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「そんなの昔からじゃん。」



「俺、バカだからな。
二葉がいなければ、俺はゲームセンターから家にも帰れない。
ゲームセンターでもお金をいくら入れていいのかも分からねー。」



そんなことを言いながら、仁が小さな声で笑った。
それに、私も笑う。



「仁はコミュニケーションのスキルが1番高いからね。
運動神経のスキルも高いし。」



「典型的なバカだよな。」



「羨ましい。
私は友達もいないし、運動も出来ない。」



「二葉は勉強出来るじゃねーか。
それに、ゲームも。」



「そんなの出来ても、リアルでは生きられない。
リアルで生きていけるのは、仁の方。」



「ガキの頃はな。
でも、こんなんじゃ・・・俺はどんな大人になるんだろうな。
どんな大人になれるんだろうな。」



今日は、珍しく落ちているらしい。
こんなに落ちているのも珍しい。



「私も、仁なんでしょ?
付き合えることには、私が付き合う。」



「うん・・・。」



「交換条件で、仁もだよ?
仁が付き合えることは、仁が付き合ってよ?」



「俺と“いち”みたいだな。
俺達もよく交換条件してる。」



「知ってる。私ともしてよ。」



「二葉には付き合って貰ってばっかりで、俺が付き合えることなんてあるのか分からねーけど。」
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