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翌日・・・



「お~!!たっけ~!!!」



高いビルの窓から、下を見下ろす。
昨日の夜、“いち”に二葉のお父さんに電話を掛けてもらい、俺が話して時間を作ってもらった。



二葉のお父さんの会社には、葛西が連れてきてくれて応接室で待っていてくれている。
俺は、社長室に入れてもらった。
友達に頼ると・・・行動範囲が広がった。
俺の世界が、広がった・・・。



そのスキルを手に入れるよう指揮をしてくれた二葉は、やっぱり良い女だと思う。



そう思いながら、二葉のお父さんを見ると・・・
ソファーに座り、緊張した顔で俺のことを見ている。



そんな二葉のお父さんに、言った。



「おじさん。」



「はい。」



「俺さ、バカなんだよね。」



俺がそう言うと、二葉のお父さんが首を傾げる。



「仁君、バカではないと思うけど。」



その反応に笑いなら、おじさんの目の前のソファーに座った。
おばさんは、おじさんに俺のことを言っていないらしい。
あの人も、相当良い女だから。



「おばさんって、良い女だよな!」



「・・・そっちか!!
うわ~・・・そっちか~・・・。」



おじさんが急に頭を抱えて項垂れた。




「仁君には敵わないからな・・・。
僕は、仁君には敵わないからな~・・・。」



「・・・なにが?」



「だって、妊娠中の奥さんの傍にいてくれたのも仁君だし。
出産中も、産後も・・・。
1番大切な時期にずっと奥さんの傍にいてくれたからな~・・・。」



「おじさん忙しかったからな。」



「そうなんだよ。
社長に就任したばっかりで・・・。」



「それからずっと忙しいじゃん。」



「はい・・・。
・・・2人は今どんな感じなの?」



「まだやってないけど。」



そう答えると、おじさんが勢いよく顔を上げた。



「まだ、奥さんとしてないのか!!」



おじさんが・・・



そんな、恐ろしいことを言い出した。
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