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クソ親父の説得にもママの説得にも応じなかったクソジジイだと思っていたのに・・・
長い時間玄関で泣き、しばらくしてから立ち上がった爺さんは「また、一緒に生きていきたい」、そんな返事をした。
そんな素直な爺さんだったので、クソジジイではなくジジイなのだと思った。
爺さんがボロボロのアパートの部屋に入れてくれ、お茶を出してくれた。
ボロボロだけど手入れの行き届いた心地好い部屋・・・。
部屋の中は線香の香りがしていて・・・。
そして、気付く・・・。
ボロボロの部屋の中に、立派な仏壇がある。
私は立ち上がり、その仏壇の前に。
そんな私に爺さんは嬉しそうな顔で横にちょこんと立った。
「響歌ちゃんのおばあちゃんと・・・響歌ちゃんのお母さんを育てた人だよ。」
「どっちも私のおばあちゃん。
そう聞いてる。
なんでか育てたおばあちゃんに会わせてくれなかった。」
「毎日仕事をしていた人だったからね。
亡くなった時も仕事をしていて、僕もいたしみんなもいて・・・。
みんなに見送られて逝ったんだ。
1月1日に・・・。」
それを聞き、驚いた・・・。
「亡くなったのは、1月1日。
61歳だった。」
「今年のママの歳だ・・・。
それに、1月1日は・・・小太郎の奥さんが生まれた日。」
自然と涙が流れ、隣に立つ爺さんを見る。
「私の弟、小太郎。
ジジイと同じ名前を付けたんだね、ママは。
その小太郎の奥さんが生まれた日は、1月1日なの。」
「そうか・・・。
そうなのか・・・。」
またボロボロと泣く爺さんに笑いながら、仏壇の写真を見る。
ママを生んだ母親は・・・なんと、兄貴と小太郎の顔によく似ていた。
白黒の写真だけど、それでもよく似ていて優しい良い顔をしている。
そして、ママを育ててくれた母親は、笑ってしまうくらいママにソックリな顔をしていた。
「お墓、こっちにあるんでしょ?
ママは雪なんて二度と見たくないって言って連れてきてくれたことないけど。」
「うん、あるね。」
「私が毎年連れてくる。
どんなにヨボヨボになっても必ず連れてくる。」
「ありがとう・・・。」
「ねえ、これどうやってやるの?
私こういうのしたことないから知らないんだよね。」
爺さんに教えてもらって、私は初めて仏壇に両手を合わせた。
長い時間玄関で泣き、しばらくしてから立ち上がった爺さんは「また、一緒に生きていきたい」、そんな返事をした。
そんな素直な爺さんだったので、クソジジイではなくジジイなのだと思った。
爺さんがボロボロのアパートの部屋に入れてくれ、お茶を出してくれた。
ボロボロだけど手入れの行き届いた心地好い部屋・・・。
部屋の中は線香の香りがしていて・・・。
そして、気付く・・・。
ボロボロの部屋の中に、立派な仏壇がある。
私は立ち上がり、その仏壇の前に。
そんな私に爺さんは嬉しそうな顔で横にちょこんと立った。
「響歌ちゃんのおばあちゃんと・・・響歌ちゃんのお母さんを育てた人だよ。」
「どっちも私のおばあちゃん。
そう聞いてる。
なんでか育てたおばあちゃんに会わせてくれなかった。」
「毎日仕事をしていた人だったからね。
亡くなった時も仕事をしていて、僕もいたしみんなもいて・・・。
みんなに見送られて逝ったんだ。
1月1日に・・・。」
それを聞き、驚いた・・・。
「亡くなったのは、1月1日。
61歳だった。」
「今年のママの歳だ・・・。
それに、1月1日は・・・小太郎の奥さんが生まれた日。」
自然と涙が流れ、隣に立つ爺さんを見る。
「私の弟、小太郎。
ジジイと同じ名前を付けたんだね、ママは。
その小太郎の奥さんが生まれた日は、1月1日なの。」
「そうか・・・。
そうなのか・・・。」
またボロボロと泣く爺さんに笑いながら、仏壇の写真を見る。
ママを生んだ母親は・・・なんと、兄貴と小太郎の顔によく似ていた。
白黒の写真だけど、それでもよく似ていて優しい良い顔をしている。
そして、ママを育ててくれた母親は、笑ってしまうくらいママにソックリな顔をしていた。
「お墓、こっちにあるんでしょ?
ママは雪なんて二度と見たくないって言って連れてきてくれたことないけど。」
「うん、あるね。」
「私が毎年連れてくる。
どんなにヨボヨボになっても必ず連れてくる。」
「ありがとう・・・。」
「ねえ、これどうやってやるの?
私こういうのしたことないから知らないんだよね。」
爺さんに教えてもらって、私は初めて仏壇に両手を合わせた。
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