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翌日、土曜日・・・
「妙子(たえこ)ちゃん、悩み事?」
土曜日なのに夫婦で会社に来ている副社長の小町さんが、随分と大きくなったお腹で副社長の椅子に座り私に聞いてきた。
土曜日の面接が始まる前に副社長室に呼び出され、小町さんが美人な顔を可愛い笑顔にして私に聞いてくるので・・・
それには自然と笑った。
「昔は私の方が毎回そう聞いてましたよね~!?」
小町さんとは、私が小学校6年生から中学3年生になったばかりの頃まで知り合いだった。
私が通っていた調剤薬局で小町さんがアルバイトをしていたから。
「あの頃の私は悩み事ばっかりだったよね。」
「婚約者のことでですよね!?」
私が行く度に小町さんは婚約者のことで悩んでばかりいた。
たまに聞ける小町さんの恋バナに調剤薬局に通うのが楽しかったのも事実で。
「今は妙子ちゃんの方が悩み事をしているように見えるよ?」
「・・・そんなに分かりやすいですか?」
「昔よりも鋭くなれたから分かるようになったの。」
小町さんがそう言って可愛く笑った後・・・
力を込めた・・・。
全身で・・・
全神経を集中させ・・・
私を、見ている・・・。
そのあまりにも美しい姿に、思わず膝を折って屈してしまいたくなる。
それくらいに、小町さんは“副社長”だった。
加賀さんが言っていた言葉が今ならよく分かる。
私は、“戦士”なのかもしれない・・・。
小町さんの為だけに、私は“戦士”になりたいのかもしれない・・・。
この無力な拳で戦うことは出来ないけれど、でも守ることなら出来るかもしれない・・・。
この美しい人の為に、私はこの身体全てで・・・
どんな攻撃も受けかわしてみせる・・・。
そんなことを無意識に考えていたら、小町さんの美しく整った唇がゆっくりと開き・・・
「妙子ちゃんと拳(けん)君って、知り合いだったの?」
そう、聞いてきた・・・。
矢田拳(けん)というフルネームの派遣さんについて、そう聞いてきた・・・。
「妙子(たえこ)ちゃん、悩み事?」
土曜日なのに夫婦で会社に来ている副社長の小町さんが、随分と大きくなったお腹で副社長の椅子に座り私に聞いてきた。
土曜日の面接が始まる前に副社長室に呼び出され、小町さんが美人な顔を可愛い笑顔にして私に聞いてくるので・・・
それには自然と笑った。
「昔は私の方が毎回そう聞いてましたよね~!?」
小町さんとは、私が小学校6年生から中学3年生になったばかりの頃まで知り合いだった。
私が通っていた調剤薬局で小町さんがアルバイトをしていたから。
「あの頃の私は悩み事ばっかりだったよね。」
「婚約者のことでですよね!?」
私が行く度に小町さんは婚約者のことで悩んでばかりいた。
たまに聞ける小町さんの恋バナに調剤薬局に通うのが楽しかったのも事実で。
「今は妙子ちゃんの方が悩み事をしているように見えるよ?」
「・・・そんなに分かりやすいですか?」
「昔よりも鋭くなれたから分かるようになったの。」
小町さんがそう言って可愛く笑った後・・・
力を込めた・・・。
全身で・・・
全神経を集中させ・・・
私を、見ている・・・。
そのあまりにも美しい姿に、思わず膝を折って屈してしまいたくなる。
それくらいに、小町さんは“副社長”だった。
加賀さんが言っていた言葉が今ならよく分かる。
私は、“戦士”なのかもしれない・・・。
小町さんの為だけに、私は“戦士”になりたいのかもしれない・・・。
この無力な拳で戦うことは出来ないけれど、でも守ることなら出来るかもしれない・・・。
この美しい人の為に、私はこの身体全てで・・・
どんな攻撃も受けかわしてみせる・・・。
そんなことを無意識に考えていたら、小町さんの美しく整った唇がゆっくりと開き・・・
「妙子ちゃんと拳(けん)君って、知り合いだったの?」
そう、聞いてきた・・・。
矢田拳(けん)というフルネームの派遣さんについて、そう聞いてきた・・・。
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