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高級住宅が並ぶエリア、その中にある私の実家の扉を静かに開ける。
静かに歩きながらリビングに入ると・・・
ダイニングテーブルの椅子に座り、爺さんが呑気にお茶を啜って飲んでいた。
その姿に笑いながら、爺さんの向かい側の席に座る。
爺さんは驚いた顔をして私を見ていて、すぐに照れたような顔で笑った。
「おはよう、ジジイ。」
「おはよう、響歌ちゃん。」
「朝から呑気にお茶なんて啜って飲んで、幸せじゃん。」
「そうだね。幸せで。」
爺さんがシワクチャの顔をもっとシワまみれにして笑っている。
その顔を見ながら、リビングの隣の部屋にある仏壇まで歩く。
仏壇に線香をあげ、チーンってやつを鳴らして両手を合わせる。
私のママを産んだ母親と育てた母親の仏壇。
その2人に両手を合わせる・・・。
瞼を強く強く閉じ、両手を合わせる・・・。
ゆっくりと目を開けると・・・
爺さんが私の隣にちょこんと立っていた。
その爺さんの顔を見ることなく、仏壇に並んだ2人のおばあちゃんの写真を見ながら小さな声で言う。
「もしかしたら、妊娠したかも。」
私がそう言うと、爺さんが何も言わず・・・。
震える両手をコートのポケットにまた入れる・・・。
「じいちゃんが一緒に育ててやるから。」
そんなことを言って・・・
こんなヨボヨボの爺さんがそんなことを言って・・・。
80歳になるヨボヨボの爺さんがそんなことを言って・・・。
「100歳まで生きて、一緒に育ててやるから。」
その言葉に、泣いた・・・。
震える両手をポケットから出し、流れ続ける涙を何度も拭う・・・。
頭の上には少しだけ、爺さんの手がのせられていた・・・。
静かに歩きながらリビングに入ると・・・
ダイニングテーブルの椅子に座り、爺さんが呑気にお茶を啜って飲んでいた。
その姿に笑いながら、爺さんの向かい側の席に座る。
爺さんは驚いた顔をして私を見ていて、すぐに照れたような顔で笑った。
「おはよう、ジジイ。」
「おはよう、響歌ちゃん。」
「朝から呑気にお茶なんて啜って飲んで、幸せじゃん。」
「そうだね。幸せで。」
爺さんがシワクチャの顔をもっとシワまみれにして笑っている。
その顔を見ながら、リビングの隣の部屋にある仏壇まで歩く。
仏壇に線香をあげ、チーンってやつを鳴らして両手を合わせる。
私のママを産んだ母親と育てた母親の仏壇。
その2人に両手を合わせる・・・。
瞼を強く強く閉じ、両手を合わせる・・・。
ゆっくりと目を開けると・・・
爺さんが私の隣にちょこんと立っていた。
その爺さんの顔を見ることなく、仏壇に並んだ2人のおばあちゃんの写真を見ながら小さな声で言う。
「もしかしたら、妊娠したかも。」
私がそう言うと、爺さんが何も言わず・・・。
震える両手をコートのポケットにまた入れる・・・。
「じいちゃんが一緒に育ててやるから。」
そんなことを言って・・・
こんなヨボヨボの爺さんがそんなことを言って・・・。
80歳になるヨボヨボの爺さんがそんなことを言って・・・。
「100歳まで生きて、一緒に育ててやるから。」
その言葉に、泣いた・・・。
震える両手をポケットから出し、流れ続ける涙を何度も拭う・・・。
頭の上には少しだけ、爺さんの手がのせられていた・・・。
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