【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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そんな暮らしを、この大きな大きな屋敷で武蔵と一緒にしていた。
朝早く起きて武蔵の為に唐揚げを大量に揚げ、朝ご飯もお弁当のお昼ご飯も唐揚げ。
何を食べたいか聞いても毎回唐揚げなので、最近は聞くのも止めた。



夜に隼人から勉強させてもらい、そして武蔵が迎えに来てくれる。
夜食を準備し武蔵が食べ終わりお互いが部屋に入る。



武蔵が私を見詰めるその目には、確かに恋の色が宿っているように見えて。
そう、私には見えて。



そんな幸せな暮らしを続けていた19歳の秋、10月に入り・・・



朝ベッドで目を覚ますと、身体中が痛くて。
スマホでお母さんに電話を掛けた。



『家の中で電話って、どうしたの?』



「身体が何か痛い・・・。
熱かも・・・お腹も痛い・・・。
あ・・・生理前かな、今回重いかも。」



『・・・今から行くから待ってて。』



電話を切ってから少し待っていると、お母さんが色々と持って部屋に来てくれた。



ベッドに横になったまま、渡された体温計で熱を測る。
お母さんは部屋の棚の上に置かれたカレンダーを見ている。



「そろそろ生理だから生理前のやつかも。
私たまに重くなるよね。」



「そうだね・・・。
大学には行けそう?」



「うん、生理前のやつかもって思ったらそんなに具合も悪くない気がしてきた。」



そのタイミングで体温計が鳴り見てみると、平熱。



「ごめんね、全然大丈夫だ!!」



「そう、よかった。」



お母さんがホッとした顔で私に笑い掛ける。
そして・・・私のことを長めに見てきて・・・。



「今日は隼人君の所に行くのは止めたら?
武蔵君もう会社に行ってるけど、お父さんから武蔵君にお迎えはいらないって言ってもらうから。」



「そうだね、体調悪いし止めておく。」



「うん、その方がいい。」



「武蔵今日早すぎない?お弁当・・・。」



「今日はお母さんが持たせたから。」



お母さんがやけにしっかりと頷きながらそう言ってきた。
それに不思議に思いながらもベッドから起き上がる。
やっぱり・・・体調はあんまり良くなかった。
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