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それには驚きすぎて固まった私の隣で、和が小さく笑った。
「妙子、じいちゃん。」
「妙子だよ、ごめんね忘れてた!!」
「泥くらい払ってこいよ!!
何で空手なのにいつもそんなに泥だらけなんだよ!!」
「サメと喧嘩してるから。」
妙子がそう答えながらスタスタと入ってきて和の隣で綺麗な正座をして座った。
そんな妙子にクソジジイは笑いながら口を開いた。
「地上に鮫がいるのか?」
「うん、鮫がいる。
めちゃくちゃ強すぎて全然勝てない。」
「その鮫に勝つ為に空手を習ってるのか?」
「違う、守る為に。」
妙子がそう答えると、クソジジイの目が鋭くなった。
そんな目をしているクソジジイに妙子は続けた。
「私が守りたいと思ったモノを守る為に、私は強くなることを追求してる。」
力強く答えた妙子におじいちゃんは深く頷き、それから和の方を見た。
「俺は何も教えたつもりはない。
空手道場の先生からは、“元々の素質と俺の影響”とは言われたけどな。
でも特に何かを教えたつもりはない。
妙子は小さな頃からずっと何かを追求している子・・・猿みたいな奴だった。」
「過去形じゃなくて今でも猿だろ・・・っ」
クソジジイはそう言って笑っていて、こんなに笑うクソジジイを見るのは初めてだった。
和の前でも笑っているけれど、こんなに大笑いをして、それなのに満足そうに笑っているこんなクソジジイの顔を見るのは初めてだった。
この日はずっとクソジジイが妙子と話し、食事会はクソジジイの笑い声だけで終わった。
和だけではなく妙子まで増えるとこんなことまで出来るのかと、私は思い知った。
「妙子、じいちゃん。」
「妙子だよ、ごめんね忘れてた!!」
「泥くらい払ってこいよ!!
何で空手なのにいつもそんなに泥だらけなんだよ!!」
「サメと喧嘩してるから。」
妙子がそう答えながらスタスタと入ってきて和の隣で綺麗な正座をして座った。
そんな妙子にクソジジイは笑いながら口を開いた。
「地上に鮫がいるのか?」
「うん、鮫がいる。
めちゃくちゃ強すぎて全然勝てない。」
「その鮫に勝つ為に空手を習ってるのか?」
「違う、守る為に。」
妙子がそう答えると、クソジジイの目が鋭くなった。
そんな目をしているクソジジイに妙子は続けた。
「私が守りたいと思ったモノを守る為に、私は強くなることを追求してる。」
力強く答えた妙子におじいちゃんは深く頷き、それから和の方を見た。
「俺は何も教えたつもりはない。
空手道場の先生からは、“元々の素質と俺の影響”とは言われたけどな。
でも特に何かを教えたつもりはない。
妙子は小さな頃からずっと何かを追求している子・・・猿みたいな奴だった。」
「過去形じゃなくて今でも猿だろ・・・っ」
クソジジイはそう言って笑っていて、こんなに笑うクソジジイを見るのは初めてだった。
和の前でも笑っているけれど、こんなに大笑いをして、それなのに満足そうに笑っているこんなクソジジイの顔を見るのは初めてだった。
この日はずっとクソジジイが妙子と話し、食事会はクソジジイの笑い声だけで終わった。
和だけではなく妙子まで増えるとこんなことまで出来るのかと、私は思い知った。
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