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高校2年 バレンタイン



「ごめん・・・彼女いるから。」



目の前で可愛い箱を持って立つ女の子に、謝る。
この時だけは、別れるタイミングを逃し続けている彼女の存在に、少しだけ感謝をする。



俺は、バレンタインが大嫌いだった。
凄い人気のあったあの子にチョコを渡そうと、積極的な男子達はもっと積極的になっていて・・・。



あの子が俺に“お節介”をしてくれていたので、仲が良いとみんな知っていた。
“好きなのか”と何度も聞かれたけど、この時だけは苦笑いしながら少し首を横に振った。




だって、言えるわけがなかった・・・。




言えるわけがなかった・・・。




俺は、“資格”がないから・・・。




あの子を“好き”でいる“資格”がないから・・・。




いつか言われた言葉が、ずっと俺の中に残っている・・・。
苦しすぎてあまり覚えていないけど、とにかく、俺には“資格”がない。




何も、“資格”がない・・・。





確か、死なないといけないくらいの、“資格”のなさだったと、思う・・・。
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