【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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「どうして隼人がそこまでして・・・お母さんの頼みを叶えてくれたの?」



これは分からなかったから隼人に素直に聞いた。
そしたら隼人は心底嬉しそうな顔をした。



「直接的な言葉は言われなかったけどな、初めて気付いてくれたのが小夜さんだった。
それで言ってくれた。
“私の親友も隼人のような恋をしていた”って
“何も変なことではないから大丈夫。
それ程素敵な人なのよね”って。
それで頼まれたんだよ。
“私の親友を助けてあげて欲しい。”って。」



その言葉には驚いていると、隼人は困った顔で笑った。



「まさか相川元社長と難波さんがそれぞれ別の調査会社に依頼しているとは思わなかった。
それもただの調査会社の調査員じゃない。
めちゃくちゃ優秀な男達と・・・女神が味方についてる奴らだった。」



それには私も笑ってしまう。



「天野さんの旦那さんと、その旦那さんのご兄弟達ね。
調査員としても優秀だったってことは・・・」



「そこまで気付いてた。
俺が何をしようとしていたのか。
それなのに真実を明かさず、事実に見えるようにしていた俺のやり方に乗ってくれた。
だから相川元社長も難波さんも知らないままでこの件は終わってる。」



「そうだったんだ・・・。
だからその調査会社で働くことにしたの?」



「加賀製薬とも相川薬品とも丸っきり別物だった。
そんな男達が立ち上げた会社で、その弟達がいる会社で。
学べることも身に付けたいことも多くあったからな。
それにあのまま加賀製薬に戻ったら怪しまれただろうし、1年間その調査会社で勉強出来て良かった。
俺を受け入れるのに理由がいると思ったから、その理由はぶさけた話にさせてもらったけどな。」



「どんな理由にしてたの?」



「1人の男を好きになった設定にしてた。
その嫁さんか本気で信じてたから良い役割してくれてたよ。」



そんな話には笑ってしまった。
隼人も凄く楽しそうに笑っていて・・・。
その調査会社で働いた1年間は楽しい時間だったのが私にもよく伝わってきた。
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