【完】女神達が愛した弟(カットページ掲載済2023.6.17)

Bu-cha

文字の大きさ
178 / 184
☆5

5-6

しおりを挟む
また弟さんに会えた嬉しさ、調査員と分かった時の悲しさ、それらを思い出して複雑な気持ちが蘇ってくる。



喫茶店にいた時の弟さんは、キラッキラな本物の顔をしていた。
それくらい、わたしを“愛している”顔をしていた。



そんな顔の弟さんと2人で、色々な話をした。
お客さんが少ない時は、わたしは弟さんと沢山話してしまっていた。



弟さんの隣に座ることも向かいに座ることもなかったけれど、店員としてだったけれど、わたしは弟さんと楽しくお喋りしてしまっていて・・・。



調査員じゃなければいいなと毎回願っていた。
緊張した様子で“俺と星見に行かない?”と聞かれる度、他の男の人達とは違うように感じてしまって。



もし、もし、調査員だとしても、その言葉だけは“本物”であって欲しいと願ってしまっていた。



でも・・・



「再会した弟さんは、涼しい顔で。
驚いた顔はしていたけど、何でもない顔で。
わたしへの気持ちは何もなかった顔をしていて。
弟さんは調査員だったし、何の気持ちもなかった演技だったんだって思っていました。
“偽物”の10年間だったと思っていました。」



わたしがそう言うと、弟さんは困った顔で笑った。



「星神、演技力あったのか。
俺が調査員だってことを分かってる素振りが全然なかったから気付かなかった。」



「あ、それは気付きませんでした!!
父からは誰が調査員かは知らされていなくて。」



「でも、“星見に行かない?”って誘われまくっただろ?」



弟さんに聞かれたのでそれには頷く。



「もしかして、“星見に行かない?”の人が調査員だったんですか?」



「・・・そうだな。」



「でも・・・“飲みに行かない?”とか“連絡先教えて?”とか“何時に終わるの?”とかの人たちも多かったので・・・。」



わたしがそう言うと弟さんがまた少し怖い顔をした。



そして・・・



「そういえば、“隠れ家”で働いてる時に誘いに乗ったことが1回あるんだよな?
そいつとはどうなってるんだよ?
付き合ってはないけどたまに会ってるとか言ってたよな?」



と・・・。



手土産で持ってきたお酒はまだ飲んでいないのに、弟さんがそんなことを聞いてきた。



「あの・・・聞いてませんか?」



「何を?」



「男さんから・・・。」



「“社長”から?何だよ・・・?」



それには驚き男さんを見ると、男さんは苦笑いをしていて・・・



「言ってないよ。
今年31になる“弟”の恋愛を手助けするようなことをしたとは流石に言えなくて。」



「そうでしたか・・・。
お二人は情報共有を大切にされているので、てっきりお話されているかと・・・。」



言葉を切ってから弟さんを見た。



「わたしが誘いに乗ったのは、男さんからの誘いです。
“小さな事務所だからアシスタントも出来るような事務員を探してるんだけど、どうかな?”と言われて。
弟さんとよく似た人にそう言われてしまって、その場で父に男さんの会社で働きたいと言って・・・男さんからの誘いに乗りました。」




.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...