上 下
68 / 233
8

8-6

しおりを挟む
そして、12月・・・
年末調整やその他の大変な処理もギリギリで終わり、経理部のメンバーはゲッソリとしながら会社の忘年会に出席。



「のんちゃん、お酒もっと飲みなよ?」



わたしにさっきからお酒を何度もすすめてくるのは、中途採用で入社した飯田さん。
そして、わたしをジロジロと嫌な目で見てくる。




この顔とこの身体で何年も過ごしているから分かっているし、社会人になってからは痛いほど実感してる・・・




この手のタイプの人に、狙われてしまう。




「わたし、お酒全然飲めないんです!」



「知ってるよ、でも忘年会だし。
少しでも飲んだ方がいいよ。」



そんな面倒なことを言ってくる。
チラリと見ると、顔見知りの営業事務の女の人達が数人で集まっているのが見える。



「あ!営業事務のみなさんにご挨拶してきますね?」



「そんなのいいよ、あんな不潔な女達なんて・・・」




そんな理由で行くのを阻止されそうになったけど、無理矢理抜け出す。





「みなさん、今年は本当にお世話になりました~!
みなさんが凄い良くしてくださって、本当に本当に助かりました!!」




そう言って笑いながら、営業事務の女の人達の元へ。




「のんちゃ~ん!おいでー!!」


「おねーさんがギューッてしてあげる!!」


「ちょっと可哀想、こっちおいでのんちゃん!」


「のんちゃんはウチの子だから~!!」



そう言って、女の人達に囲んでもらいホッとした。



「のんちゃん、ここにいたんだ?
管理部門の人には毎年賞がないんだけど、僕としてはのんちゃんに今年1年頑張った賞をあげたいところだよ。」


「分かります、のんちゃん頑張ってて偉かったですよね?」



年配の部長さんや女の人まで数人来てくれ、わたしを褒めてくれる。



その時、わたしを抱き締めたまま離さなかった女の人が・・・




「あ、健吾君・・・」




と、呟いた。




「本当だ、またあの子あんなに健吾君にベッタリして。」



「うちらの集まりにも全然来ないしね。」



そう、女の人達が不穏な空気になる。



視線の先を辿ってみると・・・



さっき営業部のMVPで壇上にいた男の人。
とにかく、凄い大きな人と・・・



その大きな人の隣に、わたしには結構良くしてくれる営業事務の女の人が。




その女の人がわたしに気付き、大きな男の人を連れてこっちに近付いてくる・・・。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,657pt お気に入り:3,452

魔拳のデイドリーマー

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,072pt お気に入り:8,522

私のバラ色ではない人生

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:104,834pt お気に入り:5,052

どうかこの偽りがいつまでも続きますように…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:646pt お気に入り:3,556

奪われた私の居場所〜その毒にいつのまにか侵される〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:3,515

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,121pt お気に入り:6,287

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:31,666pt お気に入り:35,206

愛する貴方の心から消えた私は…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,128pt お気に入り:6,751

処理中です...