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定時になった瞬間、元気さんが私のデスクまで歩いてきた。
「美鼓ちゃん、帰れそう?」
「はい、凄い社内システムのお陰で仕事がもっと簡単になりましたから。」
あの後、信之さんと打ち合わせがあった元気さんは相川さんを連れて3人で食堂を出て行った。
「定時後に話そう」
私にその言葉だけを残して。
そして、元気さんと無言で電車に乗る。
元気さんはスーツ姿ではなくティーシャツにハーフパンツ、サンダル姿でキャリーケースを持って。
私は巫女装束姿で。
私を思い出したかのように元気さんから“一緒に帰ろう”と言われた時も、この電車に2人で無言で乗っていた。
あの時はただただ悲しかった。
再会した瞬間に私の姿に幻滅をしたのだと分かったから。
私が玉の輿を狙っていたと知ったからではなく、再会した瞬間に私のことをなかったことにしたのだと分かったから。
でも、全てが違った。
他に好きな女の子が出来たのでもなく、私のことを、そして約束のことを忘れたわけでもなかったことにしたわけでもなかった。
真っ黒だったらしい・・・。
元気さんには私の顔が真っ黒に見えていたらしい・・・。
「俺のこと、もっと信じられなくなった?」
「美鼓ちゃん、帰れそう?」
「はい、凄い社内システムのお陰で仕事がもっと簡単になりましたから。」
あの後、信之さんと打ち合わせがあった元気さんは相川さんを連れて3人で食堂を出て行った。
「定時後に話そう」
私にその言葉だけを残して。
そして、元気さんと無言で電車に乗る。
元気さんはスーツ姿ではなくティーシャツにハーフパンツ、サンダル姿でキャリーケースを持って。
私は巫女装束姿で。
私を思い出したかのように元気さんから“一緒に帰ろう”と言われた時も、この電車に2人で無言で乗っていた。
あの時はただただ悲しかった。
再会した瞬間に私の姿に幻滅をしたのだと分かったから。
私が玉の輿を狙っていたと知ったからではなく、再会した瞬間に私のことをなかったことにしたのだと分かったから。
でも、全てが違った。
他に好きな女の子が出来たのでもなく、私のことを、そして約束のことを忘れたわけでもなかったことにしたわけでもなかった。
真っ黒だったらしい・・・。
元気さんには私の顔が真っ黒に見えていたらしい・・・。
「俺のこと、もっと信じられなくなった?」
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