“純”の純愛ではない“愛”の鍵

Bu-cha

文字の大きさ
50 / 166
4

4-2

しおりを挟む
──────────────・・・・・






「どんな異常事態だよ!!!?」



20時過ぎ、会場の最寄り駅の近くにあった、マナリーのお父さんが経営をしているうちの1つであるこの店には初めて来た。
お洒落な大人の雰囲気の店の中で隣に座る田代の嘆きが響く。



「フリータイムになったらお姉さん達が全員純に群がるとか、婚活しに来たんじゃないのかよ!!?」



数分前の光景に田代が物凄く怒り、綺麗なパスタをラーメンのような勢いで食べていく。



「でも、私が他の女の子達を集めたからマナリーに男の人達が集中したね?
マナリーは良い人いなかったんだ?
誰ともカップルが成立しなかったね。」



「・・・私もソっちゃんの番号を書いた。」



ソファー席に1人で座るマナリーが不貞腐れた顔で呟き、白ワインを浴びるように飲んでいく。



「ソっちゃん以上に・・・ソっちゃんと同じくらいだとしても、そんな男の人は簡単にいないよ。」



「また違うのにも出てみる?
今度は私抜きで2人で行ってきたら?」



「俺らがそんな仲間外れみたいなことするわけねーだろ。」



「仲間外れだとは思わないよ。
マナリーが幸せになれるなら私は喜んで抜けるよ。」



「私は今でも幸せだもん。
ソっちゃんの1番の女の子として幸せだもん。」



「本当の幸せではないよね。
私じゃマナリーの想いを受け取ることも出来ない。」



「純の“残念な兄”がな~、残念じゃなければな~。」



「ソっちゃんのお兄ちゃんなら田代の方がまだマシ。」



「全然嬉しくねー言い方するなよ!!」



田代まで白ワインをガブガブと飲んでいて、私は残り少ない赤ワインのボトルを担当する。



「4番のお姉さん、俺結構イケたと思ったんだけどな。
純は12番の奴と結構盛り上がってたじゃん。」



「うん、“緊張してたから同性みたいな感じで話せる子もいて良かった”だって。」



「なんだそいつ、どうせ童貞だろ!!!」



「2人と3年くらい付き合ったことがあるって言ってたから違うんじゃない?」



「・・・マジで!!!?
あんな冴えないオッサンが!!!?
何で俺は童貞なんだよ!!!」



「「バカ、うるさい。」」



マナリーと私の声が重なり、周りのテーブルに笑顔を作りながら会釈をする。



目が合った女の子達がマナリーでも田代でもなく私のことだけを見て目を輝かせているのが分かる。



「ここのパスタめちゃくちゃ旨いな!
あと3皿くらい頼んでいい?
お前らどうせシェアするだろ、シェア、シェア。」



「「覚えたての“シェア”。」」



「姉貴が急に“シェア”とか言い出して急なガンダムかと思って爆笑だった。」



田代がどう見ても酔っ払っている顔でメニューを開いていて、マナリーもフニャフニャな顔で身を乗り出してきた。



「間中、おっぱい。
ペチャパイ見えてるぞ。」



「ペチャパイだから見えるんだよね。
服と胸の間に隙間が出来すぎる。」



「間中も望も姉貴もペチャパイだし、俺の周りの女にはデカパイが存在してない。」



「望って大きいよ、着痩せしてるだけ。」



マナリーが望の胸のことまでバラしていて、これは相当酔っ払っている。



「初耳だけど全然興奮しねー。」



「あと、私も女だからね?
胸は小さいけど。」



「胸!!!!それ、胸!!!?」



「隣からソっちゃんの胸をそんな風に見ないでよ。」



「何だよ、間中見たいの?」



「見たいに決まってるじゃん。」



「女同士だから見られるだろ。」



「見れないよ・・・。」



「「何で?」」



今度は田代と私の疑問の声が合わさった。



そしたら、マナリーがテーブルに突っ伏して・・・



「私の“好き”は本当の“好き”なの・・・!!
女の子として女の子のソっちゃんとエッチがしたい“好き”なの・・・!!」



そう言われ・・・



「それは初耳。」



テーブルに突っ伏したマナリーの頭を見下ろし、笑いながら続ける。



「嘘だよ、ちゃんと分かってる。」



私の言葉にマナリーが号泣をしながら顔を上げた。



「すぐにそういう嘘つく~。」



「これ好きでしょ?」



「うん、好きです~。大好きです~。」



「その“好き”、どうせ純のことが好きの“好き”だろ?
そこまでがセットのやり取りだろ?」



「「そうだよ。」」



「早く付き合えよ。」



田代が文句を言いながらベルを押し、私は自分の皿に残っていたパスタを口にした。



最初からずっと何の味もしないパスタを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...