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そう言って、美術室の向こう側を指差した。
俺がカヤから無理矢理のようにデザインさせられたステンドグラス、それがある方を指差しているのだと思う。
「学校説明会の時に見たこの高校にあったステンドグラスに似てる、綺麗な絵だなくらいにしか最初は思ってなかった。
でも・・・」
女子生徒が言葉を切った後に満面の笑みになった。
「この絵を飾ってから凄くて!!!」
「凄いって?」
「うちの工場にビックリするくらい仕事が舞い込んできて!!!」
「俺の絵とは関係なさすぎるだろ。
たまたまタイミングが合っただけだろ?」
「そんなことないもん!!
もう工場は閉めようって話になってたくらいなんだよ!?」
女子生徒が興奮しながらも俺に詰め寄ってきて、あまりにも勢い良く近付いてくるので思わず後ずさった。
「絶対に先生が描いた絵のお陰!!」
「絵にそんな力があるわけねーだろ。」
「そんなことない・・・!!!」
女子生徒が目に涙を溜めるくらいムキになり俺を見上げている。
「今では家族みんなでこの絵の前で挨拶をするのが日課になった。
朝起きたらすぐにでもこの絵を見たくなるの。
この絵を見たら“今日も1日上手くいく”って不思議と思えて、中学の頃は友達関係に悩んでもいたけど今は入ったばっかりなのに友達が沢山出来た。」
「それは良かったな。
良かったけど俺の絵とは関係ねーよ。
この高校の奴らと波長が合っただけだろ?」
俺がそう言った途端・・・
「泣くなよ!!面倒くせーな!!!」
女子生徒が泣き出してしまった。
「これ返すから泣き止め!!」
スマホを女子生徒に差し出すと泣きながらも目を丸くした。
「いいんですか・・・?」
「俺は非常勤講師だしな、そもそもスマホの没収なんて面倒なことしたくねーから。」
俺の言葉にやっと女子生徒が泣き止みスマホを手に取った。
そのスマホを何故かジッと見下ろしていて、最後に声を掛けた俺の言葉を無視し女子生徒は美術室から出ていった。
俺がカヤから無理矢理のようにデザインさせられたステンドグラス、それがある方を指差しているのだと思う。
「学校説明会の時に見たこの高校にあったステンドグラスに似てる、綺麗な絵だなくらいにしか最初は思ってなかった。
でも・・・」
女子生徒が言葉を切った後に満面の笑みになった。
「この絵を飾ってから凄くて!!!」
「凄いって?」
「うちの工場にビックリするくらい仕事が舞い込んできて!!!」
「俺の絵とは関係なさすぎるだろ。
たまたまタイミングが合っただけだろ?」
「そんなことないもん!!
もう工場は閉めようって話になってたくらいなんだよ!?」
女子生徒が興奮しながらも俺に詰め寄ってきて、あまりにも勢い良く近付いてくるので思わず後ずさった。
「絶対に先生が描いた絵のお陰!!」
「絵にそんな力があるわけねーだろ。」
「そんなことない・・・!!!」
女子生徒が目に涙を溜めるくらいムキになり俺を見上げている。
「今では家族みんなでこの絵の前で挨拶をするのが日課になった。
朝起きたらすぐにでもこの絵を見たくなるの。
この絵を見たら“今日も1日上手くいく”って不思議と思えて、中学の頃は友達関係に悩んでもいたけど今は入ったばっかりなのに友達が沢山出来た。」
「それは良かったな。
良かったけど俺の絵とは関係ねーよ。
この高校の奴らと波長が合っただけだろ?」
俺がそう言った途端・・・
「泣くなよ!!面倒くせーな!!!」
女子生徒が泣き出してしまった。
「これ返すから泣き止め!!」
スマホを女子生徒に差し出すと泣きながらも目を丸くした。
「いいんですか・・・?」
「俺は非常勤講師だしな、そもそもスマホの没収なんて面倒なことしたくねーから。」
俺の言葉にやっと女子生徒が泣き止みスマホを手に取った。
そのスマホを何故かジッと見下ろしていて、最後に声を掛けた俺の言葉を無視し女子生徒は美術室から出ていった。
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