上 下
77 / 271
3

3-36

しおりを挟む
卒業式から3日後




明日は、シューと一緒に私の家に行き、これからもシューの家で一緒に住むと挨拶をする日。




シューからその話を聞いた時、私は嬉しくて泣いてしまった。





この穏やかで幸せな日が、1日でも長く続いて欲しかった・・・。





今日は、「明日頑張れるように、良いお肉買って帰る!」と仕事に行く時に言ってくれ、久しぶりのお肉に私は張り切ってジムに行った。




最近は、プールで歩くだけでなく少し泳いでもいる。
でもすぐに肩周りに筋肉がついてしまい、ゴツくならないための加減を調整中。




プールを終え、シューとお揃いのシャンプーやトリートメントで髪の毛を洗い、身体も洗う。
シューの匂いに包まれて、それだけで幸せな気持ちになれる。





ちゃんとスキンケアをし、ヘアオイルをつけドライヤーをする。
そして、今では手慣れた化粧をしていく。
軽く髪の毛をセットし、立ち上がる。




3月も下旬に入り、今日は上着もいらないくらい暖かい。
オフホワイトのロングワンピースに、ウエストの所にシルバーのベルトをしめた。
ネックレスもシルバーで大ぶりの物をつける。





「モデルなの?」




と、急に後ろに立った、怖そうな女の人に話し掛けられた。




「え!?まさか!!普通の会社員です、4月から!!」




その女性が驚きながら、「どこの会社なの?」と聞いてきて・・・




「スポーツ用品業界の、“KONDO”っていう会社で・・・。」




「そう、良い会社じゃない。
あそこの副社長とは知り合いなの。」




「そうですか・・・。」




「これ、渡しておく。」




「え!?」




女性から渡された名刺を慌てて受け取る。




「会社員に飽きたら、いつでも連絡して?」




そう言われて名刺を見てみると・・・




「シューの事務所・・・?」



「シュー?」



「あ!私、シューの知り合いで!
男の娘の、“shu-”の!!」




そう言うと、怖そうな女性はもっと怖そうな顔になった。




「“shu-”の・・・?あなた、名前は?」




睨むような目で私を見詰め、私の目の中にある何かを覗き込もうとされる・・・





思わず、後退りしてしまいそうになり、グッと堪える。





“泣かない、笑え、笑え”





姿勢を正す、呼吸を整え、女性の目を見返す。





「青田です。青田、夏生。」





「夏生・・・」





怖そうな女性は驚きながら、私の名前を繰り返した。





そして、ニヤリと、不適な笑みを浮かべる・・・。





「そう・・・そうなの・・・。」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:9,501pt お気に入り:4,133

妹にあげるわ。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:132,998pt お気に入り:4,507

妹の妊娠と未来への絆

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,567pt お気に入り:29

中の御所奮闘記~大賢者が異世界転生

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:3,134

朝靄に立つ牝犬

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:2

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:6,966pt お気に入り:164

上位種アルファと高値のオメガ

BL / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:1,439

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:15,463pt お気に入り:7,991

【R-18】泥中の女

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:340pt お気に入り:52

短編まとめ

BL / 連載中 24h.ポイント:761pt お気に入り:104

処理中です...