんもいるわ!」
「お姉ちゃん!」
耳元で、それに足元で大声をあげる家族の声に、スイちゃんはうるさいなと、ちょっぴり思った。
大きく目を開けると、ここはどこだ? 見知らぬ白い天井。お家の見慣れた自分の部屋ではない。どう見ても病院の部屋だった。
あれ? 今まで火星にいたんじゃなかったの?
「……スピちゃん、オポちゃん、キューちゃん、それにパーシーは?」
「何を言っているんだ、スイ! 大丈夫か?」
「ちょっと、お父さん! スイちゃんはまだ目覚めたばかりで、混乱しているのよ!」
「うわあああん! よかった! お姉ちゃんが起きたよ!」
これは、しばらく静かになりそうもないなと、ぼんやりとした頭で考えたのだ。
「そうだ! 何かもらったんだ」
スイちゃんの急な声に、病室の皆がびっくりした。構わず着ているパジャマのポケットをごそごそ探すと、何かが指先の爪に引っかかった。
「これ、確かオポちゃんがくれたはず」
スイちゃんが握り締めていた手を開けると、そこには……。
お父さんも、お母さんも、セイちゃんも、看護師のお姉さんも、それに白衣を着た先生までもが、手の中を覗き込んだ。
そこには確かに赤色のきれいな小石があったのだ。それも、あまり見たことのないような、しましまもようだった。とても小さく軽くて、まるでサンゴのかけらのような石だと思った。
「何だ、この石は?」
お父さんが首を傾げると、先生が言う。
「おそらく……ですが、洗濯後のパジャマに入っていたということは、誰かのイタズラだと思われます」
それを聞いたスイちゃんは思わず叫んだ。
「違うわ! これは火星の人達からもらった物なの」
「火星……? 何のこと?」
お母さんが心配そうにスイちゃんの顔を覗き込むと、看護師さんが答えた。
「スイさんは、意識を取り戻したばかりなので……。どうか安静にしてあげて下さい」
「分かりました。先生、引き続きよろしくお願いします」
ようやく病室が静かとなった。スイちゃんは手の中の石を握り締めると、少しだけ悲しくなった。家族の皆と会えたというのに。地球に無事、戻ってこられたというのに。
誰かが呼ぶ声がする。それは少しずつだが、はっきりと耳に聞こえてくるような気がした。
「おい! スイ! しっかりしろ!」
この声は聞き覚えがある。お母さんとお父さんだ。
「お姉ちゃん!」
ああ、分かる。弟のセイちゃんの声だ。
「お姉ちゃんが目を開けたよ!」
セイちゃんが耳元で大声を上げると、急に周りが慌ただしくなってきた。手も足も重くて自由に動かせないし、何だか長い間、眠っていたような感じ。
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「先生、先生! お昼休み中にすみません。木山スイさんの意識が戻りました!」
ナースステーションから廊下中に響き渡るような、大きな声だった。
「おお、スイ! 私だ! 分かるか? お父さんだよ」
「スイちゃん! お母さんもいるわ!」
「お姉ちゃん!」
耳元で、それに足元で大声をあげる家族の声に、スイちゃんはうるさいなと、ちょっぴり思った。
大きく目を開けると、ここはどこだ? 見知らぬ白い天井。お家の見慣れた自分の部屋ではない。どう見ても病院の部屋だった。
あれ? 今まで火星にいたんじゃなかったの?
「……スピちゃん、オポちゃん、キューちゃん、それにパーシーは?」
「何を言っているんだ、スイ! 大丈夫か?」
「ちょっと、お父さん! スイちゃんはまだ目覚めたばかりで、混乱しているのよ!」
「うわあああん! よかった! お姉ちゃんが起きたよ!」
これは、しばらく静かになりそうもないなと、ぼんやりとした頭で考えたのだ。
「そうだ! 何かもらったんだ」
スイちゃんの急な声に、病室の皆がびっくりした。構わず着ているパジャマのポケットをごそごそ探すと、何かが指先の爪に引っかかった。
「これ、確かオポちゃんがくれたはず」
スイちゃんが握り締めていた手を開けると、そこには……。
お父さんも、お母さんも、セイちゃんも、看護師のお姉さんも、それに白衣を着た先生までもが、手の中を覗き込んだ。
そこには確かに赤色のきれいな小石があったのだ。それも、あまり見たことのないような、しましまもようだった。とても小さく軽くて、まるでサンゴのかけらのような石だと思った。
「何だ、この石は?」
お父さんが首を傾げると、先生が言う。
「おそらく……ですが、洗濯後のパジャマに入っていたということは、誰かのイタズラだと思われます」
それを聞いたスイちゃんは思わず叫んだ。
「違うわ! これは火星の人達からもらった物なの」
「火星……? 何のこと?」
お母さんが心配そうにスイちゃんの顔を覗き込むと、看護師さんが答えた。
「スイさんは、意識を取り戻したばかりなので……。どうか安静にしてあげて下さい」
「分かりました。先生、引き続きよろしくお願いします」
ようやく病室が静かとなった。スイちゃんは手の中の石を握り締めると、少しだけ悲しくなった。家族の皆と会えたというのに。地球に無事、戻ってこられたというのに。
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