“純”の純愛ではない“愛”の鍵

Bu-cha

文字の大きさ
137 / 166
9

9-7

しおりを挟む
数時間後



「俺達が稼いできた金を何だと思ってるんだよ。
お前みたいな奴がいると全員の士気が下がることを自覚してるのか?」



“残念な兄”だけど、今日もその通りのことを私に言ってくる。
帰宅をしてリビングに入るでも自分の部屋に入るでもなく、すぐに私の部屋に入ってきて「今日も会社で勉強だけしてたのか?」と聞いてきた。



「私だってそう思ってるよ。」



「そう思ってるなら“仕事します”って自分から言えよ。
勉強なら自分の家で出来るだろ。
・・・何で今日は勉強してないんだよ?」



「明日は病院に行くことになって。」



「泊まりで?人間ドック?
どこか具合悪いのか?」



今日は勉強をすることなく旅行バッグに荷物を詰めている私にお兄ちゃんが心配そうな顔で聞いてきた。



「佐伯さんの病院に付き添うことになって。」



「佐伯さんの・・・?
だからって何でそんなに荷物を持って行くんだよ。」



「泊まりなんだよね。
佐伯さんが通ってる病院は新幹線の距離で。」



「新幹線の距離の病院に何で純愛が付き添うんだよ?」



そう聞かれ、少し悩んでから答えた。



「佐伯さんは私の教育担当だからね。
平日の5日間は会社でも家でも勉強して、6月の試験に合格することが1つ目の目標。
その他に、休日はプライベートの時間も充実させることがもう1つの目標で。
だから私の休日は佐伯さんに管理されてるといっても過言ではない感じ。」



嘘ではないけれど休日の件については盛って説明をした。



「それはそれで結構大変だな、純愛は出不精だし。」



これで今日のお兄ちゃんからの説教を聞かなくて済むかと思い、少し気を抜いた。



なのに・・・



「まだ何か文句があるの?」



私のベッドにスーツのまま腰を掛けたお兄ちゃんに軽く睨み付ける。



そしたら、お兄ちゃんがめちゃくちゃ真剣な顔になり・・・



「俺も行こうかな・・・。」



そんなバカなことを言い始めた。



「何で?」



「純愛の性別は女だからな。
女の子2人で旅行なんて兄として心配。」



「とか言って、絶対に佐伯さん狙いでしょ?」



「それは当たり前だろ。
妹が折角佐伯さんと繋がったんだぞ?」



「バカじゃないの?」



「こういうのはバカくらいが丁度良いんだよ。
正常な判断では“俺も行こうかな”ってならないだろ。」



意味不明な説明に無視をしていると、無視をされているのにお兄ちゃんが続けてきた。



「羽鳥さんは?」



急に出てきた“羽鳥さん”に両手の動きが一瞬だけ止まってしまった。
でもまたすぐに動かし始める。



「羽鳥さんが何?」



「羽鳥さんとは仲良くなった?」



「別に。普通。」



「“普通”に喋る?」



「普通に喋るくらいはする。」



「羽鳥さんとも仲良くなれよ。
それで飯でも食うってなったら俺に連絡して。
そしたら釣書を持って俺も同席する。」



「釣書って何?」



「お見合いの時なんかに必要な書類。」



「そんなの持ってどうするの?
羽鳥さんとお見合いしたいの?」



「昔は分家の女の子を食事に誘う場合は釣書が必要だったらしい。
この前羽鳥さんのことを食事に誘ったらさ~・・・“家”が厳しいから社内の人間と個人的に食事に行くことは出来ないって断られて。
今度は釣書を準備しておくって言ったんだよ。」



「分家の女の子を食事に誘う時に釣書が必要な時代があったんだ。
うちの会社の・・・増田生命の分家の女の子達は普通にみんなと飲みに行ってたけどね。」



「増田ホールディングスにいた分家の女の子達も普通に飲みに参加してたぞ?
でも羽鳥さんだけは飲み会どころか昼飯も絶対に誰の誘いも乗らないって有名で。」



「増田財閥に残った唯一の本物のお嬢様だからね、羽鳥さんは。」



「望ちゃんの“家”のお嬢様だろ~?
今度は望ちゃんの名前出してみようかな・・・。」



「やめてよ、望とはそんなに絡んでないのに名前だけ使わないでよ。」



「“純”とマナリーくらい望ちゃんとも絡んでおくんだった。
そしたら“あの時”、望ちゃんの名前出せたのにな~・・・。」



お兄ちゃんが“あの時”と言って、凄く不機嫌な顔になった。



「俺が羽鳥さんのことを必死に食事に誘ってたら、お前の“元セフレ”のアイツが邪魔してきたんだよ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...