【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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その声の主は、驚くことに増田君に抱き付いた。
キラキラと目を輝かせて抱き付きながら増田君を見上げている。



その顔はとても綺麗で。
顔の作りは勿論、それだけではなくてとても綺麗なモノで。



翔子にも負けないくらい、それくらいに綺麗な女の子で。



そんな綺麗な女の子を見下ろし増田君は固まった。
初めてこんなに固まっている所を見た。



そして・・・



「・・・雪枝?」



と・・・。



聞いた増田君に女の子は輝く笑顔で何度も頷く。
それに増田君もとても嬉しそうな笑顔を見せている。
とてもとても・・・嬉しそうな笑顔を。



「雪枝のお父さん高学歴だもんな!!
このくらいの偏差値でも余裕か!!」



「みんないるよ、商店街の幼馴染み達がここに。
お兄さんお姉さん達も、私達と同じ年の子達も。」



「凄いな・・・。」



「うん、頑張ってる。
ユズがまた商店街に遊びに来てくれる日、その日に商店街がなくなってたら意味ないしね。」



「うん・・・。
今、商店街どうなってる?」



「結構お客さんは来てくれてる。
子ども達を集めたりイベントをしたり、季節の催し物をしたり福引きを豪華にしたり。
メニューの開発もそのお店だけじゃなくて商店街中で力を合わせたり。
それを大人達だけではなくて私達もやってる。
予算も考えながら色んな意見を出し合って、実現出来る範囲で実現させてる。」



「そっか、流石だな!!
後は俺が上の人間になるだけだな!!」



そんな会話を女の子が抱き付きながらしていき、増田君が・・・



増田君が・・・



その女の子の頭の上に優しく手を置いた・・・。



増田君の初恋の女の子の頭の上に・・・。



翔子よりも圧勝して可愛い顔だと答えたという女の子の頭の上に・・・。



増田君の最強の幼馴染みの1人である女の子の頭の上に・・・。



増田君が女の子に抱き付かれながら、女の子の頭の上に手をのせている姿を見て・・・



私は・・・



私は・・・



生まれて初めて、“羨ましい”と思ってしまった・・・。



そんなことを思ったことはなかったのに。
私にはカラフルな夢なんて存在しないから、そんな感情にもならないはずなのに。



初めて、“羨ましい”と思ってしまった。



私もしたい・・・。
私も増田君に抱き付いてみたい・・・。
増田君から頭の上に手をのせてもらいたい・・・。



でも、私には出来ない。
私にはそんなことは出来ない。
この女の子には簡単に出来ることが私には出来ない。
永家結子には出来ない。



生まれて初めて私に“羨ましい”と思わせた女の子。
それくらいの衝撃。
それくらい衝撃的な登場シーン。



「この子が、雪枝・・・。」



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