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「すみません!俺そろそろ失礼します!」
田代が財布を取り出しながらそう言ったので腕時計を見ると、もう22時になっていた。
あれから4人で結構盛り上がりお酒も進んでいた。
「ここは俺がご馳走するから。
久しぶりに田代君にも会えて楽しかったよ。」
「じゃあお言葉に甘えて!あざっす!!
純、これホワイトデー!!」
「ありがとう・・・。」
コンビニのビニール袋を渡され袋を覗いてみると・・・
まさかの避妊具の箱が入っていた。
私が“女になれる物”とリクエストをしたのでコレを買ってきてくれたのだと分かる。
分かるけど・・・
「バカ・・・。」
笑いながらその言葉を口に出すと田代が大きく笑った。
「ホワイトデーにお返しが欲しかったとか号泣されて、ソレに辿り着くまでかなり悩んだんだからな!!」
「うん、ありがとう。
バレンタインのお返しを貰えたのは生きてて初めてだからめちゃくちゃ嬉しい。」
少し泣きそうになりながら避妊具の箱が入ったビニール袋を抱き締めた。
この先コレを使う日が来るかなんて分からないけれど、使用期限を迎えてしまう前に使える日が来ることを泣きそうになりながらも願った。
「砂川課長、私もお先に失礼しますね。」
羽鳥さんがブランド物の鞄からブランド物の財布を取り出したのを見て、私も鞄を手に取った。
「羽鳥さん、ここは俺が出しますから。」
「いいんですか・・・?」
「勿論で・・・」
鞄を持ち立ち上がっている私の方を砂川さんが見た。
「す・・・。」
残りの“す”だけを口にし、砂川さんは困ったように笑った。
「羽鳥さん、本当に申し訳ありませんがあと少しだけお時間よろしいですか?
なんだか・・・今日は凄く楽しくて・・・。」
砂川さんが照れた顔で羽鳥さんに笑い掛けながらそんな言葉を言っている。
私が聞いたこともない言葉を羽鳥さんには一生懸命な様子で伝えている。
“変わったな”と思った。
砂川さんはこんなことを言うような人ではなかった。
こんなことを思うような人でもなかった。
“良いな”と思ってしまった。
“羨ましいな”と思ってしまった。
“私にもそんな風に言って欲しかったな”と。
“私にもそんな風に思って欲しかったな”と。
そんなことを思ってしまった。
増田ホールディングスに転籍になる前日、砂川さんはあっさりと私に“元気でね”と伝えた。
“セフレという関係が終わるタイミングが全く分からなかったけど、このタイミングなのかなと思って”
困った顔で笑いながら私にそう言った。
“好き”や“付き合って”や“彼氏”や“彼女”なんていう恥ずかしい言葉を口に出来なかった私に。
そんな言葉を口にすることがなかった砂川さんに何の疑問も抱かなかった私に。
砂川さんはそんな言葉を言えるような人ではなかったから。
だから何の疑問も何の心配もしていなかった。
私のことは“女の子”としての“好き”ではないことは分かっていたけれど、砂川さんは“そういう人”だったから。
だから私は大きな勘違いをしてしまっていた。
女の子達から見返りを求められない多くの“純愛”を受け続けていたから、砂川さんの“ソレ”も“純愛”なのだと思ってしまっていた。
だって、砂川さんは私のことを1番に考えてくれていた。
私が幸せになることを1番に考えてくれていた。
私に何の見返りを求めることもなく、私が幸せになることだけを考えてくれていた。
それがちゃんと分かっていたから砂川さんからの“恋”は貰えなくても良いと思っていた。
私達の3年間は身体“だけ”の関係だったのに・・・。
砂川さんにとっては“それだけ”の関係だったのに・・・。
男の人と恋愛をした経験がなかった私は、“それだけ”の関係だった砂川さんと“付き合っている”と、“彼氏”と“彼女”なのだと、そんな大きな勘違いをしてしまっていた。
「すみません!俺そろそろ失礼します!」
田代が財布を取り出しながらそう言ったので腕時計を見ると、もう22時になっていた。
あれから4人で結構盛り上がりお酒も進んでいた。
「ここは俺がご馳走するから。
久しぶりに田代君にも会えて楽しかったよ。」
「じゃあお言葉に甘えて!あざっす!!
純、これホワイトデー!!」
「ありがとう・・・。」
コンビニのビニール袋を渡され袋を覗いてみると・・・
まさかの避妊具の箱が入っていた。
私が“女になれる物”とリクエストをしたのでコレを買ってきてくれたのだと分かる。
分かるけど・・・
「バカ・・・。」
笑いながらその言葉を口に出すと田代が大きく笑った。
「ホワイトデーにお返しが欲しかったとか号泣されて、ソレに辿り着くまでかなり悩んだんだからな!!」
「うん、ありがとう。
バレンタインのお返しを貰えたのは生きてて初めてだからめちゃくちゃ嬉しい。」
少し泣きそうになりながら避妊具の箱が入ったビニール袋を抱き締めた。
この先コレを使う日が来るかなんて分からないけれど、使用期限を迎えてしまう前に使える日が来ることを泣きそうになりながらも願った。
「砂川課長、私もお先に失礼しますね。」
羽鳥さんがブランド物の鞄からブランド物の財布を取り出したのを見て、私も鞄を手に取った。
「羽鳥さん、ここは俺が出しますから。」
「いいんですか・・・?」
「勿論で・・・」
鞄を持ち立ち上がっている私の方を砂川さんが見た。
「す・・・。」
残りの“す”だけを口にし、砂川さんは困ったように笑った。
「羽鳥さん、本当に申し訳ありませんがあと少しだけお時間よろしいですか?
なんだか・・・今日は凄く楽しくて・・・。」
砂川さんが照れた顔で羽鳥さんに笑い掛けながらそんな言葉を言っている。
私が聞いたこともない言葉を羽鳥さんには一生懸命な様子で伝えている。
“変わったな”と思った。
砂川さんはこんなことを言うような人ではなかった。
こんなことを思うような人でもなかった。
“良いな”と思ってしまった。
“羨ましいな”と思ってしまった。
“私にもそんな風に言って欲しかったな”と。
“私にもそんな風に思って欲しかったな”と。
そんなことを思ってしまった。
増田ホールディングスに転籍になる前日、砂川さんはあっさりと私に“元気でね”と伝えた。
“セフレという関係が終わるタイミングが全く分からなかったけど、このタイミングなのかなと思って”
困った顔で笑いながら私にそう言った。
“好き”や“付き合って”や“彼氏”や“彼女”なんていう恥ずかしい言葉を口に出来なかった私に。
そんな言葉を口にすることがなかった砂川さんに何の疑問も抱かなかった私に。
砂川さんはそんな言葉を言えるような人ではなかったから。
だから何の疑問も何の心配もしていなかった。
私のことは“女の子”としての“好き”ではないことは分かっていたけれど、砂川さんは“そういう人”だったから。
だから私は大きな勘違いをしてしまっていた。
女の子達から見返りを求められない多くの“純愛”を受け続けていたから、砂川さんの“ソレ”も“純愛”なのだと思ってしまっていた。
だって、砂川さんは私のことを1番に考えてくれていた。
私が幸せになることを1番に考えてくれていた。
私に何の見返りを求めることもなく、私が幸せになることだけを考えてくれていた。
それがちゃんと分かっていたから砂川さんからの“恋”は貰えなくても良いと思っていた。
私達の3年間は身体“だけ”の関係だったのに・・・。
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