上 下
96 / 304
7

7-3

しおりを挟む
「元気だよ。
母さんは美容部員として働いてて、父さんは何か色々と働いてる。」



ユズがいなくなってからお父さんから聞いた話。
ユズのお店はお父さんの家の方のお店だった。
そこにお嫁さんとして来てくれたお母さんが頑張ったけれど、百貨店が出来てからは苦しくなった。



ユズのお父さんは援助を断り、そしてお母さんの実家へと身を寄せることとなった。
驚くことに、ユズが住んでいるのはここからそんなに遠くない地域だった。



ユズの話を聞きながらお父さんの話を思い出していると、ユズの隣に座っている結子が暗い顔で俯いた。



あまりにも暗い顔なので驚き、声を掛けようとしたら・・・



「前を向いてろ、結子。
下なんて向いてたら何も見えないだろ。」



和が力強い声でそう言った。



「うん・・・。」



和の声に結子がゆっくりと顔を上げる。



「しっかりと見ろ、目を逸らすな。」



「うん・・・。」



そんな2人の不思議なやり取りを見ていると、私の隣にいたキミヨが口を開いた。



「いとこって結婚出来るんだっけ?
2人って付き合ってるの?」



キミヨのそんな言葉には幼馴染みの女の子達は何度も頷いている。
それに和と結子は困った顔で笑いだした。



「それ、中学の頃から散々言われたんだよ!!
いとこなんて家族だろ、マジで!!
しかも顔が俺の妹と同じ顔過ぎて怖い!!」



「それに和、好きな女の子いるからな?」



ユズの言葉に女の子達がピクリと前のめりに動いた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ろくでもない初恋を捨てて

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:461pt お気に入り:30

社長、嫌いになってもいいですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:74

【R-18】悪人は聖母に跪く

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:181

【R-18・連載版】部長と私の秘め事

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,055pt お気に入り:737

十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:61

処理中です...