【完】拳に愛を込めて(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

Bu-cha

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それには・・・それには、驚いてしまった。
ビックリした・・・。
ビックリしたけど、少しだけ嬉しい気持ちにもなった・・・。



「矢田さんから言ってきたんですか・・・?」



「拳君からは何も言ってきてないよ。
2人を何度か見掛けた時に、そうなのかなって思ったの。」



小町さんのその返事を聞いて・・・苦笑いをした。



「矢田さんには言わないでもらえますか?」



「どうして?」



「矢田さんは私が的場妙子だって気付いてないのか、忘れているのか、どっちかなので・・・。
お互いにちゃんとしたフルネームも知らなかったし、最後に会ったのは随分と前だから。」



「最後に会ったのはいつなの?」



「私が中学3年生で、あっちが高校2年生の時。」



「そうなんだ!」



私が答えると、小町さんが声を少し大きくして反応した。



「言ってみなよ。
その時に会ったのは私だよって。」



「絶対に嫌です!!
最悪な最後になったんですよ!!
もう二度と会いたくなかったのに、まさか派遣されてくるとは思いませんでした!!」



「私も。まさか2人が知り合いだとは思わなかった。
でも・・・よく考えるとそうだよね。」



小町さんが可愛い笑顔を私に向けてくる。
その笑顔があまりにも可愛くて、自然と私も笑顔になる。



「もしかして拳君は、昔の妙子ちゃんの姿しか見たことがないってことなの?」



「そうです・・・。
人間なのか猿なのかよく分からなかったような生き物だった頃の私です。」



「なにそれ?
私には凄く可愛い女の子に見えたよ?」



「・・・それは小町さんが中身も素敵すぎる人だから、そう思ってくれていただけですよ。」



私は・・・矢田拳(けん)という人のことは知らなかったけど、あの人のことは知っていた。



好きだったから・・・。



“女が少ない子”と書いて“妙子”という名前の私は、あの人のことが好きだったから・・・。



名前の通り女が少なくて・・・。
少なすぎて・・・。



そんな少ないはずの女しかない私だったけど、それでも私はあの人のことが好きで・・・。



恋をしていた・・・。



恋をしてしまっていた・・・。



女の子どころか人間かも怪しいような猿みたいな私が、あの人に恋をしてしまっていた・・・。



そして、取られてしまった・・・。



あの人が私の心に入ってしまって・・・。



少しだけあった“女”を取られてしまった・・・。



綺麗に入ったから・・・。



取られてしまった・・・。



そして、乱れた・・・。



精神を、乱された・・・。



あのまま親友みたいな、大親友みたいな関係のままでいられたらそれで良かったのに・・・。



モテる人だとは知っていたから、あんな猿みたいな私は付き合いたいとか想いを伝えたいとかそんなことは考えてもいなかったのに・・・。



なのに、乱されてしまった・・・。



そして、最悪な最後になってしまった・・・。



二度と会いたくないくらいの・・・



二度と会えないくらいの・・・



最後になってしまっていた・・・。
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