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そして私は6年生になった。
6年生になってもまだ同級生の男子達と毎日のように殴り合いの喧嘩をしていた。
何がそんなに気にくわないのか、男子達は岩渕君を虐めてばかりいたから。



サメとも相変わらず・・・。
サメはめちゃくちゃ強い。
向き合っただけでそれが分かる。
拳のような身震いするような澄んだ空気ではなく、サメは名前の通り鮫みたいな男だった。



学校でも空手の後にもサメと喧嘩ばかりしていた。



「妙子って何でずっと白帯なんだよ?
こんなに強かったら黒帯だろ?」



今日もあっという間に負けた私にサメがそう聞いてきた。
今日も受け取ったから・・・。
今日も拳からの手紙を受け取ったから・・・。



「私は喧嘩が強くなりたいんだよね。
口だけではなくて、時には力で戦わないといけない時があるから。
向こうが力で戦ってきたのに口で戦っても勝てないじゃん。
でも空手は喧嘩をする為の手段ではないから、私は空手を教えて貰ってない。
最初の数ヶ月だけで終わっちゃった。
ずっと端で正座をして見てるだけ。」



「ずっと正座だけ!?
妙子かなり前から空手習ってるよな!?」



「1年生の冬から習ってる。」



泥だらけになった空手着を少しだけ払って、公園のブランコを立ち漕ぎしていく。



「4年生の冬までは組手が許されてる相手がいたんだ~。
早朝と放課後の練習中の休憩時間だけは組手が出来てたの。
今は・・・その相手を思い出しながら組手をしてる、1人で。」
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