【完】好き好き大好きの嘘

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「ごめん・・・。」



「いや、謝って欲しいわけじゃねーし、むしろこっちでもこんな泣き方をしてくれる奴と出会えるとは思ってなかった。」



増田譲君がそう言って、今日初めて見る優しい顔で笑い掛けてくれた。



「俺の代わりに泣いてるんだろ？」



増田譲君にその通りのことを言われ、私は泣きながら頷いた。
本当にそうだったから。
翔子の前で泣いてしまうのも同じ理由。
さっきの増田譲君の顔は翔子の顔とよく似ていたから。



何でもない顔をしながらも、心のどこかでは泣いているように私にはいつも見えていたから。



それに気付いてしまうと、私は涙が流れてしまう。
いつもいつも、涙が流れてしまう。



翔子以外の人に初めてこんなに涙を流してしまったのは、初めて誰かが私にここまで心を開いて話してくれたからかもしれない。



私には翔子しかいないから。
私には翔子しかいない・・・。



なのに、私は翔子を守れない。
私は翔子を幸せに出来ない。



ドレスを着た私では、そんなことが出来ない。



苦しくて、痛くて、悔しい・・・。



でも、それでも、泣きながらでも前を向いた・・・。



そしたら、増田譲君はさっきよりもずっと優しい顔で、さっきよりもずっとキラキラと輝くような目をした。



そして・・・



「ありがとな、結子！！」



と・・・。



私を、私を、“結子”と呼んでくれた。
さっきは“いとこちゃん”だったのに、私を結子と呼んでくれた。



「俺は、増田。増田譲。
やっぱりもう何も譲るつもりはないから増田って呼んで。」



そう言われ、深く頷いてから笑い掛けた。



「あと、和って好きな女の子いるからね。」



「・・・真理はそういうんじゃねーから！！」



「俺、名前出してないけどそうなの？」



増田譲君・・・増田君の言葉に和はアワアワと焦りだし、それにはみんなで笑った・・・。