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古いアパートの階段を降りると世界は少しだけ明るかった。
その少しだけ明るい世界の中、やけに明るい笑い声が聞こえてきた。
まだまだ誰もいないはずの世界でどこからか明るい笑い声・・・女の子の笑い声が聞こえてくる。
回らない頭のままフラフラとその笑い声に向かって自然と足が動いていった。
まるで自分の足ではないように足が勝手に動いていき、そして止まった。
俺が引っ越したアパートよりもずっと古い建物。
木造で今時珍しい引戸の扉。
その引戸の隙間からは明るい光りが見えていて、その中から明るい女の子の笑い声が聞こえてくる。
朝5時にこんなに元気で明るく笑う女の子がいるのかと思いながら、誰かと会話をしているような声を聞いていると引戸がガタガタと開いた。
中から出てきたのは作業着を着た男性だった。
その男性は俺が引戸の前に立っていたからかビクッとしていて、でも引戸を閉めながらすぐに明るい笑顔になった。
「初めて見る奴だな!ここ旨いよ!!」
男性がそう言うので俺はこの建物をよく見てみた。
そしたらここが飲食店だったのに何故か今さら気付いた。
引っ越して数日は経っているしアパートの斜め向かい側の建物、それなのに何故かここに飲食店があることに今やっと気付いた。
「朝4時から開いてくれてるんだよ!!
だから現場に行く前の朝飯にありがたい存在!!」
「朝4時・・・。」
驚きながら繰り返すと、オジサンが自慢したような顔で上に視線を移した。
その視線を追うと書いてあった・・・。
ほとんど消えているような文字だったけれど書いてあった・・・。
引戸の上に古い木の板、そこに赤い文字で“朝1番”・・・
そう書いてあった。
「朝1番・・・。」
「俺が知る中で1番お嫁に来て貰いたい子がいる店!!
息子は1回告白して振られてから避けられてるらしいけどな!!」
男性が大きく笑いながら俺に片手を上げて歩き出していった。
歳の割に元気そうな男性の後ろ姿を少しだけ眺めた後、俺は“朝1番”という名前の店の引戸を開けた。
やけにこの手にしっくりときて軽すぎるくらい軽く開けられた引戸だった。
「いらっしゃいませ!!」
そしたら、いた。
朝5時とは思えないくらい元気で明るい声を出し、小学生の時の美鼓にソックリな顔をしている高校生になったという女の子。
素晴らしく良いガキで、信じられないくらい濃い飯を作る。
味付け自体もめちゃくちゃ濃くて、そして料理に込めた気持ちも死ぬほど濃かったはずで。
めちゃくちゃ濃い味付けが不快にならないどころか、その気持ちが込められた料理には目が覚まされた。
数日間眠っていなかったはずなのに、この目がめちゃくちゃ覚めた。
大人顔負けなほどに気持ちも頭も強い、9歳も年下の女の子に目を覚まされた。
今の結構良い彼女の存在も忘れ、“バサマもこんな感じだったのかな”とカウンター越しに立つその女の子しか見えなくなるほどに。
ジサマよりもバサマよりもずっと若く、カヤよりもずっと元気な女の子だったからかもしれない。
“朝1番に福と富と寿がいる。”
“それ私じゃん!!”
その言葉はすんなりと入ってきた。
“明日”からこの場所が俺の“朝1番”で、そして福と富と寿に会える場所なのだと。
パワーがついた。
しんどすぎる熱も一瞬で吹き飛ぶくらいにパワーがついた。
そんな飯を作れる9歳も年下の女の子、福富千寿子という名前の女の子が“明日”も“朝1番”にいた。
その少しだけ明るい世界の中、やけに明るい笑い声が聞こえてきた。
まだまだ誰もいないはずの世界でどこからか明るい笑い声・・・女の子の笑い声が聞こえてくる。
回らない頭のままフラフラとその笑い声に向かって自然と足が動いていった。
まるで自分の足ではないように足が勝手に動いていき、そして止まった。
俺が引っ越したアパートよりもずっと古い建物。
木造で今時珍しい引戸の扉。
その引戸の隙間からは明るい光りが見えていて、その中から明るい女の子の笑い声が聞こえてくる。
朝5時にこんなに元気で明るく笑う女の子がいるのかと思いながら、誰かと会話をしているような声を聞いていると引戸がガタガタと開いた。
中から出てきたのは作業着を着た男性だった。
その男性は俺が引戸の前に立っていたからかビクッとしていて、でも引戸を閉めながらすぐに明るい笑顔になった。
「初めて見る奴だな!ここ旨いよ!!」
男性がそう言うので俺はこの建物をよく見てみた。
そしたらここが飲食店だったのに何故か今さら気付いた。
引っ越して数日は経っているしアパートの斜め向かい側の建物、それなのに何故かここに飲食店があることに今やっと気付いた。
「朝4時から開いてくれてるんだよ!!
だから現場に行く前の朝飯にありがたい存在!!」
「朝4時・・・。」
驚きながら繰り返すと、オジサンが自慢したような顔で上に視線を移した。
その視線を追うと書いてあった・・・。
ほとんど消えているような文字だったけれど書いてあった・・・。
引戸の上に古い木の板、そこに赤い文字で“朝1番”・・・
そう書いてあった。
「朝1番・・・。」
「俺が知る中で1番お嫁に来て貰いたい子がいる店!!
息子は1回告白して振られてから避けられてるらしいけどな!!」
男性が大きく笑いながら俺に片手を上げて歩き出していった。
歳の割に元気そうな男性の後ろ姿を少しだけ眺めた後、俺は“朝1番”という名前の店の引戸を開けた。
やけにこの手にしっくりときて軽すぎるくらい軽く開けられた引戸だった。
「いらっしゃいませ!!」
そしたら、いた。
朝5時とは思えないくらい元気で明るい声を出し、小学生の時の美鼓にソックリな顔をしている高校生になったという女の子。
素晴らしく良いガキで、信じられないくらい濃い飯を作る。
味付け自体もめちゃくちゃ濃くて、そして料理に込めた気持ちも死ぬほど濃かったはずで。
めちゃくちゃ濃い味付けが不快にならないどころか、その気持ちが込められた料理には目が覚まされた。
数日間眠っていなかったはずなのに、この目がめちゃくちゃ覚めた。
大人顔負けなほどに気持ちも頭も強い、9歳も年下の女の子に目を覚まされた。
今の結構良い彼女の存在も忘れ、“バサマもこんな感じだったのかな”とカウンター越しに立つその女の子しか見えなくなるほどに。
ジサマよりもバサマよりもずっと若く、カヤよりもずっと元気な女の子だったからかもしれない。
“朝1番に福と富と寿がいる。”
“それ私じゃん!!”
その言葉はすんなりと入ってきた。
“明日”からこの場所が俺の“朝1番”で、そして福と富と寿に会える場所なのだと。
パワーがついた。
しんどすぎる熱も一瞬で吹き飛ぶくらいにパワーがついた。
そんな飯を作れる9歳も年下の女の子、福富千寿子という名前の女の子が“明日”も“朝1番”にいた。
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