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新築の匂いがする家の中、朝人と2人でバタバタと出勤の準備をしていく。
「朝人!!パン焼けたから!!」
「俺の耳だけ食っといて!!」
「それ毎朝面倒だから!!
自分で取りなよ!!
その歳にもなってパンの耳も食べられないとか!!」
朝人の食パンの耳を手でテキトーに取り、私の分の食パンにはジャムを塗り、キッチンの所で立ったまま急いで食べていく。
もう少しで食べ終わる時にスーツを着た朝人が来て、私の隣で食パンの白い部分だけになったパンを何もつけずに食べていく。
「毎朝毎朝本当にギリギリまでエッチするから・・・!!」
「お陰様で有り余るくらいパワーついて“うるせー”って事務所の男どもから悪口言われてる!!」
「そういえば、朝人の事務所ってカヤ以外全員男の人なんでしょ?」
「そうだな、女がいると色々と面倒だから男しか入れてない。
お前と付き合って結婚したってなったら事務所のオッサン連中から大ブーイングだった。
お前と上手くいってない時はニヤニヤ楽しんでた性格の悪いオッサン連中。」
朝人がパンを食べ終わり、隣に並ぶ私のことをチラッと見下ろしてきた。
「結婚式の準備も始まるから招待客で分かるだろうけど、俺の事務所のオッサン連中は千寿子の常連客だから。」
「私の常連客?」
「うん、“朝1番”で朝1番に千寿子が作ってた飯食ってたオッサン連中。
前職を退職したけどまだ若いから雇えってうるせーから事務所の細々したことやらせてる。
それと、俺も独立する歳にしては若い方だったから、年配の客に初めての挨拶の時にはオッサンを隣に置いて挨拶したりな。」
「そうだったの!?
もっと早く教えてよ!!」
「教えるわけねーだろ、あのオッサン連中は自分の息子達の嫁に千寿子を狙ってたんだぞ!?
“朝1番”に行ったらクビにするって大騒ぎして止め続けるの大変だったんだぞ!?」
そんな話には笑いながら、朝人と玄関へと続く廊下を歩く。
「前にピクニックをしてた時に話し掛けてきた大学生2人組も入るんでしょ?」
「あいつらバカだよな~。
大手金融企業の内定を蹴って俺の事務所来るとか。」
「ねぇ、めっちゃ性格悪いから。」
私が注意をすると朝人は爆笑し、玄関でピカピカの革靴を履いた。
それを私は玄関先で見下ろしていると・・・
朝人が凄く凄く嬉しそうな顔で私のことを見詰め・・・
私のことを見続けたまま背中の引戸をゆっくりと開いた。
その瞬間、引戸から今日も朝日が入る。
朝人と朝人のおじいちゃんとおばあちゃんが暮らしていた家に。
朝人のおじいちゃんがカヤのお父さんに頼み、当時の家のまま新しくしたという家に。
木造ではないけれど古い造りの家、なのに新築という、朝人と私の新居となったこの家に。
「行ってくる。」
め~ちゃくちゃ嬉しそうな顔で、玄関先に立つ私に朝人がそう言った。
なので、今日も言ってあげる。
「行ってらっしゃい、朝人。」
完璧な姿の朝人にそう言うと、朝人はどこか遠い目で私のことを見詰め、何度も小さく頷いた。
そして・・・
「急げ、千寿子!!」
「待ってよ、今靴履くから!!
・・・ていうか、毎朝この遊び何なの!?
今度朝人のおじいちゃんに会いに行くから朝人の悪口言いまくってくる!!」
「はあ!?ジサマに会うのかよ!?
聞いてねーよ!!」
「カヤとカヤのお姉ちゃんと3人で遊びに行くんだよね~。」
「やめろよ!!
まだまだ元気過ぎる爺さんだから、ジサマが死んでからお前に会わせようとしてたのに!!」
「なにそれ!?」
「お前のことを口説きまくってきたら怖いだろ!!
死んだら会わせるから早く死ねって言ってあるんだよ!!」
「口悪すぎ!!!」
2人で慌てながら家を飛び出すと、冬だけど朝日がキラキラと輝いていた。
「明日も5時に起こすからな!!」
私はもう福富千寿子という名前ではなくなったのに、明日も朝人から朝1番に起こされるらしい。
end.........
「朝人!!パン焼けたから!!」
「俺の耳だけ食っといて!!」
「それ毎朝面倒だから!!
自分で取りなよ!!
その歳にもなってパンの耳も食べられないとか!!」
朝人の食パンの耳を手でテキトーに取り、私の分の食パンにはジャムを塗り、キッチンの所で立ったまま急いで食べていく。
もう少しで食べ終わる時にスーツを着た朝人が来て、私の隣で食パンの白い部分だけになったパンを何もつけずに食べていく。
「毎朝毎朝本当にギリギリまでエッチするから・・・!!」
「お陰様で有り余るくらいパワーついて“うるせー”って事務所の男どもから悪口言われてる!!」
「そういえば、朝人の事務所ってカヤ以外全員男の人なんでしょ?」
「そうだな、女がいると色々と面倒だから男しか入れてない。
お前と付き合って結婚したってなったら事務所のオッサン連中から大ブーイングだった。
お前と上手くいってない時はニヤニヤ楽しんでた性格の悪いオッサン連中。」
朝人がパンを食べ終わり、隣に並ぶ私のことをチラッと見下ろしてきた。
「結婚式の準備も始まるから招待客で分かるだろうけど、俺の事務所のオッサン連中は千寿子の常連客だから。」
「私の常連客?」
「うん、“朝1番”で朝1番に千寿子が作ってた飯食ってたオッサン連中。
前職を退職したけどまだ若いから雇えってうるせーから事務所の細々したことやらせてる。
それと、俺も独立する歳にしては若い方だったから、年配の客に初めての挨拶の時にはオッサンを隣に置いて挨拶したりな。」
「そうだったの!?
もっと早く教えてよ!!」
「教えるわけねーだろ、あのオッサン連中は自分の息子達の嫁に千寿子を狙ってたんだぞ!?
“朝1番”に行ったらクビにするって大騒ぎして止め続けるの大変だったんだぞ!?」
そんな話には笑いながら、朝人と玄関へと続く廊下を歩く。
「前にピクニックをしてた時に話し掛けてきた大学生2人組も入るんでしょ?」
「あいつらバカだよな~。
大手金融企業の内定を蹴って俺の事務所来るとか。」
「ねぇ、めっちゃ性格悪いから。」
私が注意をすると朝人は爆笑し、玄関でピカピカの革靴を履いた。
それを私は玄関先で見下ろしていると・・・
朝人が凄く凄く嬉しそうな顔で私のことを見詰め・・・
私のことを見続けたまま背中の引戸をゆっくりと開いた。
その瞬間、引戸から今日も朝日が入る。
朝人と朝人のおじいちゃんとおばあちゃんが暮らしていた家に。
朝人のおじいちゃんがカヤのお父さんに頼み、当時の家のまま新しくしたという家に。
木造ではないけれど古い造りの家、なのに新築という、朝人と私の新居となったこの家に。
「行ってくる。」
め~ちゃくちゃ嬉しそうな顔で、玄関先に立つ私に朝人がそう言った。
なので、今日も言ってあげる。
「行ってらっしゃい、朝人。」
完璧な姿の朝人にそう言うと、朝人はどこか遠い目で私のことを見詰め、何度も小さく頷いた。
そして・・・
「急げ、千寿子!!」
「待ってよ、今靴履くから!!
・・・ていうか、毎朝この遊び何なの!?
今度朝人のおじいちゃんに会いに行くから朝人の悪口言いまくってくる!!」
「はあ!?ジサマに会うのかよ!?
聞いてねーよ!!」
「カヤとカヤのお姉ちゃんと3人で遊びに行くんだよね~。」
「やめろよ!!
まだまだ元気過ぎる爺さんだから、ジサマが死んでからお前に会わせようとしてたのに!!」
「なにそれ!?」
「お前のことを口説きまくってきたら怖いだろ!!
死んだら会わせるから早く死ねって言ってあるんだよ!!」
「口悪すぎ!!!」
2人で慌てながら家を飛び出すと、冬だけど朝日がキラキラと輝いていた。
「明日も5時に起こすからな!!」
私はもう福富千寿子という名前ではなくなったのに、明日も朝人から朝1番に起こされるらしい。
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