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第1章 オーク豚の百合嵐風煮込み
第9話風 あの日のシャルロットちゃん~其の二
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【背中の剣に宿るメイドちゃん視点】
正直ちょっと解りづらいですが、アルバイト中年ユウィン=リバーエンド様。私はその背中の剣に宿るメスのドラゴンです。現在主人は肉屋でバイトしてます。中年男性のアルバイトに世間の風は冷たく、次々仕事を押し付けられ、出前を任された所です。
「では店長。出前行ってきやす」
マスターが「肉の朝立ち」から風呂敷片手に出前に出た刹那にそれは起きました。お店に入ろうとしているお客さんと激突したのです。張り切りすぎて勢い良く飛び出したものだからつんのめって押し倒した形になってます!
――ポイーン
二の腕の感触に近い。
だがそれは顔面を受け止める質量と抱擁感に満ちている。
「おぅ?」
「にゃ?」
――ポイーンポイーンポイーン
単語が浮かぶ、ノーブラ。
「んんん?」
「んっ……」
何言っとるんですか、やっとるんですかマスター。こともあろうに押し倒したお客様のチチを揉むなんてぇ! 漫画じゃないんですから普通に逮捕されますよっ。トラブルとかラッキースケベじゃ済まされませんよ。
「あぁすまない……怪我はないだろうか」
感情に乏しいマスターはお客様を押し倒し、チチを揉んだにも関わらず、無表情に先に起き上がって手を差し伸べています。
「う、うん……ごめんなさい。ぶつかっちゃって」
あ、ラッキースケベで済まされそう。良かった。ラノベの世界でも許されるみたいですね。マスターは大量のパンの耳を持った少女を抱き起こしました。
「俺はこの肉屋の新入バイトだ。労災が降りないから怪我しないで助かった……君のチチに感謝だ」
何言ってんだこの人?
「ボ、ボクの胸で人が助けられて……よかったです」
あれ? 頭の緩い娘なんですかね。嬉しそうです。
「ボク……胸にコンプレックスがあったから……」
「何を言っている。デカイ事は良いことだ」
そんな意味不明なやり取りを肉屋の店頭でしていたら店長さんが出てきました。何やら怒ってるっぽいです。
「おい新入りぃ……何やってる」
マスターは店長に向き直ります。
「このお嬢さんのチチに助けられまして」
何言ってんだこの人?
「……お前クビ」
解雇されました。
シャルロットさんと、後の担任教師ユウィン様の微妙な出会いが描かれた所で場面が変わります。
【シャルロットの従姉妹マリィさん目線】
あたしはマリィ。
王都トロンリーネージュにも支店があるキャバクラ「ZANGEザンゲ」の大元、サンディ商会の社長をしている。
今日は両親が死んで従姉妹のシャルロットが行方不明になってるだとか組の者に聞いたので王都くんだりまで出張ってきたのだ。
「ねぇアンリエッタ? シャルロットの父親……デイオール卿って他所(よそ)に女作り過ぎて刺されて屋敷毎燃やされたって本当?」
「残念ですがそのようです。でも従姉妹の女の子の為に出向いて来るなんて。マリィさんにも人間らしい感情があったんですね。嬉しいです」
この失礼な娘はアンリエッタ=トロンリーネージュ――この国の皇女だ。この娘とはウチの支店を王都に出す時にモメて、それ以来何故か気が合ったので友達をやっている。
「あたしはまぁ……親類があんまいないからね。ちょっと心配なんだ。あの娘変な子だから」
ほっといたら河っぺりとかで住んだりする娘なのよね。
「それとマリィさん……後ろの怖い黒服の人達どうにかしてくれません?」
あたしの護衛達でみんな人相が悪い。
アンリエッタは皇女、それもそうだね。この娘と一緒に表参道を歩くにはイメージが悪いか。
「お前達。その辺で遊んどきなさい――上品にね?」
「し、しかしアネさん」
「いいから。アンリエッタの護衛(ガード)もいるみたいだし」
「……へい。わかりやした」
あたしの後ろに5人いた組の者は渋々散っていった。
アンリエッタは少し意外だったみたいだ。
「クロードの気配に気付いていたんですか?」
「ん? あぁ何となくね」
彼女の護衛の執事だ。姿は見えないが何処かに|居る(・・)のは解る。こんな商売やってると変な野生の勘が身につくものだ。
「で、アンリエッタ。これ何処向かってるの?」
「河原ですよ」
河原? まさか~。
「どうやらマリィさんの従姉妹、シャルロットさんは橋の下で暮らしてるみたいなんです」
「あぁ……そうなんだぁ」
やっぱりか。
来て正解だった。あの娘可愛いのにやっぱり変だ。昔から変わってない。
丁度、王都表参道から一本郊外に入った所で良い匂いがする。あ、この店は――
「アンリエッタ。ちょっとパン買って良い? あたしこの店気に入ってるの」
「”パンの二本刺し”? 何故か名前に凄い嫌悪感が……美味しそうに見えないですけど」
アンリエッタが綺麗な顔を歪ませている。名前はともかくここのパン美味しいのよ? 彼女の分も買って上げるとするか。串が前と後ろに2本刺さった名物、2本刺しピザパンを。
「すいませ~んお兄さん! 2本刺しピザパン2つ下さいっ」
店頭の売り子さんに声を掛ける。
「丁度売り切れです」
「え~無いの~?…………えっ?」
「代わりに3本刺しクリームパン如何でしょうか。食べると中から白いクリームが…………ん?」
定員さんと視線が重なる。
「アンタ何やってんのよ……ユウィン」
「何だマリィか、バイトだ。肉屋をクビになってな」
バイトぉ~? 何やってんだか、この男は。
背中にゴツイ剣を刺したエプロン姿のバイト男、名前はユウィン=リバーエンド――良く知ってる奴だ。前カレのこんな姿、見たくなかったなぁ……結構楽しそうで余計悲しくなる。あたしは昔の男が持つ、3本刺しクリームパンの購入を決意。
はぁ……10話に続くのこれ?
財布を片手に、あたしは思わず溜息を付いた。
正直ちょっと解りづらいですが、アルバイト中年ユウィン=リバーエンド様。私はその背中の剣に宿るメスのドラゴンです。現在主人は肉屋でバイトしてます。中年男性のアルバイトに世間の風は冷たく、次々仕事を押し付けられ、出前を任された所です。
「では店長。出前行ってきやす」
マスターが「肉の朝立ち」から風呂敷片手に出前に出た刹那にそれは起きました。お店に入ろうとしているお客さんと激突したのです。張り切りすぎて勢い良く飛び出したものだからつんのめって押し倒した形になってます!
――ポイーン
二の腕の感触に近い。
だがそれは顔面を受け止める質量と抱擁感に満ちている。
「おぅ?」
「にゃ?」
――ポイーンポイーンポイーン
単語が浮かぶ、ノーブラ。
「んんん?」
「んっ……」
何言っとるんですか、やっとるんですかマスター。こともあろうに押し倒したお客様のチチを揉むなんてぇ! 漫画じゃないんですから普通に逮捕されますよっ。トラブルとかラッキースケベじゃ済まされませんよ。
「あぁすまない……怪我はないだろうか」
感情に乏しいマスターはお客様を押し倒し、チチを揉んだにも関わらず、無表情に先に起き上がって手を差し伸べています。
「う、うん……ごめんなさい。ぶつかっちゃって」
あ、ラッキースケベで済まされそう。良かった。ラノベの世界でも許されるみたいですね。マスターは大量のパンの耳を持った少女を抱き起こしました。
「俺はこの肉屋の新入バイトだ。労災が降りないから怪我しないで助かった……君のチチに感謝だ」
何言ってんだこの人?
「ボ、ボクの胸で人が助けられて……よかったです」
あれ? 頭の緩い娘なんですかね。嬉しそうです。
「ボク……胸にコンプレックスがあったから……」
「何を言っている。デカイ事は良いことだ」
そんな意味不明なやり取りを肉屋の店頭でしていたら店長さんが出てきました。何やら怒ってるっぽいです。
「おい新入りぃ……何やってる」
マスターは店長に向き直ります。
「このお嬢さんのチチに助けられまして」
何言ってんだこの人?
「……お前クビ」
解雇されました。
シャルロットさんと、後の担任教師ユウィン様の微妙な出会いが描かれた所で場面が変わります。
【シャルロットの従姉妹マリィさん目線】
あたしはマリィ。
王都トロンリーネージュにも支店があるキャバクラ「ZANGEザンゲ」の大元、サンディ商会の社長をしている。
今日は両親が死んで従姉妹のシャルロットが行方不明になってるだとか組の者に聞いたので王都くんだりまで出張ってきたのだ。
「ねぇアンリエッタ? シャルロットの父親……デイオール卿って他所(よそ)に女作り過ぎて刺されて屋敷毎燃やされたって本当?」
「残念ですがそのようです。でも従姉妹の女の子の為に出向いて来るなんて。マリィさんにも人間らしい感情があったんですね。嬉しいです」
この失礼な娘はアンリエッタ=トロンリーネージュ――この国の皇女だ。この娘とはウチの支店を王都に出す時にモメて、それ以来何故か気が合ったので友達をやっている。
「あたしはまぁ……親類があんまいないからね。ちょっと心配なんだ。あの娘変な子だから」
ほっといたら河っぺりとかで住んだりする娘なのよね。
「それとマリィさん……後ろの怖い黒服の人達どうにかしてくれません?」
あたしの護衛達でみんな人相が悪い。
アンリエッタは皇女、それもそうだね。この娘と一緒に表参道を歩くにはイメージが悪いか。
「お前達。その辺で遊んどきなさい――上品にね?」
「し、しかしアネさん」
「いいから。アンリエッタの護衛(ガード)もいるみたいだし」
「……へい。わかりやした」
あたしの後ろに5人いた組の者は渋々散っていった。
アンリエッタは少し意外だったみたいだ。
「クロードの気配に気付いていたんですか?」
「ん? あぁ何となくね」
彼女の護衛の執事だ。姿は見えないが何処かに|居る(・・)のは解る。こんな商売やってると変な野生の勘が身につくものだ。
「で、アンリエッタ。これ何処向かってるの?」
「河原ですよ」
河原? まさか~。
「どうやらマリィさんの従姉妹、シャルロットさんは橋の下で暮らしてるみたいなんです」
「あぁ……そうなんだぁ」
やっぱりか。
来て正解だった。あの娘可愛いのにやっぱり変だ。昔から変わってない。
丁度、王都表参道から一本郊外に入った所で良い匂いがする。あ、この店は――
「アンリエッタ。ちょっとパン買って良い? あたしこの店気に入ってるの」
「”パンの二本刺し”? 何故か名前に凄い嫌悪感が……美味しそうに見えないですけど」
アンリエッタが綺麗な顔を歪ませている。名前はともかくここのパン美味しいのよ? 彼女の分も買って上げるとするか。串が前と後ろに2本刺さった名物、2本刺しピザパンを。
「すいませ~んお兄さん! 2本刺しピザパン2つ下さいっ」
店頭の売り子さんに声を掛ける。
「丁度売り切れです」
「え~無いの~?…………えっ?」
「代わりに3本刺しクリームパン如何でしょうか。食べると中から白いクリームが…………ん?」
定員さんと視線が重なる。
「アンタ何やってんのよ……ユウィン」
「何だマリィか、バイトだ。肉屋をクビになってな」
バイトぉ~? 何やってんだか、この男は。
背中にゴツイ剣を刺したエプロン姿のバイト男、名前はユウィン=リバーエンド――良く知ってる奴だ。前カレのこんな姿、見たくなかったなぁ……結構楽しそうで余計悲しくなる。あたしは昔の男が持つ、3本刺しクリームパンの購入を決意。
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財布を片手に、あたしは思わず溜息を付いた。
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