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それは言っていた・・・。
宝田と2人で、声を揃えて言っていた・・・。



「お前ら、結局高校の時から付き合ってたんだろ!?
2人とも認めてねーけど!!
高校の時からやりまくっててなんだよ、そろそろ子ども作れよ!!」



「ちょっとサトシ!!!
私は宝田と付き合ってもないし、高校の時にやりまくってたとかないから!!!
何回も言ってるじゃん!!!」



「・・・キミヨからも聞いてるけど、それマジで?」



「マジで!!
それに、幼馴染み達にはこの前説明してるでしょ!!
うちらの結婚は売り言葉に買い言葉!!
それで・・・会社の集中プロジェクトの1つに組み込まれてた結婚だったの!!」



宝田と私が勤めるマツイ化粧品・・・。
須崎社長と板東社長がダブル代表となってから、社内での闘争が激化していた。
社内では試合を、社外へは闘争を。



代々松居の血縁者が代表取締役となり会社を大きくしてきたマツイ化粧品。
そんな松居会長の娘と旦那さんは亡くなってしまっていた。



だから、須崎社長と板東社長がダブル代表として選ばれた・・・。
1度結婚したものの離婚し、犬猿の仲が益々犬猿の仲となっていた2人が・・・。



そんな2人のように、マツイ化粧品には常に派閥があった。
それが数年前から須崎派と板東派が確立し、お互いに切磋琢磨し会社を盛り上げてきた。



2人が社長に就任するまでは・・・。
そして、須崎社長が一時期入院するまでは・・・。



社内での激化していた闘争を鎮める為、その1つ目の攻撃として宝田と私を結婚させた・・・。
須崎派の宝田、そして板東派の私。
犬猿の仲として有名だった私達がそれぞれの第二秘書となった。
これは松居会長が“いずれ”と考えていたことだったとは聞いた。



そして、宝田と私の結婚については・・・
数年前から話題になっていた経営コンサルティングの会社の人によって焚き付けられた。
その時、私は気付かなかったけれど・・・。
入籍して数日後にその理由を知った・・・。



宝田は気付いていたらしい・・・。
私達の結婚にそんな理由があると、気付いていたらしい・・・。



激化していた社内の闘争・・・。
その闘争を混乱させる為の1つ目の攻撃だと、気付いていたらしい・・・。



売り言葉に買い言葉で結婚してしまったと思っていたのは私だけで・・・。
宝田は気付いていて、私に仕掛けてきた・・・。



愛のない結婚を、仕掛けてきた・・・。
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