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翌朝
「これ、俺の連絡先。
何かあったら連絡していいからな。」
“朝1番”で千寿子の飯を食べながらメモに書いた連絡先を渡すと、千寿子が寂しそうな顔をした。
「オジサン達も退職してる人が増えてるし、朝人まで北海道か。」
「寂しい?」
「それは寂しいでしょ。」
寂しそうな顔で“寂しい”と素直に答えられる可愛い“ガキ”である千寿子。
カウンターの向こう側に立つ千寿子に、わざわざ立ち上がってまで頭をワシャワシャと撫でた。
それを千寿子は鬱陶しそうにしながらも楽しそうに笑っていて、俺が渡したメモ用紙を大切そうに胸に抱いている。
そんな千寿子の姿を見下ろしながら言った。
「向こうに集中したいからこっちには独立する時に戻ってくる。
そしたら俺は必ずここに、“朝1番”に帰ってくる。
千寿子の飯を食いに帰ってくるから。」
「うん、待ってるね。」
カウンター越しに立ち千寿子が俺に“待ってる”と言った。
それが無性に嬉しいと思った。
そんな自分には小さく笑いながら椅子にまた座ると、その椅子からは小さな軋む音が聞こえた。
その音も愛おしいと思うくらいに俺はこの“朝1番”が好きで。
このカウンター越しに千寿子が俺に作ってくれる飯が好きで。
良い朝の時間を過ごせていた。
しみじみとそう思いながら千寿子がいれてくれたお茶を口に含んだ。
「じゃあ、餞別におっぱい見せてあげるね。」
“はあ?”と思い咄嗟に千寿子の方を見ると・・・
いつの間にかエプロンを外しシャツをまくって胸を本当に出していた。
それを見て思いっきりお茶を吹き出した。
俺が吹き出したお茶はカウンターを飛び越え千寿子の身体にも顔にまで飛んでいった。
それにも慌てたけれど、千寿子は俺が吹き出したお茶を拭くこともなく大笑いをしている。
「やっぱり絶対彼女いないでしょ!!
女子高生の胸にそんなに動揺して吹き出してむせて!!!」
千寿子は高校3年になった頃から俺にこんなことをしてからかってくるようになっていた。
「少し触らせてあげよっか?
そんなオジサンになって胸も触ったことないまま北海道に行くなんて可哀想だし。」
「お前、俺以外の男に絶対そんな誘惑すんなよ!?」
「また出た、独占欲!」
「ちげーよ!!普通にあぶねーだろ!!
あとお父さんとお母さんに絶対言うなよ!?」
「流石に言ってないよ!!
会長にはたまに言ってるけど!!」
「出た、格好良い生徒会長!!
お前が副会長だったとか信じらんねーよ!!
それにそんなに好きなら告ってみればいいだろ!!」
「会長がいるから生徒会は大丈夫だったの!
・・・告白ね~、向こうは完全に心を開いてくれてないからな~。」
千寿子が自分の身体よりも先に俺の口回りやスウェットをカウンターの向こう側から手を伸ばして拭いてくれる。
そのまま拭いてもらいながらも口だけは動かす。
「俺の従妹なんて目立つのも嫌いで生徒会長なんてキャラじゃねーのに、副会長のお陰でやれてるって言ってたぞ?
お前もそういう副会長を目指せばよかったのに。
気持ちも頭も強いん・・・」
“強いんだから”と言おうとして途中で言葉を切った。
「早く胸仕舞えよ!!
ガキの胸を見てどうこうなるほど俺もガキじゃねーからな!?」
まだシャツがめくれたままカウンターを拭いていて、千寿子のある程度膨らんでいる胸を指差した後に向こうにあるポスターを指差した。
「ガキだったとしてもあそこまで胸があったら少しは欲情するかもしんねーけどな!!」
俺がそう言うと千寿子が怒った顔をしながら和泉かおりのポスターを見た。
「うちのお母さんって胸大きいから私も多分胸は大きくなるもん。
身長とかお尻は無理だろうけど。」
「今高3だろ?ギリギリ無理なんじゃね?」
「無理じゃない!!
朝人がこっちに戻ってきた時はビックリさせてやるんだから!!」
「それは楽しみだな!!」
その頃には千寿子は何歳になって俺は何歳になっているのか。
そんな楽しい計算をしながら、今日もカウンターに500円玉を置いた。
「明日のご馳走さまの分。」
「うん、明日の毎度ありがとうございますの分を貰いました。」
千寿子が俺が置いた500円玉を大切そうに握り締める。
そして、気が付いたように慌てて顔を上げた。
「ごめんなさい、洋服汚しちゃって・・・!!」
「ああ、別に良い、スウェットだし。」
自分が吹き出したお茶で濡れたスウェットを見下ろしながら答え、思い出した。
「スーツにファンデーションをつけてきた彼女にはイライラしたことあるけどな。」
「スーツじゃなくて良かったです~!
・・・って、妄想の彼女の話はもういいって!!」
「だから妄想じゃねーよ!!
今の彼女からも聞かれたから答えたことあるくらいだし!!
しっかり手入れをしてるスーツを汚されるのが1番嫌かもって!!」
それを言って、また思い出した。
「今日は彼女と話してくるか・・・。」
“朝1番”の引戸の前に立ち、今日も言う。
「よし、行ってくる。」
カヤの為にも頑張ってくるかという気持ちで千寿子に言った。
「うん、行って。」
“行ってらっしゃい”とは言わない千寿子に今日も笑いながら、俺は引戸を開けた。
太陽の光りで今日も千寿子の顔が輝く。
“バサマの若い頃はこんな感じだったのかな”
そう思わせるような千寿子の顔が。
中身が全然違うからか美鼓には全然似ていないように感じる千寿子の顔。
気持ちも頭も強いのが不思議とよく分かる顔をしている。
“千寿子があと10年早く生まれてたら・・・”
熱が出た日に千寿子の飯を食べ、それから何度も浮かんでくる言葉を今日も思い浮かべながら、俺はすっかり住み慣れたアパートへと歩いていく。
しっかりとした足取りで。
今日も千寿子からパワーを貰えたから。
そして・・・
「やべ、ちょっと反応した・・・。」
まだ27歳、ガキの胸だろうが流石に胸を見せられたら少しは反応していた。
「これ、俺の連絡先。
何かあったら連絡していいからな。」
“朝1番”で千寿子の飯を食べながらメモに書いた連絡先を渡すと、千寿子が寂しそうな顔をした。
「オジサン達も退職してる人が増えてるし、朝人まで北海道か。」
「寂しい?」
「それは寂しいでしょ。」
寂しそうな顔で“寂しい”と素直に答えられる可愛い“ガキ”である千寿子。
カウンターの向こう側に立つ千寿子に、わざわざ立ち上がってまで頭をワシャワシャと撫でた。
それを千寿子は鬱陶しそうにしながらも楽しそうに笑っていて、俺が渡したメモ用紙を大切そうに胸に抱いている。
そんな千寿子の姿を見下ろしながら言った。
「向こうに集中したいからこっちには独立する時に戻ってくる。
そしたら俺は必ずここに、“朝1番”に帰ってくる。
千寿子の飯を食いに帰ってくるから。」
「うん、待ってるね。」
カウンター越しに立ち千寿子が俺に“待ってる”と言った。
それが無性に嬉しいと思った。
そんな自分には小さく笑いながら椅子にまた座ると、その椅子からは小さな軋む音が聞こえた。
その音も愛おしいと思うくらいに俺はこの“朝1番”が好きで。
このカウンター越しに千寿子が俺に作ってくれる飯が好きで。
良い朝の時間を過ごせていた。
しみじみとそう思いながら千寿子がいれてくれたお茶を口に含んだ。
「じゃあ、餞別におっぱい見せてあげるね。」
“はあ?”と思い咄嗟に千寿子の方を見ると・・・
いつの間にかエプロンを外しシャツをまくって胸を本当に出していた。
それを見て思いっきりお茶を吹き出した。
俺が吹き出したお茶はカウンターを飛び越え千寿子の身体にも顔にまで飛んでいった。
それにも慌てたけれど、千寿子は俺が吹き出したお茶を拭くこともなく大笑いをしている。
「やっぱり絶対彼女いないでしょ!!
女子高生の胸にそんなに動揺して吹き出してむせて!!!」
千寿子は高校3年になった頃から俺にこんなことをしてからかってくるようになっていた。
「少し触らせてあげよっか?
そんなオジサンになって胸も触ったことないまま北海道に行くなんて可哀想だし。」
「お前、俺以外の男に絶対そんな誘惑すんなよ!?」
「また出た、独占欲!」
「ちげーよ!!普通にあぶねーだろ!!
あとお父さんとお母さんに絶対言うなよ!?」
「流石に言ってないよ!!
会長にはたまに言ってるけど!!」
「出た、格好良い生徒会長!!
お前が副会長だったとか信じらんねーよ!!
それにそんなに好きなら告ってみればいいだろ!!」
「会長がいるから生徒会は大丈夫だったの!
・・・告白ね~、向こうは完全に心を開いてくれてないからな~。」
千寿子が自分の身体よりも先に俺の口回りやスウェットをカウンターの向こう側から手を伸ばして拭いてくれる。
そのまま拭いてもらいながらも口だけは動かす。
「俺の従妹なんて目立つのも嫌いで生徒会長なんてキャラじゃねーのに、副会長のお陰でやれてるって言ってたぞ?
お前もそういう副会長を目指せばよかったのに。
気持ちも頭も強いん・・・」
“強いんだから”と言おうとして途中で言葉を切った。
「早く胸仕舞えよ!!
ガキの胸を見てどうこうなるほど俺もガキじゃねーからな!?」
まだシャツがめくれたままカウンターを拭いていて、千寿子のある程度膨らんでいる胸を指差した後に向こうにあるポスターを指差した。
「ガキだったとしてもあそこまで胸があったら少しは欲情するかもしんねーけどな!!」
俺がそう言うと千寿子が怒った顔をしながら和泉かおりのポスターを見た。
「うちのお母さんって胸大きいから私も多分胸は大きくなるもん。
身長とかお尻は無理だろうけど。」
「今高3だろ?ギリギリ無理なんじゃね?」
「無理じゃない!!
朝人がこっちに戻ってきた時はビックリさせてやるんだから!!」
「それは楽しみだな!!」
その頃には千寿子は何歳になって俺は何歳になっているのか。
そんな楽しい計算をしながら、今日もカウンターに500円玉を置いた。
「明日のご馳走さまの分。」
「うん、明日の毎度ありがとうございますの分を貰いました。」
千寿子が俺が置いた500円玉を大切そうに握り締める。
そして、気が付いたように慌てて顔を上げた。
「ごめんなさい、洋服汚しちゃって・・・!!」
「ああ、別に良い、スウェットだし。」
自分が吹き出したお茶で濡れたスウェットを見下ろしながら答え、思い出した。
「スーツにファンデーションをつけてきた彼女にはイライラしたことあるけどな。」
「スーツじゃなくて良かったです~!
・・・って、妄想の彼女の話はもういいって!!」
「だから妄想じゃねーよ!!
今の彼女からも聞かれたから答えたことあるくらいだし!!
しっかり手入れをしてるスーツを汚されるのが1番嫌かもって!!」
それを言って、また思い出した。
「今日は彼女と話してくるか・・・。」
“朝1番”の引戸の前に立ち、今日も言う。
「よし、行ってくる。」
カヤの為にも頑張ってくるかという気持ちで千寿子に言った。
「うん、行って。」
“行ってらっしゃい”とは言わない千寿子に今日も笑いながら、俺は引戸を開けた。
太陽の光りで今日も千寿子の顔が輝く。
“バサマの若い頃はこんな感じだったのかな”
そう思わせるような千寿子の顔が。
中身が全然違うからか美鼓には全然似ていないように感じる千寿子の顔。
気持ちも頭も強いのが不思議とよく分かる顔をしている。
“千寿子があと10年早く生まれてたら・・・”
熱が出た日に千寿子の飯を食べ、それから何度も浮かんでくる言葉を今日も思い浮かべながら、俺はすっかり住み慣れたアパートへと歩いていく。
しっかりとした足取りで。
今日も千寿子からパワーを貰えたから。
そして・・・
「やべ、ちょっと反応した・・・。」
まだ27歳、ガキの胸だろうが流石に胸を見せられたら少しは反応していた。
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