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1年前、お盆



初めて元気さんに触れたのは小指と小指。



神社の境内から少し外れた所にある社務所前のコンクリート。
そこに2人で並んで座り指切りをする。



指切りの小指は離されることなく、むしろ小指を元気さんの方へ引かれた。



うちの小さな小さな神社。
灯りは何もつけていないけれど、通りの街灯もあるしご近所さんの家の灯りもある。
暗い神社の中、その微かな灯りと慣れてきている目ですぐ近くにある元気さんの顔がちゃんと見える。



いつもの元気な姿ではなく真剣な顔で私のことを見詰めていて・・・



引かれた小指に導かれるように元気さんの顔に近付いてしまう。



そんな私に元気さんも近付いてきて・・・



近付いてきて・・・。



くっきりとした二重瞼が少しだけ落ち、細く開かれた目は私の唇を見ているのが分かり・・・。



分かったけれど・・・



私も元気さんの唇を見て、



お互いにゆっくりと、ゆっくりと、ぎこちないくらいにゆっくりと・・・



でも自然に唇が重なった・・・。




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