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それから、副社長には何度もお願いをされて会った。
会う度に、父親が母親や弟達にしていたことや、“アヤメ”が父親からされていたことを話した。
そして、守ってくれたかぞくの話も。
“俺”がこれから何をしようとしているのかも。
全て話した。
全てを話した。
そして、入社をした。
1月1日付けで、正月休み明けの藤岡ホールディングスに入社をした。
友達でもある明と一緒に、入社をした。
入社初日、早めに着くように言われ明と一緒に副社長室に入ると・・・
副社長が目を真ん丸にして口まで開けて驚いている。
それに大笑いをしながら言ってやった。
「大企業の副社長がする顔じゃねーだろ!!
これだから金持ちのボンボンは詐欺にあうんだよ!!!」
そう言って大笑いしてやったけど、副社長も秘書もしばらく“俺”をマジマジと見て固まっていた。
「髪の毛は・・・切ったのか?」
最初に出てきた疑問がそんなことで笑った。
「切るわけねーだろ。ウィッグだよ。
中学も高校もウィッグだった。
スナックトキの峰子さんのツテで私立に通わせてもらってたから、体育もプールの授業も免除してもらってた。」
「スナックトキの・・・?」
「あの人大企業の社長の嫁さんなんだよ。」
会社名を教えてやると、副社長が頭を抱えた。
「そうか・・・。
だからあの詐欺師はあんな感じで・・・。
だから俺は“小太郎”っていう名前は嫌なんだよ・・・。」
副社長がブツブツとそんなことを言うと、秘書の男が面白そうに笑いながら「社会勉強になりましたね」と言っていた。
それから2人で俺をまた見る。
「詐欺をしてきた詐欺師も別人に見えたけど、君はそれ以上だな。
全くの別人で・・・。」
「当たり前だろ、別人なんだから。
話しただろ?
“アヤメ”の時は姉貴を見本にしてて、“剛士”の時は兄貴を見本にしてる。
喋り方や仕草、動作はその2人を見本にしてるから別人になるだろ。」
「それにしても、雰囲気も・・・顔つきも・・・。」
「それは別人になるだろ、別人なんだから。」
そんな当たり前のことを言ってくるのでそう答えると、副社長も秘書も段々面白そうな顔をしてきた。
「輸血をしてくれ、“剛士”。」
副社長が俺のことを急に“剛士”と呼んできた。
“アヤメ”の時は“君”だったのに、“剛士”と。
それに少し驚いたけど、嫌な気持ちにはならなかった。
中学や高校では“剛士”と呼ばれていたし、明からも“剛士”と呼ばれている。
明の“剛士”だけが好きだったけど、副社長から呼ばれる“剛士”も気分が良くなった。
そんな副社長が明の方を見て優しく笑った。
「木葉さんも、よろしく頼むね。」
その感じが“女の子”を接する時の優しい男の雰囲気で・・・やっぱり良い奴だなと思った。
そんな感じで、俺と明は藤岡ホールディングスに入社をした。
俺は中途採用担当に、明は新卒採用担当になった。
明は凄い嬉しそうで、初めての普通の社会人生活を楽しんでいた。
楽しそうに過ごす明の姿を見るだけでも俺は少しだけ救われた気持ちになった。
「剛士君、前って何してたの?」
入社から数日後、明や他の先輩と食堂で昼飯を食べていたら近くの席に座っていた女から聞かれた。
「夜の仕事だな!」
「え・・・!?ホストとか?」
「そんな感じ。」
「そうなんだ~!!
確かに、今までの社員と雰囲気何となく違うよね~?」
そんなテキトーなことを女達が言って盛り上がっている。
でも・・・もしかしたらテキトーでもないのかとも思う。
この会社にいる奴らは良さそうな奴が多かった。
きっと優秀な奴が多い・・・。
でも・・・それは“上流層”や“中流層”での優秀な奴。
採用の話を聞いたら、中途でも基本的には4年制大卒が多いらしい。
職歴も立派な奴らが多くて、“優秀”なんだと思う。
“みんな”が同じように優秀なんだと思う。
「剛士君って、彼女いるの?」
食堂にいる奴らを見ていたら女から聞かれた。
それに焼き魚定食を食べながら答える。
「いない。いたこともない。」
「え~!?格好良いのに!?」
それを言われ女数人の方を見る。
社会人だし当然なのか、年齢的に当然なのか、全員“女”だった。
だから、言ってやった。
「俺、バージンしか・・・処女しか相手にしねーんだよ。」
“バージン”という言い方はどちらかというと“アヤメ”の言い方で。
“俺”だと“処女”の方がしっくりくる。
それを言ってから女数人に笑いかける。
「だから誰とも付き合えねーよな!!」
誰とも付き合うつもりなんてなかった。
俺はあの男を殺すためだけに今生きているから。
あの男を殺したら、俺は死ぬから。
ヒーローのお兄ちゃんとお姉ちゃんに“もういいよ”と言って、“剛士”を見付けてもらって・・・
“剛士”と2人から呼んでもらって・・・
そしたら、俺は死ぬ。
俺は死にたい。
こんなに気持ち悪い身体なんて、こんなに汚い身体なんて、もう見ていられなかった・・・。
会う度に、父親が母親や弟達にしていたことや、“アヤメ”が父親からされていたことを話した。
そして、守ってくれたかぞくの話も。
“俺”がこれから何をしようとしているのかも。
全て話した。
全てを話した。
そして、入社をした。
1月1日付けで、正月休み明けの藤岡ホールディングスに入社をした。
友達でもある明と一緒に、入社をした。
入社初日、早めに着くように言われ明と一緒に副社長室に入ると・・・
副社長が目を真ん丸にして口まで開けて驚いている。
それに大笑いをしながら言ってやった。
「大企業の副社長がする顔じゃねーだろ!!
これだから金持ちのボンボンは詐欺にあうんだよ!!!」
そう言って大笑いしてやったけど、副社長も秘書もしばらく“俺”をマジマジと見て固まっていた。
「髪の毛は・・・切ったのか?」
最初に出てきた疑問がそんなことで笑った。
「切るわけねーだろ。ウィッグだよ。
中学も高校もウィッグだった。
スナックトキの峰子さんのツテで私立に通わせてもらってたから、体育もプールの授業も免除してもらってた。」
「スナックトキの・・・?」
「あの人大企業の社長の嫁さんなんだよ。」
会社名を教えてやると、副社長が頭を抱えた。
「そうか・・・。
だからあの詐欺師はあんな感じで・・・。
だから俺は“小太郎”っていう名前は嫌なんだよ・・・。」
副社長がブツブツとそんなことを言うと、秘書の男が面白そうに笑いながら「社会勉強になりましたね」と言っていた。
それから2人で俺をまた見る。
「詐欺をしてきた詐欺師も別人に見えたけど、君はそれ以上だな。
全くの別人で・・・。」
「当たり前だろ、別人なんだから。
話しただろ?
“アヤメ”の時は姉貴を見本にしてて、“剛士”の時は兄貴を見本にしてる。
喋り方や仕草、動作はその2人を見本にしてるから別人になるだろ。」
「それにしても、雰囲気も・・・顔つきも・・・。」
「それは別人になるだろ、別人なんだから。」
そんな当たり前のことを言ってくるのでそう答えると、副社長も秘書も段々面白そうな顔をしてきた。
「輸血をしてくれ、“剛士”。」
副社長が俺のことを急に“剛士”と呼んできた。
“アヤメ”の時は“君”だったのに、“剛士”と。
それに少し驚いたけど、嫌な気持ちにはならなかった。
中学や高校では“剛士”と呼ばれていたし、明からも“剛士”と呼ばれている。
明の“剛士”だけが好きだったけど、副社長から呼ばれる“剛士”も気分が良くなった。
そんな副社長が明の方を見て優しく笑った。
「木葉さんも、よろしく頼むね。」
その感じが“女の子”を接する時の優しい男の雰囲気で・・・やっぱり良い奴だなと思った。
そんな感じで、俺と明は藤岡ホールディングスに入社をした。
俺は中途採用担当に、明は新卒採用担当になった。
明は凄い嬉しそうで、初めての普通の社会人生活を楽しんでいた。
楽しそうに過ごす明の姿を見るだけでも俺は少しだけ救われた気持ちになった。
「剛士君、前って何してたの?」
入社から数日後、明や他の先輩と食堂で昼飯を食べていたら近くの席に座っていた女から聞かれた。
「夜の仕事だな!」
「え・・・!?ホストとか?」
「そんな感じ。」
「そうなんだ~!!
確かに、今までの社員と雰囲気何となく違うよね~?」
そんなテキトーなことを女達が言って盛り上がっている。
でも・・・もしかしたらテキトーでもないのかとも思う。
この会社にいる奴らは良さそうな奴が多かった。
きっと優秀な奴が多い・・・。
でも・・・それは“上流層”や“中流層”での優秀な奴。
採用の話を聞いたら、中途でも基本的には4年制大卒が多いらしい。
職歴も立派な奴らが多くて、“優秀”なんだと思う。
“みんな”が同じように優秀なんだと思う。
「剛士君って、彼女いるの?」
食堂にいる奴らを見ていたら女から聞かれた。
それに焼き魚定食を食べながら答える。
「いない。いたこともない。」
「え~!?格好良いのに!?」
それを言われ女数人の方を見る。
社会人だし当然なのか、年齢的に当然なのか、全員“女”だった。
だから、言ってやった。
「俺、バージンしか・・・処女しか相手にしねーんだよ。」
“バージン”という言い方はどちらかというと“アヤメ”の言い方で。
“俺”だと“処女”の方がしっくりくる。
それを言ってから女数人に笑いかける。
「だから誰とも付き合えねーよな!!」
誰とも付き合うつもりなんてなかった。
俺はあの男を殺すためだけに今生きているから。
あの男を殺したら、俺は死ぬから。
ヒーローのお兄ちゃんとお姉ちゃんに“もういいよ”と言って、“剛士”を見付けてもらって・・・
“剛士”と2人から呼んでもらって・・・
そしたら、俺は死ぬ。
俺は死にたい。
こんなに気持ち悪い身体なんて、こんなに汚い身体なんて、もう見ていられなかった・・・。
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