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結子side........
おじいちゃんの孫会の食事会が終わり、“結子”と一夜・・・一夜君は、お茶に行くと言って2人で離れていった。
“結子”になっていた翔子の背中にキスマークをいっぱいつけた一夜君。
そんな翔子の背中に一夜君の手が触れているのを見て、私は小さく微笑んだ。
あと少し・・・。
それは私だけではなく、翔子にとっても。
翔子にとっても、一夜君と一緒にいられるのはあと少し・・・。
譲の・・・増田君の優しく握ってくれる左手を感じながら“結子”と一夜君の後ろ姿を眺めていると、増田君が“私”の右手を少しだけ引いた。
「俺らはどうする?
映画でも観に行く?」
「映画か~。」
増田君と映画を観るとすぐに話し掛けられることばかりで。
この前なんて初めて映画館でキスばかりされて途中でホテルに行くことにもなり、映画を最後までちゃんと観たことがない。
「恋愛映画、観に行く?」
「え!?いいの!?」
「“今度”って言ったからね。
今日がその“今度”ということで。」
「“今度”は信用出来ない言葉だって和がよく言ってるから、ないものだと思ってたよ!」
増田君と私のデートの為に、好きでもない恋愛映画や漫画を翔子も好きだという話にしてくれている。
でも恋バナは嫌いとハッキリ言っているので、私が翔子として月に1~3回永家不動産で働いている時も彼氏のことは誰も聞いてこないので仕事がしやすかった。
私と翔子は小さな頃からよく交換っこしていた。
それは私の為に翔子がしてくれたことばかりだけど、たまに翔子もワガママを言ってくる。
誰にも言わないワガママを私も翔子もお互いにだけは言う。
恋愛映画を増田君と観たいという“私”のワガママを1度も聞いてくれたことがなかった増田君が、今日初めて恋愛映画を観に行ってくれることになった。
左手の薬指に光っているはずの婚約指輪は今日もやっぱり灰色だけど、それでもその指輪を何度も見下ろしながら増田君の隣を歩いた。
あと少しだから・・・。
増田君とこうやって歩けるのは、あと少しで終わってしまうから・・・。
おじいちゃんの孫会の食事会が終わり、“結子”と一夜・・・一夜君は、お茶に行くと言って2人で離れていった。
“結子”になっていた翔子の背中にキスマークをいっぱいつけた一夜君。
そんな翔子の背中に一夜君の手が触れているのを見て、私は小さく微笑んだ。
あと少し・・・。
それは私だけではなく、翔子にとっても。
翔子にとっても、一夜君と一緒にいられるのはあと少し・・・。
譲の・・・増田君の優しく握ってくれる左手を感じながら“結子”と一夜君の後ろ姿を眺めていると、増田君が“私”の右手を少しだけ引いた。
「俺らはどうする?
映画でも観に行く?」
「映画か~。」
増田君と映画を観るとすぐに話し掛けられることばかりで。
この前なんて初めて映画館でキスばかりされて途中でホテルに行くことにもなり、映画を最後までちゃんと観たことがない。
「恋愛映画、観に行く?」
「え!?いいの!?」
「“今度”って言ったからね。
今日がその“今度”ということで。」
「“今度”は信用出来ない言葉だって和がよく言ってるから、ないものだと思ってたよ!」
増田君と私のデートの為に、好きでもない恋愛映画や漫画を翔子も好きだという話にしてくれている。
でも恋バナは嫌いとハッキリ言っているので、私が翔子として月に1~3回永家不動産で働いている時も彼氏のことは誰も聞いてこないので仕事がしやすかった。
私と翔子は小さな頃からよく交換っこしていた。
それは私の為に翔子がしてくれたことばかりだけど、たまに翔子もワガママを言ってくる。
誰にも言わないワガママを私も翔子もお互いにだけは言う。
恋愛映画を増田君と観たいという“私”のワガママを1度も聞いてくれたことがなかった増田君が、今日初めて恋愛映画を観に行ってくれることになった。
左手の薬指に光っているはずの婚約指輪は今日もやっぱり灰色だけど、それでもその指輪を何度も見下ろしながら増田君の隣を歩いた。
あと少しだから・・・。
増田君とこうやって歩けるのは、あと少しで終わってしまうから・・・。
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