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「ごめん・・・。
でも、俺は・・・俺は、莉央だけにしか・・・あげてないし、これからもあげない・・・。」



莉央は拗ねながらも・・・やっぱり可愛い顔で俺を見る。



「俺が、店の外で“シェフ”になるのは・・・“シェフ”として俺の料理をプレゼントするのは、莉央だけだから・・・。」



今は、これだけしか・・・言えない。
俺の想いは、まだこれだけしか言えない・・・。



“資格”がないから・・・。
ここまでが、俺の精一杯で・・・。



届いて欲しい・・・。
それでも、届いて欲しい・・・。




「金もない俺が1つだけあげられる・・・特別なプレゼントなんだ・・・。
特別な、プレゼントだから・・・。」




言葉と一緒に、莉央への想いが涙となって流れた・・・。
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