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静かすぎるほど静かな世界の中、穏やかな太陽の光りが微かに目に入ってきた瞬間・・・



右手を頭の上に伸ばした。
そしたらすぐに握り慣れた柄が右手に吸い込まれてきて、その柄を握り締め勢いよく立ち上がり構えた。



そして・・・



研ぎ澄ましていた神経を徐々に緩めていく。



「王宮にいるんだった、忘れてた・・・。」



それほど熟睡していたらしい。
そんな自分に苦笑いをしてからナイフを上に放り投げ、顔の前まで戻ってきたタイミングでまた握った。
それからナイフを見下ろす。



インソルドの武具職人、ドン爺が何度も私に作ってくれているナイフ。
王宮に来た時にこのナイフは侍女長のミランダに没収されていた。



ステル殿下がこれを取り返してくれていたことに嬉しく思いながら、この部屋の扉を勢いよく開けた。



「カルティーヌ姫、おはよ・・・う、ご・・・ざいま・・・す。」



扉の前に立っていた3人の若い騎手がそんな変な挨拶をしながら私のことを上から下まで見てきた。



それに首を傾げながら「おはよう。」と返すと・・・



「・・・カルティーヌ姫!!
なんという姿で出て来ているんですか!!」



ミランダの叫び声のような怒鳴り声が聞こえてきて、自分の姿を見下ろす。



そしたら・・・



何も着ていなかった・・・。



「あ、ごめんごめん。
昨日ステル殿下と子作りというか性行為したんだった!」



「そうでしょうとも、獣の叫び声のような声を出しながら致していたので夜間交代のこの者達も知っていますよ。
わざわざそんなことまで外で言わないように。
ステル殿下が次の国王になられる可能性が貴女の出現により浮上したのですよ?
“3番目の皇子”から、王位を継げる“3番目の皇太子“であることが昨日、聖女である貴女との結婚で確定しましたので、妻である貴女の振る舞いもステル殿下の評価に繋がることをお忘れないように。」



ミランダに背中を押されまた部屋に戻され、そのまま浴室へと連れていかれる。



「こんな腐り果てた国の国王になってもどうするんだって話だけどね。」



「カルティーヌ姫・・・っ!!」



「でもアイツはなるみたいだよ、多分。」



“腐り果てた国”や“アイツ”と私が言ったからか青ざめた顔をしているミランダのことを見る。
誰1人として私の侍女になる女がいない中、仕事であるからだとは思うけれど、厳しくも私の世話を1人でこなしている侍女長のミランダのことを。



「ステル殿下は多分国王になるつもりだよ。
没落貴族でヒヒンソウの刻印が浮かび上がった聖女だけど、私は聖女だからね。
2人の皇太子達に言いふらしておいて?
向こうの出方も見ておきたい。
それと・・・」



言葉を切った後にミランダの顔をジッと見詰めながら上を指差した。



「王弟殿下の出方も。
国王でも何でもないのに王様ごっごをして民を苦しめてるあのクソみたいな男の出方も。」
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