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「仁、ありがとうね!!」



その後、午前中に病院に着いた母ちゃんからお礼を言われた。



「俺、赤ちゃん産んだんだけど!!」



「なにおバカなこと言ってるのよ。」



「本当に!あれはもう、俺が産んだのと同じだった!!」



おばさんの病室で、大声で笑った。



「仁君がいてくれて、私は本当にラッキーだった。
1人であの陣痛を乗り越えられなかったし、出産の時も1人じゃ不安だったから。
仁君、本当にありがとう。」



「赤ちゃんは?まだ来ないの?」



「当日だからね。明日からかな。」



「なんだよ・・・明日から俺学校じゃん。」



「土曜日には退院する予定だから、そしたら遊びに来て?
うち・・・親が来られないから、私1人だし。」



おばさんが悲しい顔で、悲しい声でそう言った。



「・・・おじさん、何してるんだよ。」



「仁!!」



「だってさ~・・・」



「仁のこと、頼って?
仁の方は家事も一通り出来るし、色々とよく気付くから。
夜も大変だと思うから、日中は仁に頼んでいいわよ。
土日は私も顔出すようにするからね。」




母ちゃんがそう言って、俺を見下ろした。




「仁、頼んだわよ?」




そんな責任重大なことを、頼まれた。
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