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だから言ったのに・・・。
“一生19歳の中で生きていたい”
そう言ったのに・・・。
戻りたい・・・。
19歳の誕生日の日に、私は戻りたい・・・。
お酒なんて飲めなくてもいいから・・・。
私は、19歳の誕生日の日に戻りたい・・・。
ずっと、ずっと・・・
戻りたかった・・・。
ずっと、ずっと・・・
ずっと、ずっと・・・
「いらなかった・・・。」
小さな声になって、喉から出て来てしまった・・・。
そんな私の声に武蔵が立ち止まる。
立ち止まった武蔵を見上げる。
似合わない眼鏡の奥、そこにある小さく見える優しいだけの目を見詰めながら言った。
「いらなかった・・・。
私は・・・加賀社長の一人娘なんて、いらなかった・・・。」
武蔵と出会ってから、武蔵に恋をしてから、きっとずっと思ってきた・・・。
気付かないようにしてきたけど、きっとずっとそう思ってきた・・・。
片想いで良かった。
私は片想いで良かった。
武蔵が自分のことが好きではないと気付いたとしても、その後は片想いで良かった。
眠りたい・・・。
私は、眠りたい・・・。
夢の中でだけでも、会いたい・・・。
でも、眠りたくなくて・・・。
何度寝ても、あの19歳の誕生日の日の夢を見ようとするから・・・。
見たくなかった・・・。
今見たら分かってしまう・・・。
あの日も、武蔵には恋の色なんてなかったと・・・。
嫌だった・・・。
それだけは、嫌だった・・・。
私の婚約者として選ばれていなかった武蔵との幸せな時間だった・・・。
空回りの恋の芝居だったかもしれないけど、私にとっては唯一の幸せな時間だった・・・。
それが全て嘘だったと、なかったものだと、認めるのが嫌だった・・・。
あの幸せな時間がなければ、頑張れない。
だって、こんな“武蔵”と私はどうやって頑張ればいいの・・・?
こんな・・・
こんな・・・
ただの、居候の武蔵と・・・
どうやって頑張ればいいの・・・?
“一生19歳の中で生きていたい”
そう言ったのに・・・。
戻りたい・・・。
19歳の誕生日の日に、私は戻りたい・・・。
お酒なんて飲めなくてもいいから・・・。
私は、19歳の誕生日の日に戻りたい・・・。
ずっと、ずっと・・・
戻りたかった・・・。
ずっと、ずっと・・・
ずっと、ずっと・・・
「いらなかった・・・。」
小さな声になって、喉から出て来てしまった・・・。
そんな私の声に武蔵が立ち止まる。
立ち止まった武蔵を見上げる。
似合わない眼鏡の奥、そこにある小さく見える優しいだけの目を見詰めながら言った。
「いらなかった・・・。
私は・・・加賀社長の一人娘なんて、いらなかった・・・。」
武蔵と出会ってから、武蔵に恋をしてから、きっとずっと思ってきた・・・。
気付かないようにしてきたけど、きっとずっとそう思ってきた・・・。
片想いで良かった。
私は片想いで良かった。
武蔵が自分のことが好きではないと気付いたとしても、その後は片想いで良かった。
眠りたい・・・。
私は、眠りたい・・・。
夢の中でだけでも、会いたい・・・。
でも、眠りたくなくて・・・。
何度寝ても、あの19歳の誕生日の日の夢を見ようとするから・・・。
見たくなかった・・・。
今見たら分かってしまう・・・。
あの日も、武蔵には恋の色なんてなかったと・・・。
嫌だった・・・。
それだけは、嫌だった・・・。
私の婚約者として選ばれていなかった武蔵との幸せな時間だった・・・。
空回りの恋の芝居だったかもしれないけど、私にとっては唯一の幸せな時間だった・・・。
それが全て嘘だったと、なかったものだと、認めるのが嫌だった・・・。
あの幸せな時間がなければ、頑張れない。
だって、こんな“武蔵”と私はどうやって頑張ればいいの・・・?
こんな・・・
こんな・・・
ただの、居候の武蔵と・・・
どうやって頑張ればいいの・・・?
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