64 / 202
5
5-1
しおりを挟む
朝人side........
「うん、旨い。」
小学校1年生になって数日、久しぶりに会ったお母さんが作ってくれたミートソースのスパゲッティを一口食べた後にそう言った。
味は濃すぎたけど“旨い”とも思った。
俺への愛情が沢山込められている旨い料理だと思えたからかもしれない。
お母さんは嬉しそうな顔で、でも申し訳ないような顔で俺に優しく笑い掛けてきた。
それからジサマとバサマの方を向いた。
「お父さん、お母さん、後で相談があって。」
お母さんが慎重に言葉を出すと、ジサマが普通に声を出した。
「行ってこい。
お前は本当の意味で神様だからな。
救える小さな命の為にその両手を使ってこい。
旦那と2人で行ってこい。」
医者であるお母さんにジサマがそう言うと、お母さんは驚いた顔をした後に小さく頷き「はい。」と返事をしていた。
それからゆっくりと俺の方を見てきた。
「朝、お父さんとお母さん、海外で仕事をすることになる。
朝もお父さんとお母さんと一緒に来る?
学校も変わるし言葉も・・・それに今以上に構ってあげられなくなるとは思う。
本当に申し訳ないけど・・・ごめんね・・・。」
そう言われ俺は言葉を出そうと口を開こうとした。
でも、言葉は何も出てこなかった。
答えは1つしかないのにその答えを俺は言えなかった。
スパゲッティを口に入れたまま噛むことも飲み込むことも出来ないでいると、バサマが俺の頭を優しく優しく撫でてきた。
「朝人、ジサマとバサマのお家に残りな?
ジサマとバサマの残りの全ての人生と愛情を朝人の為だけに使うから、朝人はここに残りな?」
バサマがそう言ってくれた後に周りを見渡した。
「バサマの実家のボロボロの家で可哀想だけどね!」
生まれた頃から俺はジサマとバサマとほぼ3人で暮らしていた。
ジサマの実家は神社の近くにある大きな平屋。
お母さんの妹の旦那さんがその神社の神主になったのと同時にジサマとバサマはバサマの実家に住むことにしたらしい。
生まれた時からこの家に住んでいるからここがボロボロだとはそんなに思わない。
「俺はジサマとバサマがいるこの家に残るよ。」
俺のことを“朝”と呼ぶお母さんに笑いながら言った。
俺を生んでくれたお父さんとお母さんはいるけれど、この2人は俺にとってのお父さんとお母さんではないと思っている。
俺のお父さんとお母さんになってしまったら病気で苦しむ子ども達の命を救えないこともある。
病院の息子として生まれたお父さんは勿論だけど、お父さん以上にお母さんが凄い人だということは知っている。
ジサマの娘であるお母さんは“神様”だった。
俺のお母さんではなく、病気で苦しむ子ども達にとっての“神様”だった。
五体満足に生んでくれたお父さんとお母さんに感謝をしながらも、俺はジサマとバサマの方を見た。
本当は“一緒に行く”と答えた方が子どもとしては正しかったのかもしれない、そう思いながら。
「子どもにとって何が正解かの判断は難しいから朝人は気にすんな。
悪いことは全部ジサマとバサマのせいにすればいいから。」
ジサマがそんなことを言って大きく笑い、俺の頭を両手でワシャワシャと撫でてきた。
「よ~し!明日も朝1番に会いに行くぞ!!」
「行く!!
朝1番には福と富と寿がいるからな!!
今日も早く寝て明日も朝1番に会いに行く!!」
ジサマと盛り上がる俺をお母さんは悲しそうに見ていたのは知っていた。
「うん、旨い。」
小学校1年生になって数日、久しぶりに会ったお母さんが作ってくれたミートソースのスパゲッティを一口食べた後にそう言った。
味は濃すぎたけど“旨い”とも思った。
俺への愛情が沢山込められている旨い料理だと思えたからかもしれない。
お母さんは嬉しそうな顔で、でも申し訳ないような顔で俺に優しく笑い掛けてきた。
それからジサマとバサマの方を向いた。
「お父さん、お母さん、後で相談があって。」
お母さんが慎重に言葉を出すと、ジサマが普通に声を出した。
「行ってこい。
お前は本当の意味で神様だからな。
救える小さな命の為にその両手を使ってこい。
旦那と2人で行ってこい。」
医者であるお母さんにジサマがそう言うと、お母さんは驚いた顔をした後に小さく頷き「はい。」と返事をしていた。
それからゆっくりと俺の方を見てきた。
「朝、お父さんとお母さん、海外で仕事をすることになる。
朝もお父さんとお母さんと一緒に来る?
学校も変わるし言葉も・・・それに今以上に構ってあげられなくなるとは思う。
本当に申し訳ないけど・・・ごめんね・・・。」
そう言われ俺は言葉を出そうと口を開こうとした。
でも、言葉は何も出てこなかった。
答えは1つしかないのにその答えを俺は言えなかった。
スパゲッティを口に入れたまま噛むことも飲み込むことも出来ないでいると、バサマが俺の頭を優しく優しく撫でてきた。
「朝人、ジサマとバサマのお家に残りな?
ジサマとバサマの残りの全ての人生と愛情を朝人の為だけに使うから、朝人はここに残りな?」
バサマがそう言ってくれた後に周りを見渡した。
「バサマの実家のボロボロの家で可哀想だけどね!」
生まれた頃から俺はジサマとバサマとほぼ3人で暮らしていた。
ジサマの実家は神社の近くにある大きな平屋。
お母さんの妹の旦那さんがその神社の神主になったのと同時にジサマとバサマはバサマの実家に住むことにしたらしい。
生まれた時からこの家に住んでいるからここがボロボロだとはそんなに思わない。
「俺はジサマとバサマがいるこの家に残るよ。」
俺のことを“朝”と呼ぶお母さんに笑いながら言った。
俺を生んでくれたお父さんとお母さんはいるけれど、この2人は俺にとってのお父さんとお母さんではないと思っている。
俺のお父さんとお母さんになってしまったら病気で苦しむ子ども達の命を救えないこともある。
病院の息子として生まれたお父さんは勿論だけど、お父さん以上にお母さんが凄い人だということは知っている。
ジサマの娘であるお母さんは“神様”だった。
俺のお母さんではなく、病気で苦しむ子ども達にとっての“神様”だった。
五体満足に生んでくれたお父さんとお母さんに感謝をしながらも、俺はジサマとバサマの方を見た。
本当は“一緒に行く”と答えた方が子どもとしては正しかったのかもしれない、そう思いながら。
「子どもにとって何が正解かの判断は難しいから朝人は気にすんな。
悪いことは全部ジサマとバサマのせいにすればいいから。」
ジサマがそんなことを言って大きく笑い、俺の頭を両手でワシャワシャと撫でてきた。
「よ~し!明日も朝1番に会いに行くぞ!!」
「行く!!
朝1番には福と富と寿がいるからな!!
今日も早く寝て明日も朝1番に会いに行く!!」
ジサマと盛り上がる俺をお母さんは悲しそうに見ていたのは知っていた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる