【完】犬、おあずけを食う

Bu-cha

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恐怖を抱きながらも俺は平静を装った。
俺は父さんのことが小さな頃から大好きで、ずっと尊敬をしていたから。
だから父さんのように何が起きても平静を装える男でいたいと、昔から思っていたのだと思う。



必死に平静を装っていた俺に、真琴は必死な顔をして喋り続けてきた。



“でもね!正志のお父さんって昔からお母さんのことが大好きだったんだって!!
犬猿の仲っていうので大喧嘩ばっかりしてたのに、お父さんはお母さんのことが大好きだったんだって!!
だから、うちのお父さんが昨日泣きながら、「あの2人が結婚出来てよかった」って言ってた!!”



そう俺に言ってきた真琴。
俺の父さんから口止めをされていたことを思い出した真琴の父さんは、慌てて真琴に口止めをしてきたらしい。
俺の父さんが母さんのことを好きだということも、母さんより前に結婚していた女の人がいたということも。



“でも、私は正志のことが好きだし、お父さんとお母さんが大喧嘩してる時の正志は悲しそうな顔をしてるから!!
だから、言った!!
私は隠し事なんて正志にしたくないから!!”



そんなことを、いつも冷めた感じの真琴が必死な顔をして言ってきた。
胸の前で握り締めた両手を少し震わせながら。



平静を装っていたのに、俺が悲しそうな顔をしていると分かっていた真琴。



そんな真琴は、もしかしたらよくこんな顔をしていたかもしれないとその時に気付いた。
いつも冷めた感じの顔に見えていたけど、でもよく思い返すとこんな顔をよくしていたように思う。



その顔はこんな風に必死な顔をしていたかもしれない。
真琴も平静を装えるような感じなのかもしれないけれど、気付いてしまったらこの顔は必死な顔をしている。



真琴が真剣に、俺にこのことを伝えようとしてくれていると感じる。
真琴が伝えてくれたその真実と、真琴のこの可愛い表情に俺は思わず笑った・・・。



「え、なに?いきなり。」



そんな昔のことを思い出しながら、ベッドの上に座り酒の勉強をしている真琴を抱き締めた。
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