【完】犬、おあずけを食う

Bu-cha

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俺の父さんと母さんは、昔からお互いの本音を隠しまくっているような2人だった。
でも、本音を言えないもどかしさやイライラ、そして苦しみや切なさ、その全てを力に変えていくようにも見えていた。



だからといって俺に理解出来るわけもなく。
常に“早く本音を言い合えばいいのに、何でそんなに面倒なことをしているんだ”と純粋に思っていた。



「正志のお父さんとお母さん、また喧嘩してるの?」



家の1階で父さんが営んでいるながみね酒店。
その前で秋の満月をしばらく見上げた後、スウェット姿のまま隣にある宝多米店の真琴の部屋に入ったらすぐに聞かれた。



同じ年の真琴とは小学校4年生の頃から付き合っている。
俺から普通に告白をして、普通に付き合い続けて中学3年になった。



「父さんは母さんのことが好きだって真琴から聞いてなかったら、何で離婚しないのか謎な親だったと思うくらいに大喧嘩してるぞ、今。」



「2人とも相当口悪くなるからね。
正志のお母さんも昔からお父さんのことが好きだと思うってうちのお母さんは言ってるから両想いだろうに、あの2人何してるんだろうね、マジで。」



「ある種の変態プレイだよな、あそこまで来ると。」



物事がついた頃から父さんと母さんはよく大喧嘩をしていた。
それをこの商店街の大人達はニコニコと笑顔で見ていて、その反応に恐怖を抱いていた。



そんな時、幼稚園で真琴からサラッと言われた。



“私、正志のことが好きだから、隠し事とかしたくないから言うね!
正志のお父さんって、正志のお母さんより前に結婚してた女の人がいるんだって!
昨日うちのお父さんが酔っ払った時に言ってた!”



そんな言葉を真琴から聞いた時はもっと恐怖を抱いた。
だから父さんも母さんも喧嘩ばかりなのかと、やっと分かったから。
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