緑を分けて

綿入しずる

文字の大きさ
19 / 47

わずらい

しおりを挟む
 季節は過ぎていく。短い夏が終わる。カイの甥は無事生まれて、思ったとおり家族皆が子供のほうに注目していて、カイはなんだか気楽になった。ようやく立場を譲れたという気がしていた。彼自身、マテウスと名付けられたその子を毎日可愛がった。
 ただ、姉のほうが落ち着いたらまた一人暮らしの相談をしてみようと思っていたのが、少し揺らいでいることに気づいた。もう暫し、まだいいかなと思う。
 理由は分かっていた。セヴランだ。
 あの広い家で一人でいるのが寂しそうで、いつかの夜のことも時折過ぎって。そうすると、カイの一人暮らしへの欲は引っ込んでしまった。そのうち、と思う心が完全に消えたわけではないものの、今はまだ賑やかになった家に居たいという気分が勝った。存分に叔父面をしておこうと思った。
 私生活はそうして順調で、仕事も概ね順調だった。ただ以前より忙しい。新たに導入した毎日の記録のお願いと共、本部での検査についてを庭に説明し、嫌がられたりもしながらどうにか了解を得て日程を調整するのはいつも彼らと話をしている外勤の役目である。セヴランの観察以降続くそのデータ収集はまだ真っ最中という感じで、記録として纏める作業も並行して続いている。特にテストに関しては質問の数があまりに多いので単純に書き起こすだけでも一苦労、暇があればカイも手伝いに呼ばれていた。
 やはり何も分からん、採取できればよいのでは、と時折誰かが愚痴を零すものの、務めとしても信念としても許されず、皆で庭園を眺めたりする。職場に庭があるのはよいことだった。保管庭園はいつでも楽園のように生い茂っている。
 セヴランの庭のほうはあれ以来、四種の採取が継続している。黄金果樹ゴルトルントを宿した最初の少女が生涯で十種であったと記録されているので、彼もまだ期待できるのではと言われているが――希少種や新種の発現がなくとも、ただ採取の回数が多いだけでも、観察や実験の機会が増やせるのが研究には好都合だった。他の庭の検査が落ち着き次第二度目の依頼をしたい、とカイとデニスは早い段階で伝えられていた。
 ――本人にも早めに言っておいたほうがいいだろう。あまり何度も言うと嫌がられそうだが、そろそろ。
 相談して今日あたり反応を窺おうと決め、園を守護する女神ナンスェレルを讃え名を唱和するいつもの朝礼の後、カイはすぐに執務室を出た。
「……はよ」
 しかしその日のセヴランは元気がなかった。カイを出迎えただけでふうと息を吐き、見るからに気怠そうにふらつきながら居間に戻っていく。背に、カイは小言を放つ。
「おはよう。また酒か? 三杯も飲んだのか」
「いや、昨日は飲んでない……でもなんか頭痛くて……」
 揶揄してやったのにも反応は鈍い。座り込んだところでやや置いて、ぼそぼそと答えがある。飲んでない、なら――それはただの体調不良というやつだ。カイは狼狽えた。
 疑ってしまったのを申し訳なく思いながらも、いや日頃の行いが悪い、と思う程度には悪かった。また酒臭かったのは前々回だ。とりあえず先に体温計を咥えさせて、いつになく高い体温を確かめる。
「風邪かな。熱がある。咳とかは?」
「ないけど……」
「水は飲んだ?」
「ああ、まだ……」
「じゃあ飲もう。……用意してやるから。食料はあるか」
「無いと思う」
「だからいつも言っているのに。ビスケットくらい買え」
 体のどこにも葉や枝がないようなので、仕事は医者の診察寄りになる。
 水を汲みに台所に入れば、そこも清潔とは言い難く薄汚れている。ただ家の主が料理をしない分、酷い臭いなどはしなかった。ストーブには蜘蛛の巣がかかっている。やはり食べ物は見当たらず、いつのものとも知れぬ、恐らくは空き瓶だろう数本の酒瓶が並べてあるだけだった。カイはいつも見るコップに水を入れて戻る。
「食えたら食って、水を飲んで寝ろ。――そんなに高熱じゃない。寝てればきっと平気だ」
 その後、パンは買ってきて、飴の缶と共に置いてやる。さっさと休みたいだろうと他は常よりさらに手早く済ませた。が、鞄に道具を詰めなおして切り上げるその言葉にセヴランははっと顔を上げた。
「もう帰る?」
「……生えてないし、俺はまだ仕事があるからな」
 カイの返事に一瞬臆する。仕事、と唇の動きで繰り返し――
「他に、なんかすることないの。俺は変なのに放ってくの?」
 それでも諦めきれず。まだ何か、ここにも仕事があるのではないかと、縋る声を出した。風邪の弱気がそうさせた。
 途端、カイの中でいつかの夜の記憶が零れる。あの声の気配がある。その声音には弱る。カイまでどうにかなりそうになる。寂しくて、寂しくて堪らない人の声。今日など確かにカイを求めているから、なお、聞かぬふりはできなかった。向き直って顔を見てしまう。
 今日は、暗くないのではっきり見えた。淡い緑の双眸がカイを見ている。すっかり大きな大人のくせに子供のような顔をして、置いていくなと言っている。今日は何も掴まない手が、テーブルの上で硬く握られているのが見えた。
 カイの眉根も寄った。ぎゅうと胸が掴まれる心地がした。
 ――ああもう、しょうがないな。
「セヴラン、――仕事が終わったらもう一度来るから。休んでいろ」
 とはいえ発現が無い分には庭の異常とは思い難い。恐らくただの風邪である。まっすぐ向いて言い聞かせる声にセヴランはまた唇をもごつかせ、渋々頷いた。居てよと言いたいのを飲み込んで、来てよ、と小さく呟く。それがまた弱い響きがして、カイは正直、この場に留まりそうになった。どうにか判断をして勤務に戻るべく鞄を掴む。
 ただ、何かと思って、考えて考えて、一言絞り出した。
「ルーナを置いていくから」
「……っふ」
 瞬き――それが彼の連れるぬいぐるみの名前だったと思い出し、セヴランはようやく笑った。渾身の冗談がどうにか効いて笑みを引き出せたのに、カイの口元でも息が解けた。
「大人相手に、君ってば。うん、分かったよ、」
「アンタがごねるからだろうが。何か欲しいもの……食いたいものとかあるか」
 セヴランは首を振った。ない、というよりは、分からない、の仕草だった。

 カイはその日のうちに済ませねばならない仕事だけ急いで終わらせて、早退に近いかたちで退勤した。一回自宅に寄り、風邪の人を見舞ってくる、と家族に伝え、適当に見つけた物を籠に詰めて風邪薬を掴んで再度出た。馬車を捕まえて、急ぐ。
 一応ノックはしたが、返事はない。多分寝ているだろうと思った。合鍵を使ってそっと入る家の中は薄暗い。
「おい、来たぞ、寝てるか」
 声をかけながら進んで、二階の部屋もノックする。小さく返事があった。ドアを開けるといつかのような慌ただしさや元気はなく、ベッドに横たわったままでセヴランは人を迎えた。
「まだ明るいな……」
 嘘を吐くような男ではない。来ると言ったからには来るだろうとは信じていたが。仰向けに窓を見て、予想よりもずっと早くカイがやってきた事を知る。見上げた彼の手が伸びてくるのに目を閉じる。
「具合は? 何も生えてないな?」
 冷やすような処置もされていない額はまだ熱く、じんわりと汗に湿っていた。植物の兆しは、少なくともよれた服の上から見つかるようなものはなかった。
「悪い。朝と同じ……」
「薬を持ってきたから、待ってろ。――食欲はありそうか」
「……腹減ったと思う」
「台所借りるぞ」
 ベッドの周りは相変わらずの状態で、水を飲んでいた形跡もない。ただ、ルーナと犬のぬいぐるみが枕元に並んで、共に転がった飴の缶がシーツの上で鈍く光っていた。確かめてカイは階下へと戻った。
 コップを探しに行けば居間のテーブルの上にパンの袋と共に残されていた。パンは数口齧って諦めたのが知れた。暗い以外は朝と変わらぬ台所で埃を被っていたナイフを洗い、持ってきた林檎を剥く。皿を探す中で水差しも見つかったのでついでにたっぷりと満たした。
 足早に戻るとセヴランは身を起こした。酷く億劫そうな所作で頭を押さえる。
「ああ、そんなのあったんだ……水汲むの面倒臭くってさ……」
 水差しを見て――いつものように水分不足を詰られると思い至り、眉を下げて言い訳する。机やテーブルの無い部屋だったが窓辺に物を置けたので並べるうちに、すぐにコップに手が伸びた。
「風邪のときはただでも要るだろ。汗をかいてる」
「んー……」
 やっぱり指摘し注いでやって、カイはベッドの端に腰掛けた。
 注意はされたがいつもより優しい声音で煩わしくなく、むしろ嬉しい。水まで甘く感じられる。セヴランは水を飲んでは林檎を齧った。朝のパンは喉につかえてほとんど食べられなかったが、甘酸っぱく歯触りの良い果実は今の口に合う。食べ始めるとやはり腹が減っていたようで、一個切られたのをすべて平らげた。
 横目に、カイは窓を開けて空気を入れ替えた。夕暮れの町並みも眺めながらセヴランの横にいた。何も話さずただ座り、寒くなる前に窓を閉めて風邪薬の包みを開いてやる。
「――先に飲むんだった」
 粉薬は苦く――その上やはり喉が乾いていて、セヴランは促されるまでもなくごくごくと水を飲んだ。まだ残る気のする後味に顔を顰め、カイの顔を見る。
「薬代……」
「いいよ、家にあったやつだ。まだ調子悪いようだったら明日も飲め。林檎はもう一つあるし、あとビスケットも持ってきたから、適当に食え」
「……うん。分かった」
 あっさりと首が振られるのに、セヴランは頷いておいた。頭が痛く物を考えるのがつらいので全部受け取ることにした。
 倦怠感に負けて横になってみてもカイはすぐには出ていかない。二人の目が合った。口を動かしたのは、カイが先だった。
「明日はハーラーさんが来るから」
「えー……君じゃないのか」
「……俺じゃない。でも体調不良は伝えてある」
「――まあ君は今来てくれたし。仕方ないや」
「……ああ」
 緩く、会話になる。
 明日も来ようか、と言いかけてカイは口を噤んだ。それはさすがに出過ぎていると思った。きっと普通に風邪であるし、薬も飲んだのだから様子見だ。明日のデニスの訪問で十分足りるはずだ。足りなければデニスが医者なり呼ぶ。
 セヴランにではなく自分に言い聞かせて――セヴランの顔が上手く見れない代わり、この前とは違いベッドの上に居るぬいぐるみを見つめていると横から言い訳が聞こえてくる。
「……別にこれはね、抱いて寝てたとかじゃなくてさ、折角置いていってもらったから連れてきたらなんか、コイツも放っとくのは違うんじゃないかと思ったわけ。それで居てもらったの」
 ぬいぐるみを抱くのはもう似合わない歳の男が、そういうわけじゃない、カイがルーナに任せていったからだ、と気恥ずかしそうにするのに、カイは気が抜けて笑った。軽く、労うようにその背を撫でてやる。多少ごわついていたが上質な毛並みだった。
「まあいいんじゃないか、抱いてても」
「抱いてないよ、埃被ってたし……」
「ちゃんと洗って干してやれ」
「おっきいから大変なんだよ、自分まで泡塗れになる……」
 またぽつぽつと言葉が重なり合った。セヴランは言い――その記憶が蘇るのに言葉を途切れさせ、染み入るように懐かしんだ。幼い頃からの友達を洗うのはいつもかなりの大仕事で、ときに母が、ときに己が風呂場で格闘した。どうやっても服を濡らさずには終えられず、この子は大きすぎると文句を言って笑ったものだった。――最後に洗ったのは、随分昔に違いなかった。
 セヴランは息を吸って吐いた。ゆっくりと。母が居る思い出はこれまでは痛みばかり生んだが、今のは悪くない感触だったと思う。
 カイが横に居る。別に悼むわけではなく、ただそういう過去を抱えた横に付き添っている。こんな家の中に居て、こんなセヴランに隣り合う。母のことを知らない人がそれでもなんとなく思い出に寄り添うようにしてそうしていてくれるのが、セヴランの心の強張りを和らげた。やっと懐かしむことができたのだ。
 それでむしろじわと滲む涙を堪えて、彼はもう一度息を吸った。
「来てくれてありがとう。君のお陰で楽になった」
「ん――」
 セヴランは優しいこの男が好きだった。横に居てもらうと安心する。居ないときでさえ、また朝にはカイが来るのだと思えばやっていけた。明日来るのはデニスだとは言うが、彼ともまあまあ上手くやれていた。デニスはもっと素気ないがカイのほうがこれほど優しいからバランスがとれている。
 一度こうして駆けつけてくれたことで随分気が楽になった。さすがに眠ったら帰ってしまうだろうと思っても、もうなんとなく安心して目を閉じることができた。また次に、朝に来るだろうから。
「……もう平気だからルーナは連れて帰りなよ」
「ああ、うん」
 少しだけこの時間を引き延ばすように起きていて、言って渡すときにどさくさに紛れてしっかり手を握ってみた。思えばセヴランから触れるのはほとんど初めてで、ほんの数秒、手だけだというのに大変緊張した自分の純情さが恥ずかしく、熱が上がりそうだった。

 カイは閉ざした扉に鍵をかけて息を吐いた。熱い手の感触が確かで――自分の頬まで熱い。風邪をうつされたわけではない。
 持ってきた品の代わりに籠の中に入れたぬいぐるみを見下ろして、その体と目の配色がセヴランと似ていることに今気づいてしまって、ああ、と呻いた。伏せさせて視線を逸らし、誰かに見られる前に歩き出す。
 思えば、他人に頼んでもよかったのだ。薬を届けるだけなら事務員でもできた。医者の手配だって可能だ。しかしカイはそうしなかった。できなかった。自分が、放ってなどおけなかったのだ。自分が行ってやりたかった。
 ――手のかかるどうしようもない男。……でも、そこが、なんだか。
 そんなことを思えば、あの妄想の類も呼び起こされて結びつくのはすぐだ。そういうんじゃない、と思っても。ならば他に何だというのか。
 欲情、庇護欲は重なって色を濃くする。セヴランから寄越されるべったりとした好意も呆れるし困るけれど案外嫌ではない。そしてカイは彼について、色々なことが気になる。会う朝以外はどう過ごしているのか、誰かと会っているのか、いつも訊くがまともに食べているのか、竪琴はまた弾いているのか、母親を喪ったことがまだつらいのか、寂しくないか。
 ――俺をどう思ってる。
 溜息、瞬き、空を仰ぐ。暗くなってきた空に月が昇っているのが見えた。青い目が暮れきる前の色を映す。
 女性じゃない、どうしてあんな奴にと思っても、もうどうしようもない。今日一日カイはセヴランのことばかり考えていた。やっと見舞いに来れて終わるかと思ったのに、終わらない。診たとおり大事なさそうでほっとはしてはいるけれど、まだまだ。むしろ今確信を持って始まったとも言える。
 幼い頃にした初恋は失恋さえしないような淡いもので、その後も美人に憧れるくらいの青春だった。カイは初めて、こんな思いをしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

処理中です...