上 下
90 / 193
7

7-7

しおりを挟む
「それでも、カヤに連絡するから・・・。
気が向いた時に返事をくれるだけでいいから・・・。
気が向いた時に会ってくれるだけでいいから・・・。
女の子として好きになってごめん・・・。
最後の最後に変なことを言って本当にごめん・・・。」



忘れて欲しかった・・・。
なかったことにして欲しかった・・・。



だって俺はまだカヤに告白をするつもりなんてなかった。
覚悟を決めたセックスが出来るようになった時に告白をしようと思っていたから。



「1回だけでも遊びに行こう・・・。
学校の外に、遊びに行こう・・・。
友達として・・・俺、友達として楽しませるから・・・。
ちゃんと友達になろう、カヤ・・・。」



何も返事をしてくれないカヤに話し続ける。
ちゃんと楽しませる自信なんて何もないけれど、必死にそう伝えた。



「ごめんね、ニャン・・・。」



カヤが小さな小さな声でそう言って、俺のことを視界に入れることなく歩き出した。



そんなカヤにはもう何も言えず、神社の裏から陽の当たる場所に出たカヤの後ろ姿をボーッと眺めていた。



気を抜いたらこの瞬間にも座り込んでしまいそうなくらい、何も気が入っていない状態で。



そんな状態でいた時、歩いていたカヤが急に振り返ってきた。



太陽の光りを全てカヤが集めているかのように光り輝く中にカヤがいて、俺の方を向いて真っ直ぐと立った。



その目からは涙は消えていて、宝石のように輝く目で俺のことを真っ直ぐと見てきた。



そして・・・



「夏の夜にまた会おう。」



その言葉には、俺は一気に気を引き締めた。



「夏?今年の?何日?」



慌ててスマホを開きカヤを見ると、穏やかな顔で笑いながらも輝き続ける目で俺のことを見詰め・・・



「夏の夜に、またね。」



そう言って・・・



太陽の光りの中に消えていってしまった。



カヤを追いたくても追えないくらいに、何故かこの足が重くて。
まるでこの足に何かが乗っているかのように重くて。



俺はカヤのことを追いかけることが出来なかった。



でも・・・



「夏の夜に、また・・・。」



会えるらしい。
これが最後の最後ではなく、俺はまたカヤに会うことが出来るらしい・・・。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】十年目の溺愛~伯爵令嬢と帝国の軍神

恋愛 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:1,826

過去の鎖

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

僕の愛しい廃棄物

BL / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:12

残業シンデレラに、王子様の溺愛を

恋愛 / 完結 24h.ポイント:994pt お気に入り:330

【完】タバコの煙を吸い込んで

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:17

年上幼馴染の一途な執着愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:449pt お気に入り:733

淫乱お姉さん♂と甘々セックスするだけ

BL / 完結 24h.ポイント:937pt お気に入り:10

【完】幼なじみの小太郎君が、今日も私の眼鏡を外す

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:12

処理中です...