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庭の語らい
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黄金果樹は四日目にして葉の消失が確認され、採取に踏み切られた。体の上に乗っている木に鋸を引かれるのはあまり楽しくない経験だったがまさしく肩の荷が下りたというところで、セヴランは身軽になり正直安心もした。保護剤を塗って暫らく経てばいつものように何もない体が戻ってきて、また忙しくしている園丁官たちを横目にしながら、彼は保管庭園から生活区画へとその身を移した。
かつては男女で分かれて一棟ずつ使われていた生活区画は、現在は一部のみが活用されている。園丁官を初めとする職員が時折の宿泊に使う数部屋だ。その端の、園丁官が行き来しやすい一室がセヴランには割り当てられた。以前に寝泊まりした観察室とは違い何の仕掛けも無い、至って普通の寮のような質素な一人部屋だった。
暇潰しは読書や新聞、そして持ち込んだ竪琴。後は時折の散歩と、少々の世間話。
毎朝、そして数時間置きに人はやってくるが――もう此処に来て一週間経つ。セヴランは大分持て余していた。三食間食に珈琲つきで家に居るよりましな環境のはずが勝手に出歩けないというのは案外つらい。酒も賭け事も無縁で、当然それを愚痴って慰めてもらうような娼婦もいない。そして何よりの不満は。
「デニスさん。ちょっと、なんかして遊ぼうよ。これ剥がすまででいいからさ」
「すみませんねえ、次もあるものですから」
「ちょっとくらいいいじゃん!」
常に誰か園丁官が居る環境ゆえに、担当というものがあまり重視されていない。その時間に居る者が必要な仕事をする。その所為でセヴランは普段よりカイに会えていない。会えてもすぐ、採取が終われば出て行ってしまう。保護剤を剥がした後の確認などは別の者がやる。――カイは多少意識して交える言葉を増やしてはいるが、それにしても、これまで家ではおまけの時間があったことを思えば激減であった。
「カイも今日来てないし! デニスさんで我慢するからさあ」
何をせずとも朝礼の後は顔を見に来ていたのも、今日はなかった。休みかと聞けば別の仕事に行ったと言うので、セヴランはもっと不服で不機嫌だった。
――いつもみたく仕事前にちょっと来てくれればいいじゃん。ちょっとくらい。
足から葡萄の蔓を切る最中、胸のうちではそればかり繰り返していた。勿論、実際来たらちょっとでは済ませずに引き留めているに違いなかったが。
「じゃあすみません、他の人で我慢してください。――はい、いつもどおり一時間後に」
「皆剥がすときだけで全然付き合ってくれないじゃん! 剥がすだけなら自分でもできるよもう」
デニスはカイ以上にてきぱきと処置して、無駄話もなく終わりだ。子供のように喧しいのも関さず包帯を巻き終えて立ち上がった。
もうこの男が収穫に比例するほど面倒臭い人物だとの評判は立っていた。一応言うことは聞くが文句は多いし、この場所に慣れてしまってあれこれ注文をつけてもくる。放っておくとこうしてもっと面倒な感じになるのだが――無駄には近寄るまい、と皆思っていた。なので、最低限しか相手をしてもらえない。悪循環である。
「エッカルト君には帰ってきたら言っておきます。騒ぐようならその態度も含めて。――じゃあお伝えしたとおり、今日は他にも泊まる人がいるので演奏は夕方までにしてくださいね。よろしくお願いします」
デニスなどは慣れたものだから、はははと笑って窘めもする。セヴランは思いきり拗ねた態度でベッドに突っ伏した。
そんな彼がやっとカイと会えたのは、昼も随分遅くなってからだった。声がする、と起き上がっても部屋に向かってくる様子が無いので廊下を覗いてみれば、立ち話の最中だった。
女と話している。此処の職員であれば軍服かそれに準ずる制服を身に着けているので一目で分かるが、彼女は地味ながら外出着だった。セヴランより少し年上の人は、じっと無遠慮に向けられた視線に気づくと話を切り上げてそそくさと部屋に入っていく。セヴランの過ごす部屋からは多少距離をとった、廊下の先の一室だ。
ちらと視界端にセヴランの姿を確認していたカイは改めて振り向き、ちょっとたじろいだ。どうかしたか、と言いかけたが、やめた。別に用があって待っていたのではないのが察せられたので。端々から感じられるのはそういうものではなく、嫉妬とご機嫌斜めの気配だった。
「俺のとこに来ないで何してんのさ」
昔からこういう感じだとはカイは知らないが。常々構ってほしがりが態度に表れているし、デニスから今朝も煩かったよなんて聞いていたので、予期してはいた。朝から忙しくあまり余裕が無いが、折角こっちまで来たのだから寝ていなければ一言挨拶くらいはと思っていたのだ。そこでこれだ。真っ向から来る。
「どう見ても仕事中だろ。貴方もほら、用が無いなら出ないでくれ。帰宅の申請にも心証がいいほうがいいんだから」
「俺より大事な仕事あるわけ」
部屋に戻しながら言うとどうしようもない類の反発がある。
無論、黄金果樹が発現するような庭の重要度は極めて高いが、それはそれだ。任務上の優先順位の話であって、標本採取が終わった今ずっと付きっきりで注視せよというものでもない。こうして施設に収容している時点で状況的には既に完了している。観察はしているし、他にやることは幾らもあった。
「貴方は重要な庭だが。他のことを疎かにする理由にはならない。貴方の様子は皆でちゃんと見ているだろう」
「皆本当に仕事しに来るだけだし、君も来てくんなきゃやだって言ってんの。大人しくしてるんだから一緒に遊んでおやつでも食べてよ。この前駄目だったんだしさあ」
とはいえ、カイにとってセヴランが特別なのもまた、事実ではある。
部屋のドアは自身も内に入ってから閉めて、少し考えた。
「じゃあ一杯だけ付き合う」
「珈琲?」
「淹れに行くと時間が無くなる。水分補給してくれ」
扉を背にして立ったまま抜け目なく促すのに、腰掛けたセヴランはあまり減っていない水差しからたっぷり一杯注いだ。ちび、と飲む――というか唇をつける。カイは肩を竦めて、懐中時計を取り出して見せた。
「十分測る」
「ケチ」
「五分じゃなくて十分にした。……勤務時間なんだよ。報告書も書かないと。今日は予定より押してる」
「……此処で書けば?」
勿論首は横に振られた。けれど、この真面目な男が忙しいのに十分使うことにしてくれた、という点でセヴランの機嫌は少々よくなりつつあった。
セヴランは我儘だが、あれもこれもと求めているわけではない。何かと要求することはあってもそれは結局、関心を引きたくて言っているのだ。ちゃんと彼を向いて応じ、叶えてやる、という姿勢、付き合ってやるのがなにより重要で、後は結構聞き流しても平気だ。それをもうカイは知っていた。
物だけ渡してやってもむしろ機嫌を損ねるくらいなので確実に手間ではあるが、こうしてちょっと相手をしてやればすぐ、そして分かりやすく喜ぶのが伝わってくるので、カイはつられて気分がよくなってしまう。仕方ない奴だなあと思って一緒にいてしまう。
「ねー、さっきの人も庭?」
ようやく普通の会話らしくなる。
朝の時点でデニスが言っていたのを、セヴランもちゃんと覚えてはいた。だからそうだろうと思って訊いたのだが。
「いや、庭の付き添いだ。子供だから」
返答は半分不正解だ。当人ではなかった、さっき見えた女の年頃を考えて、セヴランは聞きなおす。
「ちびっこなの?」
「十一歳だ。――それでもこういう場所だからな。一人では、まだちょっと」
今日連れてこられたのは、カイが担当する庭の一人だった。書類の情報だけでなくよく知っている利発な少年だ。単なる一泊なら一人でも問題なくこなすだろうと思われた。ただ何かと検査をしたり、書類を作ったりするには保護者の確認が要ることも多いので、それなら初めから同伴でという運びになった。
あくまで事務的な、そして道徳的な措置だったが。――付き添い、というのは今のセヴランにはあまりに魅力溢れた響きだった。溜息が零れる。
「いいなあー。……俺も一人だとちょっとアレだなあー。カイが付き添いやってよ。俺からも上の人に言っておくからさ。今晩からそれを仕事にしよう? そのほうが君も楽だろ。そうしようよ」
心底の声の後、まるで何か権限でもあるように言うのにカイは呆れる。窮屈な生活を強いられているセヴランには優しくしたいが、そんな誤魔化しではなく元の生活に戻れるようにと働きかけるほうが重要だ。
「アンタは一人暮らしもしてる大人だろうが」
「此処だと外に出してももらえないんだもん。遊び相手にいてもらうしかないじゃんか」
遊び相手と言い切られてしまえばなお。もう少し我慢してくれ、と言うしかなかった。組んだ足が覗く裾から目を逸らし、時計を見る。あと七分。
「そんくらいの歳ならさ、その子も呼んで遊ばない? 頭数いたらカードも色々できるだろ」
名案だという声には、カイも一瞬考えた。たしかに良い案に聞こえたが――結局首を振った。
「いや駄目だ。悪影響だ。それに許可が下りるか」
子供のほうも緊張が解れるかと思ったが向こうは一泊で済む予定で、就寝前には例の観察室に移動してもらわなければならない。そのくらいのことで申請もしていられないが、黄金果樹の庭であるセヴランの扱いを思えばさすがに独断はまずそうだ。
沈黙の分少し期待していたセヴランは、ちぇ、と唇を尖らせて、やや置いて気づいた。
「……悪、って俺のこと言った? すごい大人しくして手本みたいに過ごしてるのに!」
「ああ、そのままくれぐれも模範的にいてくれ。特に今日は」
喚く言葉も頷いて丸め込まれる。腹いせに喉に流し込むのは酒ではなく水で、園丁官の指示のままだ。カイは笑って話題を卓上に置かれた本に切り替えた。
きっかり十分測り、彼にも未練はあるが引き延ばしはせず、じゃあと手を振る。まだ半分ほどしか飲まれていない水を指差し、セヴランの目を見る。いつかほどではない、拗ねた子供じみた視線とかち合う。
「それくらいは飲めよ。――明日朝は俺が来るから、待っててくれ」
夕方までって何時までだろう。まあ注意されるまではいいか、と思いつつ、セヴランは暮れてきても竪琴を弾いていた。夕食もまだで、消灯までは随分ある。これくらいは自由にさせてもらわないとやっていられなかった。
一曲終えてふと顔を上げるとドアの覗き窓に人の頭が見えて驚いた。目が合って向こうも驚いた。一見して分かる、まだ子供の顔だ。固まった少年と束の間見つめ合った。
数秒静かだった。廊下の巡回など、彼を注意するような人間は誰もいないらしいと知ってセヴランが手を招くと困惑の間があって、それでもそっとドアが開く。セヴランと同じ、前開きにも後ろ開きにも着られる結び目のついた検査着を着た、あどけない雰囲気の栗毛の少年だった。名はフリッツという。
「――こんばんは」
「暇なら寄ってきなよ」
カイは近づけたくないようだったが。話すなとは言われてないし彼の側から寄ってきたのだから構わないだろうと都合よく考え、セヴランは笑いかけた。座ったベッドの横を叩くとフリッツは遠慮しながら座る。視線はセヴランの手にする楽器に向いていた。
「お兄さん、楽師さん?」
「まあね。大体そう。最近やれてないけど」
軽い返事に、揺れる。
「……庭になっちゃったから?」
「うん?」
「花が生えてくるから、働けなくなった?」
「いや。それは関係ない。生えてても弾けるしね。別の理由だよ」
初対面の大人相手だからというだけではなく少し強張った声に、セヴランは変わらない調子で答えて利き腕を見遣った。生えるのはそことは限らなかったし、多少生えたところでどうにかなった。第一すぐ切って持っていく。切った後はなんともない。この子はそれをまだ知らないのだろうか、と考えつつ――最初に病院に駆け込んだときのことも思い出した。
「君も、庭だろ。なに、生えるのが不安なの」
問えばすぐに首が振られた。臆病と思われるのを嫌う若者の反応の速さだった。それから、言葉を選んで口が動く。
「……不安ってわけじゃない。でも父さんとか仕事の心配するし、周りは色々言うんだ。だから――ユーウツ」
「なるほど」
フリッツは実際には庭になってからもう一年以上経つ、いわば先輩だった。セヴランより慣れている。ただ、セヴランほどなげやりではない生活があった。学校にも通っているし親も本人もこれからのことを考える。そういう中では体に芽吹きがあるのは何かと懸念になった。
セヴランにはあれこれ言う周りもいないので少し羨ましいくらいだったが――羨ましいことだけではないだろうとは勿論察せられた。心配もときに煩わしい。心配の態をとった勝手な意見などは尚更である。そして、植物の発現は自身どうにもならないし、きっとこれからも続く。
どうしたらいいんだろうな、と考えて真っ先に彼のことが浮かんだのは、妥当ではあった。
「カイはなんて言ってる? ――園丁官の」
フリッツは思いがけず出た他人の名にきょとんとした。此処に案内した、馴染みの人の顔を思い出す。
「エッカルトさん?」
「そう。エッカルトさん。専門家だろ」
「……大丈夫だって。任せて、なんでも相談してくれっていつも」
セヴランは少し眉を上げた。俺に言うより優しい――と思ったのは相手が子供だったのでギリギリ我慢できた。子供や年寄りに優しいカイは想像がしやすく、なんとなく趣味に合った。自分にも優しくしてほしいとは思ったけれど。
「じゃあ大丈夫だ。よくしてくれると思うよ、彼が」
「そうかなあ」
「だって滅茶苦茶イイ奴じゃん。優しくて真面目で熱心で。どうにかしてくれるよ」
「それは確かに」
「だから色々言われるのも全部任せちゃう気でいたらいいよ。俺たちに生えるもんだけど、別に詳しいわけじゃないし。よく分からないもの考えても疲れるでしょ。自分でもどーにかなることを考えてやったほうがいい」
セヴランは子供が好きでも嫌いでもなかった。親戚などの付き合いもないので、子供用の接し方というのもよく分からない。相手がもうそれなりには大きかったこともあり、態度はまったくいつもどおりだった。
言葉は根拠もなく適当で無責任だった。全然、解決策ではなかった。――その感じが逆に、フリッツの憂鬱には丁度良かった。
確かに、いつも来るあの園丁官はイイ奴という感じで、優しい。口先だけでなく態度が実際丁寧だ。採取の間持て余し、学校の出来事など喋るとしっかり聞いていて相槌を打つし次も覚えている。普段応対する母だけでなく心配する父にも、庭とはどういう状態であるのか、今回の検査の主旨はなどの説明は欠かさなかった。頼るにはよい相手だと思う。それをこんな調子で軽い声で言われると、そっか、と腑に落ちた。
任せちゃえばいいのか、と思った。当然自分の問題だと考えて扱いあぐねていたが、庭のことは庭師に。事は単純ではなくても、とりあえず一回そう思ってみるのはフリッツの気を楽にした。
「仕事、なにするのかもう決まってる?」
横の人がまるで深刻にはしないで遠慮なく話を続けてくるのもよかった。知らない大人の癖に同年代の友達のように気安い。
「うち、靴職人なんだ。でも腕に生えるから」
「なに生える? 蔦とか?」
「百合の花」
「ああそれはちょっと邪魔そう。でも生えてても別に、動くし、切ったら元どおり……それに週一くらいだろ。平気平気。俺なんか一日置きに生えたりするけどカイが切ってくれるから平気だもんね」
セヴランは何一つ取り繕いもしないで思ったままに言う。回数で若干張り合ったが、フリッツは気づかなかった。ふと竪琴を抱えた両腕を見渡して、今は何も生えていないのを確かめた。
「お兄さんは何が生える? 蔦?」
「蔦とか色々。たまに木が生えて、絶対君のより邪魔くさい。先週なんか貴重なものだからって生やしたままにされたんだぜ。部屋に入れないから庭に居たの」
セヴランが頭の横に手を広げ腕を振って枝ぶりを示して見せると、ええと驚いたが――不安よりその言い方へのおかしさが先立って、笑い合った。
一方百合の花なら、家に出入りできなくなることはなさそうだ。考えて、思いつき、セヴランはまたそのまま口にする。
「君のさ――花咲かす腕が拵えた逸品、なんて言って売り出したら、逆に売れそうじゃない、靴。百合みたいに白い靴でも作れば?」
「青い百合なんだ。青い靴、イイかな」
「ああ、清き青百合森に咲きたる、――ね。いいじゃん」
返答で花の名にも思い至った。祭服の紋様にもよく見られる、清浄を司る美しい花だ。浄化の魔法や剣の素材になる。一掻き鳴らして紡ぐのは、ある物語で騎士たちが進んだ先で聖域に入り込んだ場面だ。
そのままなんとなく曲を弾き始めながら、セヴランは少年の話を聞いた。将来を考えはするが百合は綺麗だしよい香りがするから嫌ではない、とか。多いときは一抱えの花束のようになるとか。
聞いて、セヴランはカイが花束を作るところを想像した。青百合の実物は見たことがないが、きっと似合うなと思った。いつも、百合以外にも色んな花を切って束ね、抱えたりしているのだろう。それを思い浮かべると何か楽しい。
それだけでやけに楽しい。――べた惚れだよなあと自分に呆れて、しかし嫌なわけはない。頬が緩む。
フリッツももう屈託なく笑っていた。
「庭の人同士で話すのさ、なんかいいね」
「だよな? それエッカルトさんにも言っておいて」
食事を持ってきた園丁官に叱られるまで、その語らいは続いた。フリッツはうたた寝していたところ飛び起きた母にも追加で叱られていたが――その様でさえセヴランには羨ましかった。
かつては男女で分かれて一棟ずつ使われていた生活区画は、現在は一部のみが活用されている。園丁官を初めとする職員が時折の宿泊に使う数部屋だ。その端の、園丁官が行き来しやすい一室がセヴランには割り当てられた。以前に寝泊まりした観察室とは違い何の仕掛けも無い、至って普通の寮のような質素な一人部屋だった。
暇潰しは読書や新聞、そして持ち込んだ竪琴。後は時折の散歩と、少々の世間話。
毎朝、そして数時間置きに人はやってくるが――もう此処に来て一週間経つ。セヴランは大分持て余していた。三食間食に珈琲つきで家に居るよりましな環境のはずが勝手に出歩けないというのは案外つらい。酒も賭け事も無縁で、当然それを愚痴って慰めてもらうような娼婦もいない。そして何よりの不満は。
「デニスさん。ちょっと、なんかして遊ぼうよ。これ剥がすまででいいからさ」
「すみませんねえ、次もあるものですから」
「ちょっとくらいいいじゃん!」
常に誰か園丁官が居る環境ゆえに、担当というものがあまり重視されていない。その時間に居る者が必要な仕事をする。その所為でセヴランは普段よりカイに会えていない。会えてもすぐ、採取が終われば出て行ってしまう。保護剤を剥がした後の確認などは別の者がやる。――カイは多少意識して交える言葉を増やしてはいるが、それにしても、これまで家ではおまけの時間があったことを思えば激減であった。
「カイも今日来てないし! デニスさんで我慢するからさあ」
何をせずとも朝礼の後は顔を見に来ていたのも、今日はなかった。休みかと聞けば別の仕事に行ったと言うので、セヴランはもっと不服で不機嫌だった。
――いつもみたく仕事前にちょっと来てくれればいいじゃん。ちょっとくらい。
足から葡萄の蔓を切る最中、胸のうちではそればかり繰り返していた。勿論、実際来たらちょっとでは済ませずに引き留めているに違いなかったが。
「じゃあすみません、他の人で我慢してください。――はい、いつもどおり一時間後に」
「皆剥がすときだけで全然付き合ってくれないじゃん! 剥がすだけなら自分でもできるよもう」
デニスはカイ以上にてきぱきと処置して、無駄話もなく終わりだ。子供のように喧しいのも関さず包帯を巻き終えて立ち上がった。
もうこの男が収穫に比例するほど面倒臭い人物だとの評判は立っていた。一応言うことは聞くが文句は多いし、この場所に慣れてしまってあれこれ注文をつけてもくる。放っておくとこうしてもっと面倒な感じになるのだが――無駄には近寄るまい、と皆思っていた。なので、最低限しか相手をしてもらえない。悪循環である。
「エッカルト君には帰ってきたら言っておきます。騒ぐようならその態度も含めて。――じゃあお伝えしたとおり、今日は他にも泊まる人がいるので演奏は夕方までにしてくださいね。よろしくお願いします」
デニスなどは慣れたものだから、はははと笑って窘めもする。セヴランは思いきり拗ねた態度でベッドに突っ伏した。
そんな彼がやっとカイと会えたのは、昼も随分遅くなってからだった。声がする、と起き上がっても部屋に向かってくる様子が無いので廊下を覗いてみれば、立ち話の最中だった。
女と話している。此処の職員であれば軍服かそれに準ずる制服を身に着けているので一目で分かるが、彼女は地味ながら外出着だった。セヴランより少し年上の人は、じっと無遠慮に向けられた視線に気づくと話を切り上げてそそくさと部屋に入っていく。セヴランの過ごす部屋からは多少距離をとった、廊下の先の一室だ。
ちらと視界端にセヴランの姿を確認していたカイは改めて振り向き、ちょっとたじろいだ。どうかしたか、と言いかけたが、やめた。別に用があって待っていたのではないのが察せられたので。端々から感じられるのはそういうものではなく、嫉妬とご機嫌斜めの気配だった。
「俺のとこに来ないで何してんのさ」
昔からこういう感じだとはカイは知らないが。常々構ってほしがりが態度に表れているし、デニスから今朝も煩かったよなんて聞いていたので、予期してはいた。朝から忙しくあまり余裕が無いが、折角こっちまで来たのだから寝ていなければ一言挨拶くらいはと思っていたのだ。そこでこれだ。真っ向から来る。
「どう見ても仕事中だろ。貴方もほら、用が無いなら出ないでくれ。帰宅の申請にも心証がいいほうがいいんだから」
「俺より大事な仕事あるわけ」
部屋に戻しながら言うとどうしようもない類の反発がある。
無論、黄金果樹が発現するような庭の重要度は極めて高いが、それはそれだ。任務上の優先順位の話であって、標本採取が終わった今ずっと付きっきりで注視せよというものでもない。こうして施設に収容している時点で状況的には既に完了している。観察はしているし、他にやることは幾らもあった。
「貴方は重要な庭だが。他のことを疎かにする理由にはならない。貴方の様子は皆でちゃんと見ているだろう」
「皆本当に仕事しに来るだけだし、君も来てくんなきゃやだって言ってんの。大人しくしてるんだから一緒に遊んでおやつでも食べてよ。この前駄目だったんだしさあ」
とはいえ、カイにとってセヴランが特別なのもまた、事実ではある。
部屋のドアは自身も内に入ってから閉めて、少し考えた。
「じゃあ一杯だけ付き合う」
「珈琲?」
「淹れに行くと時間が無くなる。水分補給してくれ」
扉を背にして立ったまま抜け目なく促すのに、腰掛けたセヴランはあまり減っていない水差しからたっぷり一杯注いだ。ちび、と飲む――というか唇をつける。カイは肩を竦めて、懐中時計を取り出して見せた。
「十分測る」
「ケチ」
「五分じゃなくて十分にした。……勤務時間なんだよ。報告書も書かないと。今日は予定より押してる」
「……此処で書けば?」
勿論首は横に振られた。けれど、この真面目な男が忙しいのに十分使うことにしてくれた、という点でセヴランの機嫌は少々よくなりつつあった。
セヴランは我儘だが、あれもこれもと求めているわけではない。何かと要求することはあってもそれは結局、関心を引きたくて言っているのだ。ちゃんと彼を向いて応じ、叶えてやる、という姿勢、付き合ってやるのがなにより重要で、後は結構聞き流しても平気だ。それをもうカイは知っていた。
物だけ渡してやってもむしろ機嫌を損ねるくらいなので確実に手間ではあるが、こうしてちょっと相手をしてやればすぐ、そして分かりやすく喜ぶのが伝わってくるので、カイはつられて気分がよくなってしまう。仕方ない奴だなあと思って一緒にいてしまう。
「ねー、さっきの人も庭?」
ようやく普通の会話らしくなる。
朝の時点でデニスが言っていたのを、セヴランもちゃんと覚えてはいた。だからそうだろうと思って訊いたのだが。
「いや、庭の付き添いだ。子供だから」
返答は半分不正解だ。当人ではなかった、さっき見えた女の年頃を考えて、セヴランは聞きなおす。
「ちびっこなの?」
「十一歳だ。――それでもこういう場所だからな。一人では、まだちょっと」
今日連れてこられたのは、カイが担当する庭の一人だった。書類の情報だけでなくよく知っている利発な少年だ。単なる一泊なら一人でも問題なくこなすだろうと思われた。ただ何かと検査をしたり、書類を作ったりするには保護者の確認が要ることも多いので、それなら初めから同伴でという運びになった。
あくまで事務的な、そして道徳的な措置だったが。――付き添い、というのは今のセヴランにはあまりに魅力溢れた響きだった。溜息が零れる。
「いいなあー。……俺も一人だとちょっとアレだなあー。カイが付き添いやってよ。俺からも上の人に言っておくからさ。今晩からそれを仕事にしよう? そのほうが君も楽だろ。そうしようよ」
心底の声の後、まるで何か権限でもあるように言うのにカイは呆れる。窮屈な生活を強いられているセヴランには優しくしたいが、そんな誤魔化しではなく元の生活に戻れるようにと働きかけるほうが重要だ。
「アンタは一人暮らしもしてる大人だろうが」
「此処だと外に出してももらえないんだもん。遊び相手にいてもらうしかないじゃんか」
遊び相手と言い切られてしまえばなお。もう少し我慢してくれ、と言うしかなかった。組んだ足が覗く裾から目を逸らし、時計を見る。あと七分。
「そんくらいの歳ならさ、その子も呼んで遊ばない? 頭数いたらカードも色々できるだろ」
名案だという声には、カイも一瞬考えた。たしかに良い案に聞こえたが――結局首を振った。
「いや駄目だ。悪影響だ。それに許可が下りるか」
子供のほうも緊張が解れるかと思ったが向こうは一泊で済む予定で、就寝前には例の観察室に移動してもらわなければならない。そのくらいのことで申請もしていられないが、黄金果樹の庭であるセヴランの扱いを思えばさすがに独断はまずそうだ。
沈黙の分少し期待していたセヴランは、ちぇ、と唇を尖らせて、やや置いて気づいた。
「……悪、って俺のこと言った? すごい大人しくして手本みたいに過ごしてるのに!」
「ああ、そのままくれぐれも模範的にいてくれ。特に今日は」
喚く言葉も頷いて丸め込まれる。腹いせに喉に流し込むのは酒ではなく水で、園丁官の指示のままだ。カイは笑って話題を卓上に置かれた本に切り替えた。
きっかり十分測り、彼にも未練はあるが引き延ばしはせず、じゃあと手を振る。まだ半分ほどしか飲まれていない水を指差し、セヴランの目を見る。いつかほどではない、拗ねた子供じみた視線とかち合う。
「それくらいは飲めよ。――明日朝は俺が来るから、待っててくれ」
夕方までって何時までだろう。まあ注意されるまではいいか、と思いつつ、セヴランは暮れてきても竪琴を弾いていた。夕食もまだで、消灯までは随分ある。これくらいは自由にさせてもらわないとやっていられなかった。
一曲終えてふと顔を上げるとドアの覗き窓に人の頭が見えて驚いた。目が合って向こうも驚いた。一見して分かる、まだ子供の顔だ。固まった少年と束の間見つめ合った。
数秒静かだった。廊下の巡回など、彼を注意するような人間は誰もいないらしいと知ってセヴランが手を招くと困惑の間があって、それでもそっとドアが開く。セヴランと同じ、前開きにも後ろ開きにも着られる結び目のついた検査着を着た、あどけない雰囲気の栗毛の少年だった。名はフリッツという。
「――こんばんは」
「暇なら寄ってきなよ」
カイは近づけたくないようだったが。話すなとは言われてないし彼の側から寄ってきたのだから構わないだろうと都合よく考え、セヴランは笑いかけた。座ったベッドの横を叩くとフリッツは遠慮しながら座る。視線はセヴランの手にする楽器に向いていた。
「お兄さん、楽師さん?」
「まあね。大体そう。最近やれてないけど」
軽い返事に、揺れる。
「……庭になっちゃったから?」
「うん?」
「花が生えてくるから、働けなくなった?」
「いや。それは関係ない。生えてても弾けるしね。別の理由だよ」
初対面の大人相手だからというだけではなく少し強張った声に、セヴランは変わらない調子で答えて利き腕を見遣った。生えるのはそことは限らなかったし、多少生えたところでどうにかなった。第一すぐ切って持っていく。切った後はなんともない。この子はそれをまだ知らないのだろうか、と考えつつ――最初に病院に駆け込んだときのことも思い出した。
「君も、庭だろ。なに、生えるのが不安なの」
問えばすぐに首が振られた。臆病と思われるのを嫌う若者の反応の速さだった。それから、言葉を選んで口が動く。
「……不安ってわけじゃない。でも父さんとか仕事の心配するし、周りは色々言うんだ。だから――ユーウツ」
「なるほど」
フリッツは実際には庭になってからもう一年以上経つ、いわば先輩だった。セヴランより慣れている。ただ、セヴランほどなげやりではない生活があった。学校にも通っているし親も本人もこれからのことを考える。そういう中では体に芽吹きがあるのは何かと懸念になった。
セヴランにはあれこれ言う周りもいないので少し羨ましいくらいだったが――羨ましいことだけではないだろうとは勿論察せられた。心配もときに煩わしい。心配の態をとった勝手な意見などは尚更である。そして、植物の発現は自身どうにもならないし、きっとこれからも続く。
どうしたらいいんだろうな、と考えて真っ先に彼のことが浮かんだのは、妥当ではあった。
「カイはなんて言ってる? ――園丁官の」
フリッツは思いがけず出た他人の名にきょとんとした。此処に案内した、馴染みの人の顔を思い出す。
「エッカルトさん?」
「そう。エッカルトさん。専門家だろ」
「……大丈夫だって。任せて、なんでも相談してくれっていつも」
セヴランは少し眉を上げた。俺に言うより優しい――と思ったのは相手が子供だったのでギリギリ我慢できた。子供や年寄りに優しいカイは想像がしやすく、なんとなく趣味に合った。自分にも優しくしてほしいとは思ったけれど。
「じゃあ大丈夫だ。よくしてくれると思うよ、彼が」
「そうかなあ」
「だって滅茶苦茶イイ奴じゃん。優しくて真面目で熱心で。どうにかしてくれるよ」
「それは確かに」
「だから色々言われるのも全部任せちゃう気でいたらいいよ。俺たちに生えるもんだけど、別に詳しいわけじゃないし。よく分からないもの考えても疲れるでしょ。自分でもどーにかなることを考えてやったほうがいい」
セヴランは子供が好きでも嫌いでもなかった。親戚などの付き合いもないので、子供用の接し方というのもよく分からない。相手がもうそれなりには大きかったこともあり、態度はまったくいつもどおりだった。
言葉は根拠もなく適当で無責任だった。全然、解決策ではなかった。――その感じが逆に、フリッツの憂鬱には丁度良かった。
確かに、いつも来るあの園丁官はイイ奴という感じで、優しい。口先だけでなく態度が実際丁寧だ。採取の間持て余し、学校の出来事など喋るとしっかり聞いていて相槌を打つし次も覚えている。普段応対する母だけでなく心配する父にも、庭とはどういう状態であるのか、今回の検査の主旨はなどの説明は欠かさなかった。頼るにはよい相手だと思う。それをこんな調子で軽い声で言われると、そっか、と腑に落ちた。
任せちゃえばいいのか、と思った。当然自分の問題だと考えて扱いあぐねていたが、庭のことは庭師に。事は単純ではなくても、とりあえず一回そう思ってみるのはフリッツの気を楽にした。
「仕事、なにするのかもう決まってる?」
横の人がまるで深刻にはしないで遠慮なく話を続けてくるのもよかった。知らない大人の癖に同年代の友達のように気安い。
「うち、靴職人なんだ。でも腕に生えるから」
「なに生える? 蔦とか?」
「百合の花」
「ああそれはちょっと邪魔そう。でも生えてても別に、動くし、切ったら元どおり……それに週一くらいだろ。平気平気。俺なんか一日置きに生えたりするけどカイが切ってくれるから平気だもんね」
セヴランは何一つ取り繕いもしないで思ったままに言う。回数で若干張り合ったが、フリッツは気づかなかった。ふと竪琴を抱えた両腕を見渡して、今は何も生えていないのを確かめた。
「お兄さんは何が生える? 蔦?」
「蔦とか色々。たまに木が生えて、絶対君のより邪魔くさい。先週なんか貴重なものだからって生やしたままにされたんだぜ。部屋に入れないから庭に居たの」
セヴランが頭の横に手を広げ腕を振って枝ぶりを示して見せると、ええと驚いたが――不安よりその言い方へのおかしさが先立って、笑い合った。
一方百合の花なら、家に出入りできなくなることはなさそうだ。考えて、思いつき、セヴランはまたそのまま口にする。
「君のさ――花咲かす腕が拵えた逸品、なんて言って売り出したら、逆に売れそうじゃない、靴。百合みたいに白い靴でも作れば?」
「青い百合なんだ。青い靴、イイかな」
「ああ、清き青百合森に咲きたる、――ね。いいじゃん」
返答で花の名にも思い至った。祭服の紋様にもよく見られる、清浄を司る美しい花だ。浄化の魔法や剣の素材になる。一掻き鳴らして紡ぐのは、ある物語で騎士たちが進んだ先で聖域に入り込んだ場面だ。
そのままなんとなく曲を弾き始めながら、セヴランは少年の話を聞いた。将来を考えはするが百合は綺麗だしよい香りがするから嫌ではない、とか。多いときは一抱えの花束のようになるとか。
聞いて、セヴランはカイが花束を作るところを想像した。青百合の実物は見たことがないが、きっと似合うなと思った。いつも、百合以外にも色んな花を切って束ね、抱えたりしているのだろう。それを思い浮かべると何か楽しい。
それだけでやけに楽しい。――べた惚れだよなあと自分に呆れて、しかし嫌なわけはない。頬が緩む。
フリッツももう屈託なく笑っていた。
「庭の人同士で話すのさ、なんかいいね」
「だよな? それエッカルトさんにも言っておいて」
食事を持ってきた園丁官に叱られるまで、その語らいは続いた。フリッツはうたた寝していたところ飛び起きた母にも追加で叱られていたが――その様でさえセヴランには羨ましかった。
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