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マツイ化粧品にはどの部署にも2人の課長がいる。
その課長の下にはそれぞれの部下が。
そして、2つの課で試合をしていく。
そうやって昔から会社を盛り上げて成長してきたのがマツイ化粧品だった。



桃子せんぱいの課は比較的に若いメンバーで構成されている。
もう1つの課、三好課長が率いるメンバーは比較的にベテラン勢で。



桃子せんぱいは若いメンバー達の“お母さん”のような存在だった。



それも、めちゃくちゃ仕事が出来る。
それは企画も勿論そうだけど、社内の調整や部下の育て方までも。
怒ることもない桃子せんぱいだけど、厳しい三好課長の課よりも強いメンバーが育っている。



そう思いながら初めて3人で飲むお酒の時間を楽しんでいると・・・



桃子せんぱいが酔っ払い始めた。



これには長峰と苦笑いになる。
仕事がめちゃくちゃ出来る桃子せんぱい。
でも、整理整頓が苦手だったり結構おっちょこちょいな所もあって。



そして、お酒を呑んでしばらく経つとトロンとして気が抜けてくる。



“気を抜かないでいくよ”



板東社長の部下でもあった桃子せんぱいが、板東社長のその言葉をよく言っている。



4月から須崎社長と板東社長のダブル代表となったマツイ化粧品。
桃子せんぱい曰く、それによって社内では試合ではなく乱闘のような感じになってきているらしい。



会長になった松居会長が、いずれどちらかの社長を選び1人代表にするのでは、そんな風に思われているのではないかと予想していた。



そんなことまで考えられる頭もある桃子せんぱいが、トロンとした顔で俺のことを見てきた。
その顔はやけに可愛すぎる顔なのでお酒の席では絶対に桃子せんぱいの近くには座らないことにしていた。



桃子せんぱいが俺のことをトロンとした顔で見詰めながら、口を開いた。



「寂しいな~・・・。」
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