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今日の朝、天野さんとそんな話をした・・・。
そんな希望しかないような話をした・・・。



お母さんが小学校1年生の頃に亡くなった剛士君。
病室にも行けずお葬式やお墓のことも知らず、写真1枚もない。



弟が4人いて、腹違いのきょうだいが4人、血の繋がらないお兄さんが1人。
お母さんによく似た血の繋がらない“お母さん”と、養子縁組をしてくれた“お母さん”がいる。



中学生の頃からお兄さんと2人暮らしをして、高校を卒業したら木葉さんと2人で暮らしていた。
女の子である木葉さんが“男の人”の空気を纏って剛士君のことを守った・・・。



三食ちゃんと食べないと死んでしまうと思っている剛士君。



1人で眠れない。
カフェインを嫌いなのは眠れなくなるから・・・。
お酒を飲まないと眠ることも出来ない・・・。



お母さんのことを“あやめちゃん”と呼ぶようお父さんに言われていた・・・。



お父さんに・・・



お父さんに、そう言われていた・・・。

















「お前の父親、あの大会社の社長だったんだってな!!?」







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