巨乳娘シャルロットの魔法薬と料理の時間仕立て

挽肉ベーコン

文字の大きさ
9 / 11
第1章 オーク豚の百合嵐風煮込み

第9話風 あの日のシャルロットちゃん~其の二

しおりを挟む
【背中の剣に宿るメイドちゃん視点】

 正直ちょっと解りづらいですが、アルバイト中年ユウィン=リバーエンド様。私はその背中の剣に宿るメスのドラゴンです。現在主人は肉屋でバイトしてます。中年男性のアルバイトに世間の風は冷たく、次々仕事を押し付けられ、出前を任された所です。

「では店長。出前行ってきやす」

 マスターが「肉の朝立ち」から風呂敷片手に出前に出た刹那にそれは起きました。お店に入ろうとしているお客さんと激突したのです。張り切りすぎて勢い良く飛び出したものだからつんのめって押し倒した形になってます!

――ポイーン
二の腕の感触に近い。
だがそれは顔面を受け止める質量と抱擁感に満ちている。

「おぅ?」

「にゃ?」

――ポイーンポイーンポイーン
単語が浮かぶ、ノーブラ。

「んんん?」

「んっ……」

 何言っとるんですか、やっとるんですかマスター。こともあろうに押し倒したお客様のチチを揉むなんてぇ! 漫画じゃないんですから普通に逮捕されますよっ。トラブルとかラッキースケベじゃ済まされませんよ。

「あぁすまない……怪我はないだろうか」

 感情に乏しいマスターはお客様を押し倒し、チチを揉んだにも関わらず、無表情に先に起き上がって手を差し伸べています。

「う、うん……ごめんなさい。ぶつかっちゃって」

 あ、ラッキースケベで済まされそう。良かった。ラノベの世界でも許されるみたいですね。マスターは大量のパンの耳を持った少女を抱き起こしました。

「俺はこの肉屋の新入バイトだ。労災が降りないから怪我しないで助かった……君のチチに感謝だ」

 何言ってんだこの人?

「ボ、ボクの胸で人が助けられて……よかったです」

 あれ? 頭の緩い娘なんですかね。嬉しそうです。

「ボク……胸にコンプレックスがあったから……」

「何を言っている。デカイ事は良いことだ」

 そんな意味不明なやり取りを肉屋の店頭でしていたら店長さんが出てきました。何やら怒ってるっぽいです。

「おい新入りぃ……何やってる」

 マスターは店長に向き直ります。

「このお嬢さんのチチに助けられまして」

 何言ってんだこの人?

「……お前クビ」

 解雇されました。

 シャルロットさんと、後の担任教師ユウィン様の微妙な出会いが描かれた所で場面が変わります。


【シャルロットの従姉妹マリィさん目線】

 あたしはマリィ。
 王都トロンリーネージュにも支店があるキャバクラ「ZANGEザンゲ」の大元、サンディ商会の社長をしている。
 今日は両親が死んで従姉妹のシャルロットが行方不明になってるだとか組の者に聞いたので王都くんだりまで出張ってきたのだ。

「ねぇアンリエッタ? シャルロットの父親……デイオール卿って他所(よそ)に女作り過ぎて刺されて屋敷毎燃やされたって本当?」

「残念ですがそのようです。でも従姉妹の女の子の為に出向いて来るなんて。マリィさんにも人間らしい感情があったんですね。嬉しいです」

 この失礼な娘はアンリエッタ=トロンリーネージュ――この国の皇女だ。この娘とはウチの支店を王都に出す時にモメて、それ以来何故か気が合ったので友達をやっている。

「あたしはまぁ……親類があんまいないからね。ちょっと心配なんだ。あの娘変な子だから」

 ほっといたら河っぺりとかで住んだりする娘なのよね。

「それとマリィさん……後ろの怖い黒服の人達どうにかしてくれません?」

 あたしの護衛達でみんな人相が悪い。
 アンリエッタは皇女、それもそうだね。この娘と一緒に表参道を歩くにはイメージが悪いか。

「お前達。その辺で遊んどきなさい――上品にね?」

「し、しかしアネさん」

「いいから。アンリエッタの護衛(ガード)もいるみたいだし」

「……へい。わかりやした」

 あたしの後ろに5人いた組の者は渋々散っていった。
 アンリエッタは少し意外だったみたいだ。

「クロードの気配に気付いていたんですか?」

「ん? あぁ何となくね」

 彼女の護衛の執事だ。姿は見えないが何処かに|居る(・・)のは解る。こんな商売やってると変な野生の勘が身につくものだ。

「で、アンリエッタ。これ何処向かってるの?」

「河原ですよ」

 河原? まさか~。

「どうやらマリィさんの従姉妹、シャルロットさんは橋の下で暮らしてるみたいなんです」

「あぁ……そうなんだぁ」

 やっぱりか。
 来て正解だった。あの娘可愛いのにやっぱり変だ。昔から変わってない。
 丁度、王都表参道から一本郊外に入った所で良い匂いがする。あ、この店は――

「アンリエッタ。ちょっとパン買って良い? あたしこの店気に入ってるの」

「”パンの二本刺し”? 何故か名前に凄い嫌悪感が……美味しそうに見えないですけど」

 アンリエッタが綺麗な顔を歪ませている。名前はともかくここのパン美味しいのよ? 彼女の分も買って上げるとするか。串が前と後ろに2本刺さった名物、2本刺しピザパンを。

「すいませ~んお兄さん! 2本刺しピザパン2つ下さいっ」

 店頭の売り子さんに声を掛ける。

「丁度売り切れです」

「え~無いの~?…………えっ?」

「代わりに3本刺しクリームパン如何でしょうか。食べると中から白いクリームが…………ん?」

 定員さんと視線が重なる。

「アンタ何やってんのよ……ユウィン」

「何だマリィか、バイトだ。肉屋をクビになってな」

 バイトぉ~? 何やってんだか、この男は。

 背中にゴツイ剣を刺したエプロン姿のバイト男、名前はユウィン=リバーエンド――良く知ってる奴だ。前カレのこんな姿、見たくなかったなぁ……結構楽しそうで余計悲しくなる。あたしは昔の男が持つ、3本刺しクリームパンの購入を決意。

 はぁ……10話に続くのこれ?
財布を片手に、あたしは思わず溜息を付いた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...