【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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月曜日  お昼休憩



「いや~、加藤さんにはビックリですよ。」



「先に1人で全部見ちゃうとか、それはダメですって。」



「そして自分は見たからもうあのドラマは見たくないとか、ワガママすぎますし。」



「いいじゃん、今日もみんなでお喋りしようよ♪
今日は加治さんと最上さんもいるし、金曜日はみんなで喋れなかったし♪」



「急なぶりっ子どうしたんですか?
いつもの感じを知ってるからなんか怖いんですけど。」



「怖くないよぉ~♪
何も変なことなんて企んでないよぉ~♪
ね、木下さん?」



「私に振らないでよ。
私は加藤さんにさっきからずっと怒ってるんだから。」



「給与計算のことですよね?
ごめんなさぁい、でもあと少しですから~!」



あと少しでこの案件は終わる。
青さんの会社の仕事くらいはちゃんとこなせるような人間でいたいと、それは強く思う。



仕事のことに関しても青さんから”無理“と、そんなことは言われたくない。



少しだけでも良い所を見て欲しいと思ってしまう。



だから今日はいつも以上に気合いを入れて雪の中カトウ・キサラギシステムズに出勤をした。



「加治さんと最上さんって、お休みの日は何してるの~?」



「土曜日は休日出勤してたよ。
日曜日は雪の予報だから家で大人しくしてた。」



「1人で?」



「ううん、お父さんとお母さんと。」



「あれ?加治さんって母子家庭って言ってなかったっけ?」



首を傾げながら加治さんに聞くと、加治さんは「ああ!」と言って。



「母子家庭だったんですけど、数年前に母が結婚したんですよ。」



「それなのに”お父さん“って言えるの凄いね。
なんか凄く嬉しそうな顔をしてたし。」



「私の本当のお父さんでもあるからね。
ちょっと訳があって、母は結婚をしなかったんだけど数年前にちょっとそれが落ち着いて。
奇跡的に結婚が出来ることになったからお父さんに連絡をしてみたら、お父さんも結婚をしていなかったので結婚出来て。
私は写真と話しか聞いたことがなかったけど、会ったら凄く良いお父さんで、もう普通に私のお父さんです。」



「ふ~~~ん。え、不倫とか?」



「「「加藤さん!!!」」」



木下さん含む何人かの女の子に”加藤さん“と注意をされた私のことを、加治さんがクスクスと楽しそうに笑った。



そして・・・



「今だから言えるんですけど、私ってある財閥の分家の人間で。
うちは、分家の人達やその家に仕える家の人に何かがあった時用のスペアを育てる家なので、優秀な遺伝子を持つ男から種を貰って子どもを生み育てるのが務めなんです。
種となった相手の男の人を巻き込むことは基本的にはしないので、お母さんはお父さんと結婚することは諦めていて。
でも数年前に家としてのその役目も終わったので、2人は結婚しました。」



加治さんが普通の顔でそんなことを言い出した。



そんな、予想もしなかったことを言い出して・・・



固まるしかない私に、加治さんは続けた。



「おばあちゃんからの教えで、私は”加藤“という名字の人のことは大切にするように言われています。
”もしかしたら、おばあちゃんの双子の妹が貰われていった加藤の家の子孫かもしれないから“って。
だから加藤社長のこともそうですし、加藤さんのことも”おばあちゃんの孫かもな~“とか思いながら、勝手に身内な気分でいました!」



照れたように笑う加治さんに、私の口は自然に動いた。



「西川、鶴・・・・。」



呟いた私に加治さんは物凄く驚いた顔をして・・・



「私のおばあちゃんの名前は西川鶴です・・・。
え・・・え・・・・?」



「私のおばあちゃんは西川亀として生まれて加藤亀になった・・・。
加治さんって、野々ちゃんのきょうだい・・・?
え、でも野々ちゃんって一人っ子で・・・。」



「野々ちゃん?
母も私も一人っ子で、野々ちゃんという人は私は知りません・・・。
西川の”家“の人間は、今は母と私しかいません。」



加治さんが、そう言った。



西川鶴さんの孫、加治千縁という名前の加治さんが、そんな驚くことを言ってきた・・・。

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