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夏生の友達と気まずい雰囲気の中、エレベーターの扉が開き外に出る。



「ごめんなさーい、聞いちゃった・・・」



と、夏生の友達が両手で顔を覆いながら、楽しそうに笑ってそう言ってきた。
それに俺も笑いながら、タクシー乗り場まで歩く。



「秘密にしてくれる?」



「勿論です!誰にも言いませんよ!!」



「夏生にも・・・」



俺の言葉に、夏生の友達が不思議そうに見てきた。



「夏生、明日起きたら覚えてないじゃん?」



「流石に、覚えてるでしょ!」



と、何故かすごく笑いながら言ってきた。



俺は、立ち止まる。
夏生の友達が、また不思議そうな顔で俺を見て、一緒に立ち止まってくれた。



「ここまで酔ってたら、夏生・・・明日起きたら覚えてないよね?」



真面目に聞いた俺に、夏生の友達はまた大笑いしながら言う。



「どんなに酔っ払っても、夏生が記憶なくしてるの見たことないよ!
宅飲みして大酒飲んで、雑魚寝して起きて~とか何回もしたけど、夏生が記憶ないとか有り得ない!」



夏生の友達は優しい笑顔で、夏生を見る。



「酔ってる時でも・・・あんなに誰かに甘えてるの、初めて見た・・・。」



そして俺を見て、「友里ちゃんの弟」と・・・



「いっぱい話し聞いてますよ、友里ちゃんの弟。
まさか、“shu-”だったのには驚きましたけど。」



歩き出した夏生の友達を追うように、俺も歩き始める。



「なんで付き合ってないんですか?
芸能人だし、キャラもあるから?」



「付き合うって・・・無理でしょ。
俺、こんなだし。」



「こんなって?夏生がそんなこと言ったんですか?」



「夏生は言わないよ、そんなこと、絶対に言わない。」



「知ってます。」



夏生の友達は、力強くそう言う。



「私、副キャプテンなんで。
“shu-”君より付き合い短いですけど、それでも、夏生がそんなこと言わないの、私も知ってます。」



俺は、なんだか嬉しくなり、笑った。



「でも、俺・・・夏生が好きになるタイプとは全然違うし。」



「あー・・・それ、先輩?」
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