【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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社会人1年目になるはずだった、11月・・・。



「光一、おかえりなさい・・・。」



午後、僕の家の玄関が開いた瞬間、お姉ちゃんが鮫島君に抱き付いた。
それを僕は部屋の扉を開けた瞬間に目撃をした。



「ただいま、真理姉。」



鮫島君がお姉ちゃんの背中をポンポンと力強く叩き・・・



「・・・理子、こんな所カメラ回すな!」



「回すでしょ!!
お兄ちゃんの退院祝いの日なんだから!!」



「・・・真理姉、鼻水ついてるから一旦離れろ!!」



「真理姉~!!
今日のメイクめちゃくちゃ可愛く出来てるのに泣かないでよ~・・・あ、今回メイク崩れしにくいね!!」



りーちゃんがそう言いながら、号泣しながらも鮫島君の大きな胸にくっついているお姉ちゃんの顔にカメラを寄せてきた。



「うん、アイライナーも落ちてないね!!
ウォータープルーフの中でも、今回は更に落ちにくい!!
ファンデーションも泣いても今のところ崩れてないね!!
マスカラも大丈夫!!」



りーちゃんがそう説明してくれていて、お姉ちゃんは号泣しながらも小さく頷いた。



「夜は・・・光一の退院祝いの、パーティーだからね。
光一が好きな物、沢山作ったから・・・。」



「お!!やった!!
病院の飯食う度に真理姉の飯が食べたくてウズウズしてたんだよ!!
あと量が俺には全然足りなかった!!」



鮫島君は入院をしていた・・・。
死んでいてもおかしくないような事故だった・・・。
僕のことを庇っての事故だった・・・。



それがどういう訳か、事故の割には軽症で済んで・・・。



でも、もう前の仕事は出来なくなる・・・。



「生きててよかった・・・。
私の弟のことも、本当にありがとう・・・。
私が光一を養う・・・。
一生養う・・・。」



「バカなこと言うなよ!!
どうやって家事代行の派遣でそんなこと出来るんだよ!!」



鮫島君が笑いながらそう言って、お姉ちゃんの鼻水を素手でグイッと拭いてくれた。



「もしかしたら真理姉のこともアイツのことも、俺が養わないといけないからな!!
働くよ、どんなに倒されても俺だって起き上がれる。
不滅の精神を俺は学んでるからな!!」



僕のことを見ながらそう言ってくる鮫島君・・・。
僕は、どこにも就職が出来なかった。
そしたら鮫島君が、自分が就職をした建築会社でアルバイトとして働かせてくれていた。



とても親切な女性の社長さんだったけれど、少数精鋭の会社で。
やっと軌道に乗せたばかりで余裕がなく、僕に合いそうなポジションの仕事はなくて。



事故は僕が起こした訳ではなかったけれど、反射的に動くことが出来なかった僕を庇った鮫島君・・・。



このまま現場で肉体労働として働くのはダメだと全員に説得され、僕もその建築会社を退職した。
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